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ルマニア戦記/Lumania W○× Record #026

主役のクマキャラのパイロットスーツをリテイク!今回から新しい見た目に変わります(^o^)

フロント

所属する軍のナショナルカラーのグリーンをベースにしているのですが、ダークグレーとか黒とかでもいいような?あんまり色が暗いと悪役みたいになっちゃうのかな(^_^;)

バック

後ろから見るとかなりアレなカンジになるのですが、慣れですかね??おしりの上にちょこんと出ているシッポがキュートですw

 たぶん被らないけど、パイロットスーツに合わせたヘルメット(クマメット?)もデザインしました(^o^)

   新キャラ登場!

#026

 Part1


 当初の駐屯先であった大陸中央部の砂漠の陸軍基地から、もろもろの都合でこの大陸北岸の、さらに西の外れへ――

 やや辺鄙な港湾都市にその巨大な船体を休めることとなった、ベアランドたちの大型巡洋艦だ。

 そのいきさつまでにもひともんちゃくあったのは伝え聞くが、数日が経ち、船外に出る下船許可が下りるまでには状況は落ち着いていた。とは言え、いつスクランブルが掛かるかはわからないので、あまり遠出はするなとのお触れは出ていたが……。

 前回の航空部隊同士の戦いがやや消化不良気味だったので、この決着をつけるべくしてかの敵がふたたび襲来するのは、現場の隊員ならたやすく予期しえただろう。
 
 無機質な軍艦の中でまんじりとしないより、心身ともリラックスするためにひさしぶりに街に繰り出せるのはきっといいことであった。

 同じ部隊のクマ族のベテランコンビもやたら上機嫌なさまで、どこそこに行こうと算段しているようだ。
 どうやら近場にクマ族向けの有名な観光地があるらしい。

 だがあんまりそういったことに興味がないこの隊長自身は、船外ではなく見知った船内の見慣れた場所へと足を運んでいたが。
 それでもこの内心はうきうきとした鼻歌交じりにだ。

 そうこうしている内に何やら前方に見知ったようなクマ族の背中を見かけて、気楽に声をかけるベアランドだ。
 あちらもご機嫌な鼻歌交じりで、その足取りが軽かった。

「あ、やあ! そこのきみってニッシーだろ? おはよう! ずいぶんとご機嫌だけど、さては街にお散歩に行くのかい、パイロットスーツ以外の姿をはじめて見たけど、えらくラフだな? でもそれなら違和感なく溶け込めるよね! 似合ってるよ♡」

 いつものぎちぎちに全身を固めた地味な見た目の上下のつなぎではない、むしろやたらにラフな半袖半ズボンの若いクマ族くんの格好に、見え透いたおべっかを言ってやる部隊長さんだ。

 これにふとこちらを振り返った当のクマ族は、はじめぎょっとしたさまで目を見張らせたりした。

「あん? ああ、どうもっ……て、でかいな! アーマーじゃん!! いや、つうかなんすかその格好、隊長さんこれまでそんな大仰なスーツなんて着てなかったじゃないすか? うわ、上から下までガチガチじゃん、なんか引くわあ……!」

 言いながらひとのことを上から下までねめ回す新人パイロットの呆れたような言葉には、思わず苦笑いになるベアランドだ。
 おろしたての新型スーツは、控えめに言ってもこの見てくれが頑丈で大げさで、おまけかさばるし重たくもあった。

 個人的にはがっちりした着心地がとてもしっくりしてかなりのお気に入りなのだが、傍から見るにはしんどいらしい。
 その前にあったふたりのおじさんたちも口々にそんな反応(クレーム)をくれていた。

「ひどいな! みんなおんなじことを言ってくれるよ。もしかしたらこれが正規のパイロットスーツになるかもしれないのに? でも犬族たちはこんな重たいの着たりしないのかなw ま、ぼくらいかついクマ族にはまさしくうってつけってことで!」

「はあ、おれはかんべん願いたいかな……? それよりなんでそんな格好なんすか、まさかそれで街まで降りるとか?」

 そんなやや怪訝なさまで見てくる傭兵パイロットにまたも曖昧に笑っていかつい肩を左右ともすくめさせる。

「いやさ、ほら、せっかくだからこの格好でコクピットシート周りとのマッチングをしようかと思って? いざぶっつけ本番じゃ何かと不安だし、リドルも付き合ってくれるって言うからさ!」

「マジすか? せっかくの休日なのに、しんどいわあ! ちゃんと休んでくださいよ。隊長がそんなんじゃ他が気を抜けないし」

「いや、そんなことないんじゃないのかな?」

 部下のおじさんたちは思い思いの格好に身を包み、新しく入った新人のブタ族を伴ってとっくにこの船を下りている。

 対して若いクマ族のチーフメカニックくんは、外に出るよりメカをいじってるほうが楽しいと言い切っているから、無理に連れ出すこともできなかったわけで。ちなみにもうひとりのベテランのクマ族のチーフメカニックも同様の理由で居残りのはずだ。

 第二小隊のオオカミ族の隊長たちはよくわからないがきっと好きに方々を巡っているのだろう。気配はとっくになかった。

 そういえばこのクマ族の相棒である、若い犬族の女社長はどうしたのだろうかと内心で思っていると、それとおぼしき気配を背後に感じるクマ族の隊長さんだ。軽やかな足取りの足音がタッタと近づいてくる。おまけ甲高い声音がこれに続いた。

「あれ、ふたりでこんなところで立ち話? あんたその隊長さんと話すことなんて何もないでしょうよ? それにやだ、襟付きの服くらい着たらどうなの? 学生さんでもあるまいに!」

 顔を出すなり言いたい放題言って澄まし顔でふたりのクマ族たちを見上げてくる、それは勝ち気な女パイロットだ。
 対してラフな格好を揶揄されてちょっと鼻白むクマ族の平社員だった。それってモラハラじゃねえのかとでも言いたげなさまでせいぜい不満げな口ぶりする。

「学生じゃねえ、ゲーマーだぜ! 普段の服装にまで口出しされたくねえや、いかに雇い主の社長さまでも? そっちこそどうなんだよ、遊ぶ気満々じゃん! おれ、連れ回されんの??」

「当たり前でしょう? あんたはあたしのボディガード兼パイロットなんだから。雇用形態の契約書類に目を通さなかったの? だとしたらあんたの落ち度だから、黙って従いなさい。ほら、さっさと行くよ!」

 そんないつものつんけんした口ぶりで部下の愚痴をはたき落とすサラに、笑って相づち打つベアランドだ。

「仲がいいね! ま、せったくだから楽しんでくればいいよ。ぼくも余裕があったら街に繰り出してみようかな? 居残り組みのリドルやイージュンと一緒に♡ 街で出くわしたらよろしくね!」

「はあ、でかくてとろくさいクマ族さんは御免被るんですけど? あたしの足に付いてこれるなら構わないけど、うちにもとろくさいのがいるから、そっちのすばしっこそうなチーフメカニックくんとならトレードしても構わないかしら!」

「おれが御免被るぜ! なんで非番の時まであんなクソでかいクマのおやじと……マジ死ぬって……」

↑失敗して、結果、↓下の挿し絵に差し替えられましたw



 げんなりして肩を落とすニッシーだ。
 なおのこと苦笑いの隊長さんはしたり顔して言ってくれる。

「あははw じゃ、とにかく楽しんでおいでよ。たぶんそっちに行くことはないだろうから、ふたりとも気兼ねなくさ!」

「もちろんそうさせてもらいます。ふふ、とってもものわかりのいい隊長さま! あとでお土産のひとつでも差し入れしてやれるかもしれないから、どうぞ期待せずに待っててくださいね?」

「何だよ、じぶんだってめちゃめちゃ観光気分じゃん……!」

 気楽にピースサインを肩越しに見せてくれる女ボスに、がっくりとうなだれながらすごすごと歩いていく肥満気味のクマ族だ。

「うん。期待はしないよ。なんかコワイから! あはは♡」

 ふたりの傭兵コンビをお気楽に見送ってみずからも目的の場所へと向かうベアランドだ。入ればいつもと変わらぬ喧噪と活気にあふれたアーマーデッキには、すでにふたりのチーフメカニックたちがこの隊長の登場を真顔で待ち構えていた。

 Part2


 クマ族のエースパイロットの新型機をはじめ、各隊のアーマーを収容する広大なデッキフロアは、巨大な戦艦の中でもこの船底に位置した。

 その中でもみずからのアーマーが格納された大型機専用の中央デッキに向かう。するとそこには専属の若いチーフメカニックの他にも、オオカミ族たちの小隊のチーフメカを担当するはず、ベテランのクマ族のおやじまでが何食わぬ顔して立っていた。

 ちょっと意外そうな顔でこれを見るベアランドだ。

「あれ、イージュン? どうしたんだい、そんな気むずかしい顔して?? 第二小隊のチーフメカニックはこんなところに用なんてないはずだろうさ!」


 こちらとしてもそんなおやじに用はないと口にはしないまでも、この口ぶりと態度で言ってしまっていたものか?

 ちょっとむすりとしたさまのベテランのクマ族メカニックマンは、口をへの字にしていかにも不服げなさまだ。

「……なにって、お前さんのところのお邪魔虫どもの大型機のメンテもしているだろう? これおれは。用がないなんてことはないんだよ、失敬な! あとちなみに、当のお邪魔虫、あののろまなクマ助くんはどこにいる?」

 となりに立つリドルが苦笑いで見ているが、こちらも同様に肩をすくめさせるクマ族の隊長さんは、ついさっき別れたばかりの若い新人パイロットのクマ族のことを思い浮かべながら答えた。

「ああ、ニッシーならついさっき、ボスのサラに連れられてこの船を降りていったよ? なんでも彼女のボディガードなんだってさ! パイロットやらエスコートやら、新人の平社員くんは何かと大変だねw」

「どうでもいいけどな! あのバカ、完全にあの女社長の犬族の尻にしかれてやがるだろう? 情けないはなしだ。こちらとしてはちょっと聞きたいことがあったんだが、ついでにおまえさんの意見も聞いてみたいところだよな。後でちょっといいか?」

「ん、まあ、構わないけど? ぼくに聞いたところで何もわからないんじゃないのかな?? それにこっちはこっちでやることあるから、どのくらい後かわからないよ」

 仲間達が続々と船を降りて羽を伸ばしに行っているのに、じぶんだけがここに来た理由をそれと大きな身体をガチャガチャと揺らして示してみせる。するとだが相手のクマ族のおやじはそれでかまわないさと真顔でうなずく。おまけこれまでよりもずっとごちゃごちゃとした見てくれのいかついパイロットスーツを微妙な顔つきで見ながら言ってくれた。

「思ったよりもずっと大げさなスーツだよな? まだテストケースなのか、もとよりそんな邪魔くさいもの犬族たちが着たがりやしないだろう? 特にあのやかましいオオカミ族の隊長とか!」

「まあ、そもそもであれのかさばるプロテクターを外して軽量化させたスーツで戦場に出るなんてのも珍しくないらしいからね? あくまでぼくらいかついクマ族向けの仕様なんじゃないのかな。でもニッシーやダッツやザニー中尉たちも、これを見たらばみんな口々に嫌がっていたけども!!」

 わはは!と破顔して楽しげにぶっちゃけるのに、対するオヤジのクマ族もイヤそうな顔してでかい頭を左右に振ってくれた。

「悪いが、おれも御免被る! ま、おれは着ることなんてありやしないが、生存確率を上げるためには致し方ないことなのかもしれないな? 昨今、アーマーの性能が格段に向上している都合、中身のパイロットもそれなりに身なりを整えないと、釣り合いが取れ無いんだろう。特に、その、な?」

 意味深な目つきをこちらは隣の若いクマ族に送っての言葉に、それを受けるチーフメンテナンスは素直にはいと受け答える。

「は! とてもお似合いであります、少尉どの! 最新鋭のアーマーに乗るのであれば、そのくらいに頑丈なスーツを着ていただかないとさすがに心配でしたので……!! そちらは対Gスーツとしてもとても有効な性能があると聞いております」

「ま、毎度毎度出撃するたびにあんな無茶苦茶なことをしているんだから、このくらいの保険は掛けてもらわないとな? まったく割に合わない! てか、おまえさん、ほんとに似合っていやがるよな? 冗談みたいな見てくれしてるのに!!」

「はは、そうかい? ま、冗談みたいなぼくの相棒のアーマーとこれでちょうど釣り合いが取れるのかな? イージュンが言ってるみたいに! 前のヤツもあれはあれで愛着があったんだけど」

 いかつい肩をことさらに大きく揺らして笑う隊長さんだ。

 これを白けたさまで見ながらまた意味深な目つきでベテランのメカニックが言ってくるのには、ちょっと苦笑いでこの視線を逸らしたりする。

「聞きたいことはまだ他にもある。まあその、聞いた話じゃ、また新しいアーマーが入ってくるんだろう? しかもふたつも! 懲りないよな。さてはあの熟練コンビのクマ族ども向けなんだろうが、おまけにコイツが出所が一切不明のとってもいかがわしい機体と来てやがる……そうなんだよな?」

「ああ、よく知ってるね? ひょっとしてリドルから聞き出したのかい? とは言え、まだ本決まりじゃないから中尉どのたちには言っちゃだめだよ? ぬか喜びさせちゃ気の毒だし。出所が不明なのは、そんなのもうみんな慣れっこだろう?? まずこのぼくの相棒のランタンがアレっちゃアレだし♡」

 むしろ出所がはっきりしている機体の方が少ないじゃないか! 

 しまいにはそんなことまでぶっちゃける隊長さんの発言には、小隊付きのメカニックの青年が苦笑いでうなずく。これにはそのとなりのオヤジもあきれ顔でうなずいて、また苦言だかクレームだかをぶちまけれてくれるのだ。

「まさしくだな! あのボンクラの新人くんの大型機はおろか、その連れの犬族の高機動型のももはや正体不明のアンノウン、見たことも聞いたこともありやしない! もっと言ったらおれが担当している第二小隊のやせオオカミのやつも、それに近いぞ? マニュアルもメンテナンス向けの仕様説明書もへったくれもないんだからな! ブラックボックスだらけだ!! ヘタにいじれないだろう?」

「とか言いながら、そういうのがとっても好きなんじゃないのかい? でっかいクマのおじさんが寝る間も惜しんでこれまたどでかいアーマーと取っ組み合いしてるって、もっぱらの噂だよ。みんなありがたく思わないとね!」

「どうでもいい。好きでやってることだからな? だがせめて協力はしてもらいたい。やるからにはだな!」

 プロのメカニックとしての矜恃みたいなものをでかい鼻づらに浮かべるオヤジは、鼻先でふんと息をついて、そこでまたちょっと口をとがらせたりする。不満げなさまに大きくうなずくベアランドだ。


「まあ、中にはそんなものつっぱのける恩知らずなヤツらもいるわけだが……! 近づくと露骨にイヤな顔をしやがるからな? だがあいつらの機体も、やっぱりわけがわからないよな、それが後部デッキを占領しちまってるときたもんだ! よくこうもポンポンと受け入れやがるよな、本来ならそこのおまえさんのデカブツで手一杯のはずなのによ!!」

「あのゴリラくんとネコちゃんのアーマーか! 確かに型式も国製も不明でそのくせびっくりするくらいに高性能なんだけどw でも大丈夫、そこらへんはうちのリドルが興味あるみたいで、探りを入れてるようだから、ね?」

 おとなしくふたりの話を聞いていた物腰の穏やかな青年メカニックは、明るい表情ながらあいまいにうなずく。

「ああ、はいっ、まあ……! ヒマを見てお邪魔してはじめは遠くから見学させてもらって、少尉どのに調達してもらった高級バナナを差し入れしていたら、ゴリラ族のベリラさんは近頃は普通に話しかけてくれるようになりました。相棒のネコ族のイッキャさんの目を盗んで触らせてくれたりもしますし?」

「バナナ? おまえ、それって餌付けじゃね? あのゴツいゴリラ相手によくもまあ、そそのかしてるそっちの隊長さんも隊長さんだが、ならネコちゃんは何をくれてやったら仲良くなれんのかね?」

「お金じゃないのかい? はは、別にモノなんてあげなくてもリドルの腕があればなんとでもできるよ。アーマーにメカニックはつきものじゃないか? しょせんパイロットだけじゃ運用なんてできないんだから! 黙ってたっていずれ必要とされたさ♡」

「そんなもんかね? いや、これからまたふたつも増えるかもしれないってのに、そんな余計なもんにかまけていたら身体がいくつあっても足りないんじゃないのか? まあいいや、実際にきたなら、そのうちのひとつくらいは受け持ってやるよ。ただし、あの落ち着きがなくて反応がやかましそうなグレーのじゃなくて、むっつりした赤毛のおやじのほうをだな?」

 何食わぬ顔でそのくせにしれっと言ってのけるのを、若干吹き出し加減に了解する隊長さんだ。

「そういう認識なんだ? イージュンこそほんとに好き者だよね! 実はそれが言いたかったてあたり? 博士もある程度は協力してくれるだろうけど、リドルとノウハウの共有ができたならそれに超したことはないから、大歓迎だよ! 感謝感激!!」

 満面笑顔で舌なめずりまでするエースパイロットのクマ族に、ベテランのクマ族メカニックマンは何食わぬさまでとぼける。

「ふん。来たらの話だ。それにまだ他にも聞きたいことはある。若造の大型機はあらかた攻略したんだが、ひとつだけ良くわからんことがあって、そのあたりをだな? 当人に聞いてもわからないとかぬかしやがるから、ガチのパイロット目線の意見を聞きたいんだよ。あいつをとっちめて無理矢理に突き止めるのも手なんだが、あのボンクラくんときたら必要な時以外はこっちに顔を出しやがらない! なめてやがる」

「メカニックのおじさんがそんなおっかないからじゃないのかい? まあいいや、それじゃ早速、このスーツとコクピットとのマッチングをしちゃおうか。リドル、イージュンと一緒にコントロールでシミュレートをしておくれよ。シビアなのでかまわないから、機体の射出出撃から敵の編隊との会敵、交戦までひととおりに……! 半日くらいかけてくれてもかまわないから」

「はっ、了解であります! 少尉どの!」

「はあ、おまえも好きだよな? 半日は長いだろう。途中で抜けさせてもらうかもしれないが、終わったら声をかけてくれ」

「はっ、了解であります! イージュン曹長!」

「おまえは真面目すぎる。だったらおれはもう一度あっちの大型機の最終チェックに入るから、そっちはふたりでよろしくやっててくれ。じゃあな!」

 ドスドスと大きな足音を響かせて、じぶんたちとは反対側で向かい合わせに収容固定されている大型の機体へと歩み去るでかくてまあるい背中をにんまりとした笑顔で見送るベアランドだ。

「どの口が言うんだか、ひとのこと言えやしないじゃないかw」  

 そうしてみずからはくるりと頭を巡らせて、己の愛機の固定されたハンガーへと大股で進んでいく。ここからではそのコクピットブロックは見上げるほど高くにあるのだが……。

「あ、少尉どの! ちゃんと昇降機を使って上がってくださいね! 自分は管制室からモニターしておりますので、およそ30分後にスタートとさせていただきまして?」

 いつものノリでジャンプしてタラップをまとめて飛び越えようとしたのをまんまと呼び止められて、舌を出して振り返る。

「……おっと、そうだった! あ、でもだったら緊急発進モードで10分以内にスタートってことにしようよ? 本気で半日もかけてやるつもりもないからさ♡ どうにか集中して二時間くらいでやっつけちゃおう!」

「了解であります!」

 そんな軽口混じりにした軽い演習のつもりだったのだが、それが10分後には現実のそれになることを、この時はまだ誰も知る由はなかった。


 Part3






プロット
ベアランド単機での出撃?
所属不明機?
ダン シャルク公爵? ボヤージュ?
パズル クロウ