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SF小説 ファンタジーノベル ワードプレス 変態機甲兵〈オタク・ロボ〉ジュゲム

変態機甲兵〈オタク・ロボ〉 ジュゲム file-04 ドラフト!

アキバで拉致られババンバン♪ ④

なろうで公開中のジュゲムの下書きですw なろうで公開済みの部分は太字になります。

Episode-file-04


 知らぬ間に拉致られ、気がつけばマッパで監禁されていた謎の個室から、その現場は歩いてほどもないところにあった――。

 窓もなく薄暗い通路を二度くらい曲がった先の突き当たりだ。

 そこには、見るからに頑丈そうな両開きの金属製の扉があり、そこまで先導する監督官が、この扉の脇にある操作盤らしきを手早く操作することで、音もなく重厚なドアが左右に開かれてゆく。この時、背後を女性自衛官の監査官に詰められていたから身動きもできないままのオタクだ。逃げ道はない。
 促されるままにおずおずとこの内部へと足を踏み入れる。
 ドア越しにもパッと見でかなり広い空間だとはわかったが、全体的に薄暗くてはっきりとは見通しが効かなかった。
 かろうじてこの真正面がぽつりぽつりとライトアップされていたので、そこだけがそれと認識できるだろうか。で――。

 モノはそこにあった……!

 とぼとぼと部屋に入ってこの顔を上げたらいきなりのことである。見て丸わかりの言われたままのブツの登場にしばし圧倒されるオタクくんだ。もはや見まがいようもない、あまりにも露骨なありさまであったか。 

「はあああぁぁぁぁ~~~……!」

 言葉よりもまず長いため息が漏れるモブだった。
 正直、途方に暮れていた。
 あまりにも浮き世離れした現実が、がそこにはあったから。
 泣きたい。
 はじめ惚けた顔でそれを見上げるパイロットスーツのオタクは、改めておのれが直面している事態の異常さに驚愕するのだ。

「うわあ、マジであるよ? 何コレ、ロボ? ガチじゃん! いくらかかってるの? ここまであからさまだと、なんか引いちゃうよな、こんな巨大ロボっ……!!」

 目の前にそびえ立つのは、おおよそひとのカタチをした、巨大な戦闘兵器、ロボットなのだろうか? 
 果たしてこの意味も理由もさっぱりわからなくした、どこにでもいるはず平凡なオタクはたじろぐばかりだ。
 いかにもメカっぽい全身がずんぐりむっくりしたロボットは、ただ静かにそこに直立している。それだけで半端じゃない存在感なのだが、何故かまだどこかしら夢うつつな気分のモブだった。
 ひょっとして悪夢を見ているのではないかと、じぶんのほっぺたをつねったりしてみるのだが、ジクリとした痛みだけが伝わって、他には何も変わらない。
 悲しいかな、まごうことなき現実だ。
 仕方もなしに周りに視線を向けるのだが、これと言って他に目にとまるものはなかった。薄暗くした巨大な灰色の屋内に、巨大な人型ロボが仁王立ちしている。
 ただその事実だけが突きつけられる空間。
 泣きたい。マジで。
 周りに物音やひとの気配がないのが多少の違和感だったか。
 オタクの身からすれば、こういうシーンでは決まってやかましい騒音とたくさんのスタッフや資材が、そこかしこを忙しく動き回っている活発で雑多としたイメージなのだが……。
 あいにくとじぶんたち以外にはそこには誰もいなかった。
 非常なまでの静けさに満たされた大型ロボの格納庫だ。

「あぁ……だからなんか現実感がないんだ? じゃあ、ほんとに動くのかな、コレ? ただのハリボテだったりして??」

 思わず思ったままを口にすると、そのつぶやきをこのすぐ背後から聞きつけた中年の自衛官、村井がまじめな言葉を返す。
 またそのすぐ後に続く女性の監査官の指摘にも耳が痛く感じるモブだ。余計な物音がしないから小声でも楽に会話ができる。
 大きな空間につぶやきが響いてなんかおっかないカンジだ。

「そんなわけがないだろう? 紛れもなく本物だよ、アレは……! いやはや、もっと当事者意識を持ってもらいたいな。税金いくら投入していると思っているんだ。もはやシャレでは済まされない額だよ」

「あなたが今、身にまとっているスーツもおなじようにただごとではないだけの公金が投入されています。開発から実用化にこぎ着けるまでの年月も含めて、考慮していただければ幸いです」

「ううっ、そんなこと言われても、おれ、ただのオタクだから……! オタクってなんだよ? てか、やけに静かだけど他にひとっていないんですか、ここ?」


 しまいにはどっちらけて白けたまなざしで背後を振り返るに、真顔の監督官はおごそかに応じる。わざわざ一拍空けてから。
 なんだか芝居じみているようだが、そのあたりは気にしないことにした。なんかもう慣れつつあった。

「それはつまり、重要な機密を守る上での厳正なる対処だよ。この戦闘兵器のパイロットについては厳重なプライベートの保護、ないし報道規制が敷かれている。当然だな。これに則り、一般の整備班やその他の運用スタッフときみが顔を合わせることは原則禁止だ。国家機密厳守の観点から。問題があるかね?」

「い、いやあっ、なんか大げさな気が? おれの正体ってそんなバレちゃダメなの? こんな馬鹿げたことをおおっぴらにしているのに?? 拉致監禁もされちゃったし。マッパにもされて、さすがにムリでしょ……」

 額に汗を浮かべて困惑するオタクに、冷静な監査官が応じる。

「いいえ、そちらのロボからあなた自身が顔を出さなければ、物理的に身バレすることはないものかと? ご自分から正体を明かすような真似をされるとこの身柄を保護することにならざるおえないので、くれぐれも機密の漏洩にだけはお気を付けください」

「保護? それって、また拉致られてこうやって監禁されるってこと? もうやってるじゃん! なんだよっ……」

 物腰の穏やかだがやけに他人行儀なあくまで他人事みたいな言い回しに、なんだかげんなりしてがっくりと肩を落とすモブだ。その肩をぐっと掴んで、嫌気がさすほどに真顔のおじさんが力一杯に言ってくれる。トドメとばかりに。

「もっと胸を張りたまえ! きみこそは選ばれしオタク、国を救うべくした正義のパイロット、いうなればヒーローなのだから。戦場がきみを呼んでいる」

「呼ばれたくないです。いやあ、あのですね、おれ、民間人ですよ? それがどうして……! あれってほとんになんなの??」

 再び正面に戻って目の前にある現実に向き合うが、どうにもこうにもで立ちすくむデブのパイロットスーツだ。村井が言う。

「ジュゲムと呼んでくれたまえ。あれの正式な名称だ。ただし口外は無用。いわゆる我々関係者の中だけでのコードネームだな。世間一般では、第三種災害対応兵器、ぐらいなものか?」

「第三種……! あのぉ、それって……あれ?」

 ゴチャゴチャやってる間に薄暗闇の中にどこかで耳慣れない物音がする。ゴゴゴッ……と低い重低音が響く方に目を向けると、問題のロボがこの腹のあたりを鳴らしているのだとわかる。
 今しもボディの真ん中にあたる部分、おなかのパーツが外部へとせり出して、ぽっかりと大きな穴をあけるのだった。
 おそらくはこのコクピットへのハッチとなる開口式装甲が開いて内部に通ずる入り口が開いたのだとは、シロウトながらに理解ができた。だが他にひとがいないはずなのになんでとは思うオタクくんだ。怪訝に眉をひそめてしまう。身体もこわばった。
 そんなモブの心境も素知らぬさまで、監督官が意味深な物の言いで促すのだ。

「オタクダくん。やはりきみは真のオタクだ。あれが呼んでいる……!」

「い、いやあ、そんなこと言われても、アレに乗んなきゃいけないの? このおれが?? ろくな免許もないのに……」

 完全に顔が引きつっていたが、真顔の自衛官はまじめな口ぶりで言い切ってくれる。

「免許なら、きみは既に持っているさ。オタクとはそういうものなのだから……! きみでしか乗りこなせないものが、今こうしてきみの搭乗を待っている。搭乗口を開こう。きみでしかわたれない一本道だ」

「は、はいっ?」

 言いながら背後の監査官に目配せすると、こくりうなずく神楽が背後の壁にある操作盤らしきに手を伸ばす。
 直後、何もなかった空間にガガガーっと低い音を立ててせり出して来たのは、言葉の通りの金属製の渡り通路だ。
 かろうじてひとが一人通れるくらいの。
 謎のロボの周りに設営された足場なりに接合されて道を開く。
 いよいよ逃げ場がなくなったことを実感しながら、ちょっと目つきが遠くを見るようになるモブはすぐそこのはずなのに果てしない距離感を感じていた。行きたくはない。間違っても。
 背後に立つおじさんは許してはくれなかった。
 もう乗り込むことが前提で話を進める村井だ。
 止められないし、その背後に立つおねーさんのメガネも光っていた。泣きたい。

「ううっ、乗るんだ、ほんとうにっ……! でも乗って、どうしたらいいの、おれ??」

 絶望感にさいなまれるオタクに、その背中をぐっと押さえながら非常の監督官が最後の言葉を投げかける。
 それにムッと眉をひそめるモブだった。
 意味がわからない。

「内部には先住者がいるかもしれないが、いや、おそらくはいるのだろうが、それはあのロボの主だから、安心してくれていい。きっときみをよろしく指導してくれるはずだ。失礼のないように。それでは、グッドラック!!」

「…………はっ!??」

 前途多難なオタクの戦いが、今、幕を開けた。



 

 

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変態機甲兵〈オタク・ロボ〉 ジュゲム file-02

アキバで拉致られババンバン♪ ②

Episode-file-02

 目を覚ますなり思わずを上げてしまった――のは、そこがまったく身に覚えのない知らない場所だったからであり、それまでの経緯がさっぱり不明で、かつ、見知らぬベッド?の上に正体もなく横たわっていたこのみずからが、あろうことかだったからだ。

 それは寒いのもしごく当然!

 パンツすらいてないすっぽんぽんの自身のは、小さくすくみ上がっているのが見なくてもそれとわかる。

 もとい、体型が太っているので位置的に見えなかった。

? ?? っ、!?」

 知らない灰色の天井から、この視線を真下に落とすとこの視界の中にが見て取れる。

 強い視線が感じられた。

 無論、知らない人間だ。

 おそらくは仰向あおむけに横たわるおのれを間近から見下ろしている。

 あいだにじぶんをはさんで左右に分かれて立つ内の、すぐ左手に立つのが男で、ちょっとだけ距離を置いた右手にいるのが女性の影だとその細いシルエットから理解できた。

 そう広くもなさそうな薄暗い室内で、ぼんやりしたふたつの影が、こちらを……!

「だっ、だっだっだ、っ!? え、おれなんで! !? てか!!?」

 完全にパニックにおちいっている素っ裸すっぱだかの青年に、対する二人の謎の人物はしごく落ち着き払ったさまで応じてくれる。

 その冷静なありさまも含めてびっくり仰天の彼を見ながらに言うのだった。

「お、ようやく目を覚ましたな? ふむ、いささかのようだが、まずは鎮静剤ちんせいざいでも打ったほうがいいものかな? このオタクくんは……」

!? ナニ言ってんの? てか、そもそもでなんだって!? !!」

 のっけっからただならぬ気配と危機感に仰向あおむけのままで身体を硬直させる青年だが、それをもう一方から見つめる細い人影が静かにいさめる。

 ただし言っているのはじぶんにではなくて、むしろこの間近に立つ男にであるようなのに、ちょっとだけ心拍数が下がった。

「いえ、その必要性はないものと思われます。、あまり強行な手段はみだりに講じないように願います。職務とは言え、後々にだと疑われる行為は、見過ごすわけにはいきませんので……!」

「わかった。留意りゅういしよう」

! 待ってよ、ここどこっ、なんでおれはなの!? おじさんさっきから真顔で怪しすぎるって!!」

「あとちなみに、わたしはおじさんではない。その点は留意してもらたいな。こう見えてちゃんとしたがあるんだ。つまるところでそう、オタクの特任パイロットの、 〈オタクダ・モブ〉くん、きみと同じでな?」

「オタク?? え、おっ、お、? なんで?? まったく知らないおじさんなのに? あと、そっちは??」

 当たり前みたいな顔でズバリ、おのれの名前を言い当てられてしまい、ひたすらキョトンとするまだ若い男子は、こわごわとふたりの大人たちを見上げる。

 およそ三十代半ば過ぎの男と、もっと若いお姉さんぐらいかとだけ認識して、それ以上は思考が停止していた。

 この見た目の格好からだけではそれが何とは判別できない。

 しがないフリーターであるじぶんとはまるで別世界のお堅い仕事柄の格好であることだけは予想がついたが……。いかんせん、普段からスーツ姿の仕事人とは会うこと自体が希な職域で生きながらえているこのじぶんだ。

 相変わらず真顔のまじめな社会人らしき人間たちを目の前にして、ちょっと引いてしまう情けのないじぶんを、こんな時にも意識してなおのこと身体が硬直する。

 それに……?

 とみずからのありのままの姿を改めて見るにつけ、ギョッとして跳ね起きて仰向けからただちに正座へとこの姿勢をただす。今さらながら。

 それまですっかりけっぴろげにしていた、このみずからの股間を両手でしっかりとガードしながらだ。

 そう、特に右隣のお姉さんの視線から……!

「あっ、あっ、ああ! !! ひいっ、もうやだよっ、こんなカッコで!? おれどうしてなの? おれなんか悪いことしましたっけ!!? あとこのおじさん返す返すも誰ぇ??」

 半泣きでパニックしながら涙目で見上げてくる若者に、ちょっとだけ困り顔になる中年の男は、咳払いして鷹揚おうように応じてくれた。

 悪い人間ではないのだろうか?

 この状況ではなかなかに判断がしがたい。

「おほんっ! まあ、気持ちはわかるが、少し落ち着きたまえ……! 見ての通りで、わたしは怪しい者ではない。とは言え一口ひとくちには説明がしがたいので、この場ではあえてはぶかせてもらうが、とりあえずとだけ答えておこう」

 しれっとした語り口で何やらやけに都合のいい申し開きに、どこにも合意なんてものができない裸の青年はひどくいじけた物言いになる。

 できたらパンツが欲しかった。

「えっ……は、省いちゃうんですかぁ? でもおれからしたらぁ、一番知りたいことなんですけどぉ……! それになんでマッパなのかぁ、さっぱりわからないんですけどぉ、これも省かれちゃうんですかぁ? あとそっちの若いお姉さんの視線がぁ、すっごく気になるんですけどぉ……!!」

 みずから村井と名乗る男のことよりも、むしろ右手に立つ女子のことをよっぽど気にしているような青年の返事に、やや肩をすくめ加減の中年男性だ。

 仕方もなしにおのれの正面へと視線で何やら促すのだった。

 するとこれを了解した当の若い女子が、落ち着きはらったさまでみずからの口を開く。

「ごめんなさい。驚かせてしまったのならば、この通り謝ります……! ですがここはれっきとした国の正規の施設で、詳しいことは省かせてもらいますが、あなたの身柄は安全に確保、もとい、保護されています。ですからどうか安心して、そんなに緊張しないで……」

「やっぱり省かれちゃうんだ? この状況でそれは無理というものでは……なんかマジで泣きそう……!」

 がっくりとうなだれるのに、男がまたまじめな顔でもっともらしげなことを付け加える。

「そんな状態でなんなのだが、君の安全は保証する。我々に関しては機密事項が多いのでそう多くは語れないのだが、とりあえず、とだけは明かしておこう。どうかな、少しは納得ができたかね?」

「え、? それってまさか、あの、……みたいな?」

 めちゃくちゃどん引きしていた青年の青い顔が、ついには驚きにより真っ白へと変わる……!

 泡食ったさまで男へと向き直った。隠していた股間がおろそかになるほどの動揺ぶりで正座の姿勢が崩れてしまう。背後にどっと尻餅ついて、うわごとを発するようにわめくのだった。

「そっ、それっていわゆるでしょう!? 昨今のSNS界隈かいわいで話題が持ちきりの!! マジでヤバいじゃんっ、おれ、このまま行方不明でどうにかされちゃうの!? とか、とか!?」

 寒さだけではなしにガクガクと震えるのに、対してこれを見下ろす男は、いまだ落ち着いたさまでかすかにため息をつく。やれやれとでも言いたげにかぶりを振って、ぬけぬけと言い放った。

「……フフ、さすがはオタクくんだな? 情報がかなりかたよっている! きみ、それは世間一般に流布るふされるそれこそというもので、実態はまるで別のものだ。当然だろう? まあ端的たんてきに言ってしまえば、! どうだ、納得がいったかね?」

「なおさらヤベーじゃんっっ!!? あ、わわわっ!! 見ないで!!!」

 たまらずに大股おおまたおっぴろげてがなってしまうのに、もう一方の無言の女子の冷たい視線に慌てて太った身体を縮こまる。相手はメガネ越しでこのレンズの反射具合では視線の向きが定かでなかったが、今のはもろに見られていたはずだ。

 こんな真っ裸ではこのちんちんどころか尻の穴まで見られかねないと、うめくような泣き声が漏れ出た。

っ……! ひととしての尊厳が保たれないよっ、こんなんじゃっ!? まじめな話なんてできっこない、てか、これってまじめな話し合いなのっ!!? まずは服を返すところからはじめてよっ、あとおれのおサイフとかケータイとか、人権とか、んですけどっ!!?」

 悲壮な表情を男へと向けると無情な真顔の自称、監督官、ないし自衛官は覚めた調子で答えるばかりだ。

「無論、まじめな話だよ。きみの衣服や所持品についてはちゃんとしかるべき場所に保管されているはずだ。おそらくは。あいにく我々の領分ではないのでしかるべき人間に掛け合ってもらいたいのだが、。心配はいらない」

「…………って、こういうコトを言うんだ? おれもうんでますよね??」

 意気消沈して傍らのお姉さんに目を向けるに、相手は気の毒そうに無言で静かにこの顔を逸らした。本気で救いがない。そんなところに男がを畳がける。どうやら厄日みたいだ。

「話を本筋に戻そう。意味もなくこんなことになっているわけじゃないのだ。我々の目的は、そんなうさんくさい都市伝説やネットの風説とは無関係な、実社会に基づいたあるべき社会活動なのだから。ではそれにつき、、きみも聞き及んでいることだろう?」

「? なんのことですか? おれ、どっちかっていったらオールドメディアよりもネット派なんですけど?? まずこの状況をどうにかしようと思わないんスか? おれいつまでハダカなの?? じゃあもうこの隠さないスよ?」

「隠さなくていい」

「ダメだろっ! すっかりパニクって興奮しちゃって、アソコがひとさまに見せられないくらいに暴れちゃってるんだからっ!! おねーさんはできたら部屋から出てってくれません? せめて背中を向けるとか??」

 懇願こんがんする青年に、真顔で見下ろすあまり見かけない色合いのスーツ姿の女子は、にべもなくこれを完全拒否の構えだ。

「ごめんなさい。それはできないの。わたしにはとしての職務がありますので。申し遅れました。あまり多くを語れないのですが、わたくしは監査官の神楽かぐらとだけ名乗っておきます。今はそれだけで、徐々にこの壁を埋めていきましょう」

? があるんスか、まあそうか、こんなだもんね? おれ……」

「話を戻そう。ネットでも話題は尽きないはずだから、お互いの認識はそう違わないはずだ。君の今後にも大きく関わる……!」

「おれのはなしはマジで無視なんだ。もうどうでも良くなってきた。監査官てちんちん見るのが仕事なんですか? その真顔はマジでキツいです。見せたらプレイになっちゃうからおれの尊厳がどうにかなっちゃう! ただの変態じゃんっっ!!!」

 もだえるマッパを見下ろして監督官と名乗る男は真顔で言い放つ。

……! この言葉はすでに聞き及んでいるだろう?」

 まったく浮かない顔で応じる青年、このまわりからオタク呼ばわりされる小宅田はちょっと不機嫌に文句を垂れる。

「それこそじゃんっ! よくわかんないイタズラとか凶悪犯罪とか、いろいろと頻発ひんぱつしていて、警察が苦戦してるのは知ってるけど、犯人も動機も原因もまるでわからないんですよね? むしろあえて隠してるみたいな? で、そこにとうとう自衛隊までもが関与し出してって……それで今のこれなの?? うそでしょ」

「きみがオタクで良かった。じゃ、そういうことで、さっさと話を進めさせてもらおう。何だね?」

 奈落の底に突き落とされたみたいな絶望の表情で見上げてくるオタクにどこまでも無表情に相対あいたいする無慈悲の監督官、村井だ。

「ああっ、おれ、マジで詰んでる! 返す言葉が見つからないよ、ムリだって……おねえさんにも見られてるし。ああ、でもちょっとだけ落ち着いてきたから、せめて言えることだけ言っておこう……! あのっ……」 

 いっそ泣き崩れてやりたいくらいの心持ちをどうにか立て直して、自称・自衛官にすがるような眼差しで訴えるのだった。

 せめて一言――。

っ……!」

 風邪ひいちゃうと涙ながらの訴えに、果たして男は無言でうなずくのであった。

 めでたく合意がなされたでも言いたげなのに、とつもない不安が押し寄せるオタクの青年なのだった――。 

         次回に続く……!

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変態機甲兵〈オタク・ロボ〉ジュゲム

デブのオタクがある日いきなり拉致られて、国を救うロボのパイロットにされちゃいましたw 誰か助けて! 動力がエロでアレを強要されてます!? オナニックバトルヒーロー爆誕!!!

 ひどいなwww  とにかくやっていきます。
 かなりきわどい下ネタ強めのおふざけお下劣ギャグノベルになりますので、そういったものが苦手な方はスルーでお願いします。ワードプレスないし、グーグル・アドセンスのコンプライアンスに引っかかるようになれば、おのずと自粛されるコンテンツとなります。たぶん、大丈夫だとは思われますがwww
 ちなみにこちらはいわゆるドラフト、下書きで、完成品は小説家になろうなどの投稿サイトで公開したものが完全版となりますwwwwww
 ちなみにファィル03まではなろうで組んだ本文をそのままこちらに移植したもので、うまいことルビと傍点が振られていますが、04以降はルビや傍点なしのベタの文章となります。従ってこの誤字脱字もそのままでありますが、ご容赦くださいm(_ _)m
 なろうのほうでは修正済みですwww

変態機甲兵〈オタク・ロボ〉
    ジュゲム

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Episode01
アキバで拉致られババンバン♪

 Episode-file-01

 暗かった。

 そこは、ただ、ひたすらに……!

 そんな暗い中に、どこからか、が、響いていたか……?

〝あれ、暗いな……? おれ、どうして……?〟

 うすらぼんやりとした意識の中で、ただぼんやりと考える。

 だがまるで考えがまとまらない。

 そんな中、どうしようもなくして、まわりのだけに耳を澄ました。

 どこか遠く、かすみがかった声が、何かしら言っているのだけはわかったから……! 

「…………くん、見たまえ……! これが……だ。どうだ……見るのは……かね?」

 どうやらの後に、今度はがするのがかろうじてわかった。

「…………はい。はじめて……ました。これが……実物の……なのですね……!」

「そうだ。これぞ……純度100%の……だ! そう……しかし……こう見るとやけに……」

「ええ……そうですね……! ちょっと、してきました……だって、……の……を、正直、……なので……!」

 ところどころにしか聞き取れないが、何を言っているのかさっぱりなのに、ぼんやりした中でもはたと首を傾げる。

〝え、なに……? なにを、言っている、の……??〟

 暗闇の中に、なぜか急に肌寒さみたいなものも感じはじめる。

 ちょっとずつ、この身体の感覚みたいなものも覚えはじめて、冷たくて硬いものが背中に当たるのも意識する。

 ベッドにしてはやけに無機質で真っ平らだったが……?

 何がなにやら、ほんとうにさっぱりだ。

 ぼんやりとした中でまわりの声がやけに鮮明に聞こえる。

「そう……見ての通りで、個体としてはまだ若いな。? さいわいにも。へんにトシを食っていると何かと気をつかうから、このくらいが丁度ちょうどいい!」

「……そうなのですか? なにぶんにはじめてなので、さっぱりわからないのですが……やっぱり若いほうががあったりするのでしょうか?」

「もちろん! そう、特にが……! まあして知るべしだ。ただなにぶんにみたいだがな、この個体のは? とりあえずであれば問題ないのだろうが」

「はい……、のですか、って? いいえ、なにぶんにはじめてなのでなのですが、でしたらそのように心得ておきます」

はこの程度で、はそうでもないのだろうかな? あまり期待はできないが、望ましくはそれなりのであってほしい。せめてな?」

「はい。でもいいんですか、こんなにと見てしまって? いくら意識がないからと言って、いささかプライバシーの侵害のような……」

「構うまい。じきに目を覚ますさ。それまでにしっかりと検分けんぶんしておけばいい、君はそれが職務たるなのだから?」

「はい。そうですね……」

 いまだぼんやりした頭の中に疑問符ハテナ渦巻うずまく……!

〝え、なに? 何を、言っているの? って……?〟

 やけに寒く感じるこの身体に、何故か間近から視線のプレッシャーのごときものを感じる。

 特にそう、この下半身、しかもそうだ、まさにのあたりに……?? 

 それから続く男女の会話に、いよいよ頭の中が混乱を極める。

「それで、その、が重要なとなるのですよね? でしたらこちらは、学術的には、どのように呼称すればいいのでしょうか?」

「……ん、とは?」

「その、ですから、この場合は、いわゆるその……と、その……と称するのが妥当なのでしょうか? はどちらになるのですか、両脇の球状のふたつと、都合この真ん中にある、いびつな形状のひとつのものと?」

「ん? 本体は、この当の本人、この個体、となるのじゃないのか? 呼び方は、もうフツーに、ないし、もしくはとかでいいんじゃないのか? こんなもの!」

「はあ……ち、……! ちん…………!!」

 何やらためらわれがちな女性が息を飲む気配に、なんだか非常に気恥ずかしい感覚を覚えて、自然とこの手が股間のあたりにゆく。

 まさしくそのものを手のひらに感じて、おぼろげだった意識が急激に覚めてゆくのを自覚――。

 すっかり小さくなっていた。

〝ちんちん? ちん……ぽこ? チンポコ!?〟

「なっ! は、わっ、わああああああっ!?」

 パッと意識を取り戻す彼は、だがその場の状況がわからずに目を見張ったきりにしばし硬直してしまう。

 絶句すること、およそ十五秒……!!

 たっぷりの間を置いて、またと絶叫を発する。

っ、っ!!?」 

 めでたく覚醒するのであった。

             次回に続く……!

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オリジナルノベルのメカキャラデザイン! 敵のロボキャラ、その①

主人公たちと敵対する勢力側のメカ、戦闘ロボのデザインをやっていきます(^^)/

 ノベルを進めているつれ、これから主人公たちが対戦するはずの相手側のキャラや敵メカがまだデザインできていないこと(!)に気が付いて、今さらながらにやっていきます(^^;)

 [データ・スペック]

#006の中盤以降から登場予定。

 海上戦対応型ギガ・アーマー
機体名称
 イルカ…標準型アーマー。両脚のホバー(マリンジェット)で高速機動。飛行能力はない。標準型の兵装装備。  

 シャチ…大型アーマー、指揮官機。標準型の兵装の他に、専用の高火力装備を備える。 

 サーペント…新型機

これまでの敵メカのデザイン

 主人公のライバルとなるキャラたちやメカのデザインです。
 フルカラー版は下記にあるリンクから(^^)/

実際にデザインしてみよう(^^)

 ギガ・アーマー「イルカ」
 海洋戦対応型アーマー。海中潜行可能。
 通常型。一般兵(パイロット)向け。

 おおよそのアタリです。

 なんか失敗気味?

アタリを元にもうちょっと描き込んでみました♪

 なんかイマイチですね(^^;)

記事は随時に更新されます♡

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ルマニア戦記 #004

第二話 「クマとオオカミ。真逆のふたり?」

 第二話

『クマとオオカミ。真逆のふたり?』

 #004

※おはなし、挿し絵(イラスト)ともに随時に更新されていきます! 今はやりのいろんな配信アプリを用いて挿し絵やキャラクター、メカニックのデザインなどを動画配信、こちらのホームページと同時進行でやってまいります♥ ちなみにこのお話あたりから主人公のデザインがしれっとモデルチェンジしてたりします(^^) あしからず♪

 某日、未明。

 まだ夜明け前なので外は暗い。

 なのにかまびすしいサイレンがまたしてもオンボロな戦闘ロボの格納庫の中にわんわんと鳴り響く!

 もはやいたって日常の光景だが、ドタドタとした足取りでデッキ内に入ってくるなり大柄のクマのパイロットがひどいうんざり顔で愚痴をわめいた。

「ああっ、うるさいったらありゃしないな! リドル、もういいからこのサイレン切っちまってくれよ? 鼓膜がどうにかなっちまいそうだ!! よっと……!」

 耳を刺す騒音から逃げ込むみたいな感じでみずからのアーマーのコクピットにいそいそと潜り込むでかいクマに、後から駆けつける小柄で華奢な若いクマ族がひどく恐縮したさまで返事をする。


 どこぞかに向かって何事かこちらも喚いていたが、おそらくはデッキのおやっさんにサイレンを切ってくれるように懇願したのだろう。

 目の前のパイロット同様、あちらは雲の上の存在のような大ベテランの上官でおまけ親代わりのお師匠さまだから、きっと板挟みなのに違いない。

「ベアランド少尉どの! サイレンは機体が出撃しなければ止めることが出来ないとのことでありますっ! それとウルフハウンド少尉どのはすでに出撃しておられますっ、こちらもすぐに出られますのでただちにアーマーの立ち上げお願いします! チェック、三十秒で済ませます!!」

「あっそ、いつもながら優秀だね! 相棒のオオカミくんがひとりで突っ走ってるのはやっぱりいつものこととしても、どうして敵さんてのはこう朝が早いのかね? なんかしらの意図があるんじゃないのかと疑っちゃうよ」

「はい? あ、警報止まりました! でも師匠が怒ってるみたいでしたが。ハッチ、さっさと閉じますか?」

「ははっ、あのダミ声でがなられたらサイレン鳴ってるのと変わらないもんな! それよりシーサーのやつは結構先行しちゃってるのかい? アーマーの性能をいいことに脇目も振らずに敵陣めがけて突っ込んでくから、あれじゃいいかげんに包囲網とかをしかれちまうんじゃないのかね??」

 呑気な口ぶりで思ったこと言ったら地べたのあたりから例のだみ声がしてきた。

 その声いわく、そうならねえようにおめえがしっかりサポートしてやるんだろうが、このノロマのクマ助が!! もはやその顔を見るまでも無くしかめっツラのおやじさんはすこぶるおかんむりのようだ。

 ふたりで思わず頭をすくめて、苦い目付きを見合わせてしまう。

「ああっ……! すでにこちらの通信や観測レーダーの範囲を越えた中立線地帯から敵国側に入っておられるようです。よって少尉どのの機体では合流までにかなりの時間が、とにかく出撃準備済ませます!」



「了解! うん、ならこっちも考えがあるよ。リドル伍長、滑走路の誘導は途中まででいいから、中に待機してこっちの軌道演算のサポートしておくれよ。できる範囲で構わないから、いわゆるミサイル発射の要領でさ♡」

「は、はいっ?」

 さっさとみずからの仕事に取りかかるべく一旦は引っ込めかけた頭をまたぴょこんと出してくる弟分のクマに、でかい図体をみずからのシートにくくりつける兄貴分は鷹揚に笑ってウィンクする。

「いいから! 一か八か、大気圏内じゃそうはスピードが出せないコイツでも、やりようによってはかなりのショートカットが効くってことを実証するチャンスだよ。ま、この場合はシーサーが遠くに居てくれることがミソなんだけれどもね♪」

「はあっ……!」

 相手が言ってくれていること、理解しきれてないふうな若手のメカニックに目付きでうながしてグローブをはめたふたつの大きな拳をゴキゴトと鳴らすベアランドだ。

いたずらっぽい笑みで楽しげにハンガーデッキの前方のまだ暗い西の空を見上げる。

「さあて、楽しくなってきたよね♡」

 みずからの乗り込む大型の機体以外は物音を立てない基地の外れで、人知れず戦いの幕は開ける。

 夜明けは近かった。


 すこぶる順調な進撃だった。

 いまだこれと言った敵影との遭遇もないまま、友軍の基地からもうかなりの距離を単独で走破するウルフハウンドの新型アーマーだ。

 不意に耳障りな警告音がなって、それで二つの川に挟まれた緩衝地帯から完全に敵国側のテリトリーに入ったことを知る。

 鋭い目付きで周囲の景色を写した高精細ディスプレイをねめ回して、不機嫌に舌打ちする血気盛んな新人少尉どのだ。

「ケッ、わかってるよ! にしてもここまでずっとろくなお迎えもなしじゃねえか? レーダーのレンジにも入らない遠くからロケット砲やら機銃掃射やらで威嚇にもならねえ腰抜けどもが、まともなアーマーらしきがどこにも見当たらねえ。このままじゃ敵さんの本陣(基地)にまで乗り込んじまうぜ!」

 さすがに単機でそこまでするほど無鉄砲でもないものだが、思わず毒づいてしまうオオカミ族だ。

 見覚えがある長い海外線をまっすぐに縦断していつぞやの廃墟と化した前線基地を横目に見ながら、うっそうと茂る敵国側の森林地帯に突入!


 その先はかつての農耕地帯で、今は拓けた荒れ地と知れていた。

不可思議なアーマーの反応が感知されてからここまでいの一番で乗り付けて、からっきしでは帰るきっかけが掴めない。

 せめて敵のアーマーのひとつかふたつは撃破して星を稼ぎたいところだった。


 相棒のクマ助はいつものんびり太平楽でまるで気にしていないのだから、ここでライバルに差をつければ一足先に昇格、部隊の隊長の座にもめでたくありつけるやも知れない。

 噂では性格剛胆にして冷静沈着、裏表のない性格が人望にも厚いとされる同僚のクマ族がその候補とされているとは耳にしていた。

 だからと言ってこれをただ快くは認めていない彼だ。

 やる気のないヤツに部隊の指揮など執らせてなるものかと殺気を宿して正面のモニターに食らいつく。

「どらっ! これでどうだっ、ここまで来たらさすがに……!!」

 森を抜けたら予想していた通りに拓けた荒野が広がっていた。

 おまけそこには待ってましたとばかりに複数の敵機が待ち構えていたが、それらは何やら拍子抜けするくらいにぽんつぽつんとに散在していた。

 何故だろう。

 いっそ所在なさげなくらいだ。


 かろうじてこの中心に移動型の機動要塞らしきがあったが、丸裸に近いくらいにその大型の機動タンク艦の周囲には護衛のアーマーも弾よけのトーチカらしきも存在しない。

 かくして出くわすなりそれが散漫に砲弾を発砲していたが、射撃精度なんておよそ無いに等しいくらいにひどりありさまだった。

 それらが周囲の土塊(つちくれ)や林の枝葉をむなしく飛び散らすのに、舌打ちしながらアーマーを加速させる。

 あいにくと馬鹿正直に敵陣目がけて直進するほど無策ではない。

 生まれつきに単独行動を好むオオカミは用心深く雑木林と野原の境を縫うように自機を走らせるのだが、これにようやく周囲でぽつぽつとまばらな敵のアーマー群が攻撃をしかけてくる。

 そのちょっと慌てているみたいに息せき切った攻撃には傾げた頭の隅で?マークを灯しながら、負けん気の強い若造は大口開けてうなりを発する。

「へっ、うすのろのロートルアーマーどもめ! そろいもそろってどこ狙ってやがる? もっとマシなのを揃えやがれよ!! そらっ……」

 あんまりひとりで調子に乗っては、しまいには囲まれて袋だたきに遭うだろう? などとひとを揶揄した相棒の言葉が脳裏をよぎったが、その時はまるで気にもせずで右から左へ聞き流した自信家だ。

 前方には直進をはばむように土があからさまに掘り返された跡がいくつも残り、おそらくは地雷が埋設されているのだろうことを目視できた。


 これ見よがしでずさんなトラップをセンサーでも察知したのをアラーム音が告げるが、それにも構わずにコクピットの制御システムであるシステムコアに命令を発する。

「構わねえさ! ギャング、おまえの力を見せてやれ! スタンドアップ! ゆくぜっ、『ラン・モード』!!」

 言うなり出し抜け、みずからのパイロットシートから勢いよく立ち上がるオオカミだ。

 身体をくくりつけるシートベルトはとっくに取っ払っていた。

 これに合わせて周囲を取り巻くコンソールやパネル、背後の座席がバラバラと音を立てて解体され、周りに障害物のないさながらランニングマシーンのような特異なデバイスに置き換えられていく。

 およそ一秒そこそこ、最低限の安全を確保するべくした手すり代わりのロープが張り巡らせるのみのちょっとした空間が出来上がっていた。

 すると当の細身のパイロットはなんのためらいもなし、唯一残ったハンドリングレバーを両手に構えて直立歩行の構えから一気に両脚を回転させる激走の態勢に転じる。

 これにともない彼を乗せたアーマーそれ自体も常識では考えられないようなスピードの走行モードに突入する。

 地雷原とおぼしき穴ぼこだらけの荒野を猪突猛進!

 鋼鉄の両脚を交互に繰り出して爆走する巨人、ギガアーマーなどおよそこれまで誰も見たことがなかっただろう。

 本来、通常の歩行動作だけではどんなにいっても早足止まりの大型ロボット兵器だ。

 従ってそれ向けに設定された地雷はどれも影が走り去った後にきっちり二拍遅れで空しく爆発、コクピット内で疾走するオオカミ族の機体にかすり傷ひとつとつけることはできないのだった。

 何を意図したものか、広い野原の中心の移動要塞を大きく取り囲むように敵は陣形を組んでいる。


 ならばこのまま大回りに荒野を一週してあらかたケリをつけてやろうと目論むウルフハウンドだが、駆け抜けてやるべくした前方の地雷原が一斉に爆破、大きな土煙を上げて前方の視界をふさがれる。

「チッ……! めんどくせえな、だったらお望み通りに出て行ってやるよっ! ただしノロマなおまえらじゃこの俺さまのギャングは捕まえられないぜ!?」

※まだ執筆途中です! 随時に更新してまいります(^^)
もろもろの都合で次回のお話が先行公開されますが、こちらもヒマあらばきちんと更新してまいります(^^;)

 →次回、#005へのリンクが以下になります(^^)/

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