オリジナルのノベル「ルマニア戦記」とおんなじ世界線で完全おふざけのおはなしをやってみようw いわゆるケモ〇モちっくなヤツ???
「くまくまベアーズ♥」

(NHKで)アニメ化を勝手に目指しているガチの創作コンテンツ「ルマニア戦記」のスピンオフ?同一世界線のおはなしの完全におふざけのケモホモちっくなヤツをやってみますwww
登場人物/メカ





(NHKで)アニメ化を勝手に目指しているガチの創作コンテンツ「ルマニア戦記」のスピンオフ?同一世界線のおはなしの完全におふざけのケモホモちっくなヤツをやってみますwww
オープニング オーケストラマーチ
出撃!
ノリのいいポップかロック調の主題歌?
「ルマニア WAR RECORD」
さあ飛び立て! 青空突き抜け!
どんなに窮地に立たされても、かならず笑って立ち向かう
クマの一撃!食らってみるかい?
きっと腰抜け面食らう!
昨日の敵は、今日の友!
「デッキの一コマ」
トゥーントゥトゥントゥン トゥーントゥトゥントゥン トゥーントゥトゥントゥン トゥトゥトゥン ×4
トゥトゥトゥン トゥトゥトゥン トゥトゥトゥン トゥトゥトゥン トゥトゥトゥン トゥトゥトゥン トゥントゥントゥン ×2
エンディング
「その先へ…」
その先の、先の、先の、先の、先へ…
間奏♪ ディリーリー ディリーリー ディリーリー リーリー
果てしのない道のり、
この果てしなく、続く道、見渡せども、限りなく、疲れ果て、道に迷い、歩みが止まる、時もあるさ
でもきっと行ける ひとりじゃないから きみとなら どこまでも おそれずに この道の ひたすらまっすぐ その先へ
転調♪
越えてゆこう どんな困難 この行く手を はばむとも ふたりならかならず やりきれる きっとそう やりきれる
この道の先へ ずっさその先へ ふたりなら いつまでも きっとそう ずっとそう その先へ ただその先へ
「戦士の休息」
明日はどっちだ? 道に迷った戦士たち
今日の戦いくぐり抜け、戦火に行く手をはばまれる
それでも未来を信じ抜く パイロットたちは恐れない
「夢追い人 無限の彼方」
夢 希望 未来 それは誰しも見られる
でもそれは夜空の星とおなじ
「復讐リベンジ♪」
ダダダ・ダンダン ダダダ・ダンダン ダダダ・ダンダン ダンダンダン ×2
ボコられたって ハブられたって そんなの勝手にやらせとけ
イジられたって 笑われたって そんなのまったく関係ない
くじけずに行け ゴールはまだ先 世界は広くて果てしない
そこだけで見るな 前見て進め 進んだヤツだけその手が届く
中心じゃあない でもこの世界で お前の自由を手に入れろ
進んだ数だけ扉は開く 広く高くどこまでも さあ
ワルにはなるなよ バカでもいいけど 努力だけは怠るな
落ちるヤツは落ちるだけ 諦めなけりゃ 自由になれる
輝いた未来が まぶしく照らす 誰もがうらやむ 努力の軌跡
誰もイジれぬ お前の輝き それこそ おまえの復讐リベンジ!
ムーディなラブソング、ないしノリのいいお下劣ラブソング?
ドタバタラプソディー♪
愛してるんだ 伝わらなくとも♪
LOVE The MACHO LOVE♪
伝わらないこの思い 伝えきれないこの気持ち
ああ このまま どうか どこかへ 連れ去ってくれ
遠くへ
遠い、遠い、遠い、遠い、遠いどこかへ…
あなたといきたい
どうか遠くへ ずっと遠くへ わたしを どこかへ どこかへ どこかへ あなたがいるなら それだけでえいい
主役のクマキャラ、「ベアランド」のこれまでの変遷…
主役メカの変遷…
#020
※これまでのあらすじ※
海を越えて新天地の中央大陸に足を踏み入れるなり、海岸線から一気にその内陸部にあるという、敵基地への進軍と奇襲攻撃、そしてこの地域一帯の占領――。
因縁続きの強敵たちとの海上の攻防戦から立て続けのハードな作戦が、だが意外にも、いともあっさりと遂げられてしまった。
この作戦の先鋒部隊として突入したベアランドたちクマ族のアーマー小隊は、そこでこの大陸「アストリオン」の若手の正規軍兵士、ブタ族のタルクスと出会い、それによって連れられてきたある重要人物、イヌ族のシュルツ博士とも無事に合流。
その後に彼らの母艦であるトライ・アゲインとも合流し、今は完全に廃墟と化した元陸軍基地の滑走路に停泊する母艦の中で、それぞれがひとときの余暇を過ごしていた。
Part1
クマ族たちが属するルマニア軍の中でも、最大規模と性能を誇る、超大型の最新重巡洋艦の、そこは広大なハンガー・デッキ。
その中にいつの間にか見たこともないような巨大な人影があるのを、神妙な顔つきで見上げる、ふたりのクマ族の姿があった。
どちらもクマ族の中ではかなり大柄で、共にしげしげと興味深げに見上げては、その二体の人型戦闘ロボットを観察している。
その中のひとり、濃緑色のアーマー・パイロットスーツにその身を包んだ、若いクマ族が言った。
「ほんとにどこからどう見ても、どこにもさっぱり見覚えがない機体だよな、このどちらとも? 実際、どこの国の軍隊にだってこんなおかしな見てくれのアーマー、ありゃしないよね? てことは完全にオリジナルの機体、なのかな??」
そう心底いぶかしげにこの隣に立つクマ族、じぶんよりもさらに大柄でふとっちょなチーフ・メカニックマンに聞くのだった。
すると聞かれたもう一方、メカニックマンのくせにパイロットスーツみたいな、やけにがっちりとした作業着を着込んだ巨漢のクマ族、年齢的にはもういいおじさんのイージュンは、さも気のない返事で答える。
目の前の巨大な人型戦闘ロボに、果たして興味があるのかないのかわからないようなそぶりだが、本心はどうだかわからない。
「……オレも、こんなのは初めてお目に掛かったよ。できればどっちも全身バラして細かいところまで見てやりたいもんだが、これ以上、仕事を増やされてもたまらない! かと言えあの機械小僧のおチビちゃんも、今はおまえさんのおばけアーマーにかかりっきりで、ろくすっぽ手が回らないんだろう?」
じゃあどうするんだよ? と逆に冷めた目つきで聞かれてしまって、さあ? とばかりに、みずからの大きな肩をすくめさせる若手のエースパイロットの隊長さんだ。
「まあね? でも向こうさん、あの若いネコ族とゴリラ族くんたちも、じぶんたちのアーマーには勝手に触らないで欲しいって話だったから、いいんじゃないのかな? アーマーを収容するデッキさえあれば、後はじぶんたちでやってくれるらしいよ。きっと慣れてるんだね♡」
「そんなもんかね? 言えば流しで戦場を渡り歩いてる傭兵くずれどもなんだろう? こんな見るからに怪しい珍奇なアーマーを道連れにしてちゃ、往生することばかりだろうにな……!」
半ば呆れ混じりの言葉に、内心ですっかりと同意して苦笑気味にうなずくベアランドだ。
「ま、いろいろと訳ありみたいだね。でもどうしてかうちのボス、艦長とも知り合いみたいなカンジだったけど? 違うのかな??」
「ああ、そういや、我らが総大将の艦長さまがわざわざブリッジから降りてきたんだろう? あのならず者達に会うために??」
やけに不可解げなメカニックマンのセリフに、こちらもさも不可思議そうに目をまん丸くして答えてやる。
「まあ、素性のわからない人間をおいそれと旗艦のブリッジに上げるわけにもいかないから、便宜上そうなったんだろうけど、詳しくはわからないな。あのふたりに聞いてみないことには。でもふたりともきょとんとしていたような? あんな大御所のスカンク族さまが、一方的な知り合いってことでもないだろうにさ!」
いいながらこの太い首を傾げて、ちょっと前のことに思いを巡らせるベアランドだ。
そう、このじぶんの立ち会いのもと、デッキのブリーフィングルームで相対した老年のスカンク族の艦長と、若いふたりのアーマー乗りたちは、そこではろくに言葉をかわすこともなかった。
だが、そこでふとしたひょうしに顔色を和ませる艦長どのが、確かにこう言っていたはずなのだ。
『ん、おまえたち、大きくなったな……!』
『??』
それを傍でいぶかしく聞くクマ族なのだが、しかし当のネコ族とゴリラ族も意外げなさまで、この目を互いに見合わせていた。
あまり意思の疎通らしきは感じられない。
果たしてこの艦長だけが得心したさまで、その場を後にするのだった。このあたり、たぶん当人たちに聞いたところで、わからないのだろうと推測するクマの隊長さんだ。
しきりに正体不明のアーマーを見ているにつけ、不意にこのとなりででかい身体を身じろぎさせるメカニックマンがささやいてきた。
「お、噂をすればなんとやらだ。やっこさんたちが戻ってきたぞ? てか、あいつらっておまえのとこにつくのか? それともあの口やかましいオオカミ野郎か? 面倒だからおまえのとこに入れてほしいな。第二小隊だったらこのオレの受け持ちになっちまうだろ!」
ちょっとイヤそうな口ぶりに、これまた苦笑いでそちら、右手に視線を流すクマ族の第一小隊隊長どのだ。
「ああ、ブリッジから艦長と一緒に降りてきたオペレーターのイヌ族くんに、この艦のおおよそのところを教わってきたんだろ? ちなみにふたりともぼくらとは独立した、別個の部隊編成になるはずだよ。いきなり編入してもうまく部隊として機能するはずがないし、はじめは守備部隊くらいでいいんじゃないのかな?」
「それがいいな。仕事を増やされたくないし、アーマーを独立して運用するんなら、どうかデッキのすみっこでやってもらいたい。いつまでいるかも怪しいんだろ、ぶっちゃけ?」
「どうだか? できたら本人たちといろいろと話したいんだけど、あいにくで今はまた、別のお客さんが来ているから……!」
「ああ、あの例のキチガイ博士さまか、ちんけなイヌ族の! ん、噂をすればこれまたなんとやらだ。お出ましになったぞ?」
この船幅が通常よりも倍くらいもある超大型艦の構造として、大きく左右に分かれたデッキを中央でつなぐセンターブロックにあるエレベーターから姿を現した、二人の新参者たち。
そしてそこにこれまた新たな新参者、こちらはやけに小柄な人影が、おとなりのもうひとつのエレベーターから出現する。
こちらはおまけでお供の若いブタ族を引き連れていたが、それを置き去りに早足で突き進むイヌ族の博士は、脇目も振らずでまっすぐにこちらに向かってくる。
それに後から大慌てでこれに追いすがろうとするブタ族、名前は確かタルクスとか言ったはずの若手のパイロットなのだが、いきなりけつまづいてはそれきりあえなくその場にいたゴリラ族とネコ族にとっ捕まっていた。
なにやら騒動になっている。
もはや独りよがりなイヌ族には、すっかりと見放されていた。
新人同士のブタくんはいっそそちらに任せて、まずはこちらに向かってくる問題児のイヌ族と向き合うベアランドだ。
隣のイージュンは浮かない顔で、ただじっと目配せしてくる。
つまるところでお前に任せると言っているようだ。
確かこのベテランの技術屋の師匠は、こちらのお抱えの若手技術主任とも共通で、おまけに同じイヌ族ながら問題の博士とは、それこそが犬猿の仲で有名だったはずだ。
どうやら弟子の立場からしても苦々しい存在らしい。
混ぜるな危険……!
言われるまでもなくそれと察するクマ族だった。
それだからリドルと博士には互いにこのことは伏せておこうと心に固く誓うベアランドだ。
「ほんとにこれ以上めんどくさくなるのは勘弁願いたいからね! うわ、すんごい真顔だな? 博士、どうも♡ ところで何をそんなに急いでいるんだい?」
適当に当たらず障らずして語りかけてやったところ、すぐにもこの脇を通り過ぎる勢いの白衣の老人は、だがそこでピタリと立ち止まる。挙げ句こちらを見上げたかと思えば、つまらないものを見るようなひたすらな真顔で言ってくれた。
「ふん、おまえこそ何をそんなところでのんびりしているのだ? 時間は有限、一秒たりとも無駄にはできないものを……! ならばさっさとこのわたしをきさまのアーマーのところまで案内しろ。無論、主任のメカニックにも招集をかけてだな! この艦の構造からすればあちらなのだろう? ゆくぞ!!」
「あ、そんな急がなくても……行っちゃった!」
「いいから行ってこいよ、ゴリラと猫と、あとついでにあのぶぅちゃんの相手はオレがしてやるから!」
ベテランのメカニックにそう促されて、やれやれとその場を後にするクマ族のパイロットだ。
見ればイヌ族の博士はシッポを左右に大きく揺らしながら遠くの角をさっさと曲がってこの姿を消す。
いいトシなのに元気だよなあw。
とか言いながら、独りよがりで偏屈な博士が行った先でおかしな問題を起こしていないかを想像したら、自然とじぶんも早足になっていた。
そして案の定、その先でやはりちょっとした騒ぎが巻き起こるのをリアルタイムで目撃することとなる隊長さんは、またしてもやれやれとみずからの肩をすくめてしまうのだった。
Part2
いわく、弱い犬ほどよくわめく……!
まさしくその通りで、角を曲がった先でそれはキャンキャンとやかましくわめき立てる、小柄な白衣姿のイヌ族の老人だ。
これに内心でいささかげんなりとなるベアランドだった。
そこにはまたおなじくげんなりしたさまのおじさんのクマ族たちがふたり、より近くにいるものだからなおさらに耳が痛そうな顔して、この老博士を眺めていた。
またおなじくクマ族でこちらはずっと若いクマ族のメカニックスーツの青年も、かなり困惑したさまで小柄な毛むくじゃらの犬族にいいようにギャンギャンと噛みつかれている。
いっそ本当に噛みつきそうな剣幕に、やれやれと苦笑いして仲裁に入る隊長さんだ。
「やれやれ、穏やかじゃないな? どうしたんだい、リドル、そちらの博士さまになにか失礼なことでもやらかしたのかい?」
そうあっけらかんしとた軽口みたいにいいながら、実際にはそんなはずはないだろうことは重々承知している。
そんな苦笑いの小隊リーダーどのに、対して小隊のアーマーを一手に引き受ける天才的メカニックの青年、もっと言ってしまえば少年のクマ族は、慌てて敬礼して返してくれるのだ。
陰険にして口さがない博士とは打って変わったとっても律儀で礼儀正しいさまに、またしても、あはは! と苦笑いしてしまうベアランドだった。
「はっ、少尉どの! ああ、いえ、その、じぶんは何も失礼なことなどはっ、て、博士どの? なのでありますか、こちらが?? それは失礼いたしましたっ……ですがいきなりどこからか現れて、このじぶんのことを見るなりに大きくわめかれて……!」
若いクマ族がかなり困惑したさまでおろおろするのをはじめどうにもおかしく眺めてしまうが、それをやはり傍でながめているおじさんのクマ族たちのうんざりした顔つきを見ているにつけ、状況をそれと把握する若いクマ族の隊長さんだ。
「そうか。二人とも今日が初対面だったよね? もっと早くに引き合わせておくべきだったかな。確かにどちらもびっくりだ。こんな小柄なおじいちゃんの博士と、こんなやたらに若くしたチーフメカニックくんじゃ!!」
そう笑い飛ばしてやるのに、当の博士はあからさまに不機嫌なさまでにらみ付けてくる。加えてまたキャンキャンとやかましくのたまうのだった。
それだから広いアーマーのハンガー・デッキの中をキンキンとこだまする老人の癇癪を、右から左に聞き流してはただ鷹揚にうなずくパイロットだ。
「フン、誰がおじいちゃんだ、失敬な! それよりもなんだこの貧相な小僧は? よもやこんな青二才がチーフメカニックだなどとほざくのではあるまいな? まったく飛んだ茶番だ。艦長を呼べ! わざわざこのわたしが出向いてやったのに、みずからの持ち場を留守にしておったあのうつけものをだな!!」
「ひどいな? ああ、そうか、ンクス艦長とは入れ違いになっちゃったんだ。ならもう今頃はブリッジに戻っているはずだけど? でも呼んだところで来てはくれないんじゃないのかな。それにそっちこそ失礼なんじゃないのかい、うちの自慢の天才メカニックさまをただの小僧呼ばわりだなんて! ね?」
そう言って傍で傍観者を決め込んでいる、ふたりのベテランパイロットに同意を求めてやるに、当のおじさんのクマ族たちは、ちょっと慌てて互いの目を見合わせる。
「はぇ? ああ、確かに、見た目はめっさ若いんやけど腕は立派なもんちゃいますか? ぼくらのアーマーを見た時も、機体の特徴や整備のクセを、一発でそれと見抜いてくれはりましたから」
「せやんな! わざわざ言わんでもかゆいところに手が届きよるし、何より、アレなんやろ? この子の師匠はん、めっちゃ有名なブルドックのおじいやんな? なんちゅうたっけ、確かドルスとか、ブルースとか……?」
ザニーのセリフに相づち打つかたちでダッツもうまいこと同調してくれるのだが、あまり触れては欲しくないところまにで突っ込んでくれるのには、顔つきが微妙なものになるベアランドだ。
相棒のザニーもちょっと微妙な面持ちでもってダッツに返す。
ただしそれがだめ押しの決定打となった。
「ブルース・ドルツちゃう? 名機の影にこのひとありと歌われた、泣く子も黙る鬼の整備士(メカニック)! ちゅうか、それってゆうてええんか? そのひと、この博士さんとは犬猿の仲やったんちゃうん?」
「あ、せやった! 有名やんな、めっちゃ! あれ、マズイことゆうてもうたか、おれ??」
「あらら……!」
慌てた調子で見返されても、返事に困る隊長さんだ。
リドルだけがきょとんとしたさまで周りのクマ族の反応を見つめている。ある地方のひなびた陸軍基地で身寄りの無いのを拾って育ててくれた犬族の老人は、まだ現役の凄腕メカニックであれども、みずからの過去の偉業は語ることがなかったらしい。
この目の前の性格冷血にして冷徹な博士と、とかく人情家の機械屋とでは、たとえ同じイヌ族であれど、火と油で交わることがないのは考えなくともわかるだろう。
おかげで微妙な空気がその場を支配するが、仏頂面した博士がやがて目の前の若い整備士に鋭い視線を投げかける。
余計にカンに障ってしまったものかと内心でヒヤヒヤするクマ族のパイロットたちが見守る中で、だがイヌ族の老博士は何食わぬさまで言うのだった。
「ブルース、だと……? ふん、あのくだらないおよそ数値にもならぬ感情やら感覚ばかりをほざくブルドックの機械屋めか? ならばまったく愚にも付かぬ世迷い言ばかりでこのわたしにことごとく楯突いた、あのおおたわけめの教え子だと言うのだな? 貴様は??」
「は、はい? ああ、ブルースは確かにこのぼくの育ての親であり師でもありますが、その父と何か関係がおありなのですか? でもあんまり良好な関係ではなさそうな……!」
ひどく怪訝な青年に、思わずうんうんと頷いてしまう隊長さんだが、この後に続いた博士の言葉には目をまん丸くしていた。
「ふん。いいだろう……! いささか性格に難ありではあったが、整備士としての腕は確かに一流ではあった。それだけは認めてやれる。それ以外はもはや全否定だが、それの弟子であるのならば、それなりのものは期待ができると推測はできるのだろう? ならばこのわたしが直々に見定めてやろう、貴様の価値、ちゃんと数値化したまごうことなきその真価をだな!!」
「は、はい??」
おじいちゃんの博士から真顔で言い放たれたセリフにすっかり面食らって、もはやちんぷんかんぷんのリドルだが、それをおなじく意外に聞くベアランドは、そのくちもとにこれまでとはまた違った苦笑いを浮かべていた。
「へえ、おやおや……!」
意外と気に入ってくれたものらしいとリドルにウィンクしてやる。やっぱりぽかんとしたさまの整備士だ。
「おじい、気に入ってるやん? おれらのチーフのこと!」
「ほえ、それはそれで微妙ちゃう? 正直めんどいでぇ、こないないらちなひと! ぼくやったらパスやわ、パス」
ダッツとザニーが小声で皮肉めいたことをぼそぼそ言っているが、そんなもの一切聞く耳持たない博士はさらに鋭く言い放つ。
「まずはアレの戦術解析データを見せてもらおうか。これまでのものをすべてだな? メインのコントロール・ルームに案内しろ。わたしのラボのメインコンピューターとただちにシステムを同期させ、以後はすべてこちらの指示に従ってもらう……!!」
「ラボ、でありますか?」
まったく話の流れについて行けてない整備士くんに、隊長さんがしたり顔して大きくうなずく。
「ああ、特別に博士専用の研究室を割り当ててもらったんだよね? みずからの個室(セル)じゃなくて、ちゃんとした作業場ってヤツをさ? でも場所がみんなの居住区じゃなくて、ひとりだけ機関室、つまりはこの艦のメイン・エンジンのすぐ隣りの、言ったらデッドスペースの倉庫だったけ??」
「倉庫ではない。ラボだ。ちゃんと資材や装置は運び込まれている。十分なスペースを確保するのにそこしかなかっだけの話」
「は、機関室のおとなりって、ひとが住めるようなとこやないんちゃうか? めっさ揺れるし、音もおっきいやろ??」
「ほえ、あとおまけに暑いんちゃう? そないなとこでアーマーの研究とか落ち着いてできへんのちゃうんけ??」
「まあね……!」
若干引き気味のおじさんたちにはこちらも疲れた苦笑いして、いやはやと肩をすくめる隊長だ。
だが何事でもなさげな博士は、周囲からのつまらない指摘をことごとく聞き流す。おまけしれっと言ってのけた。
「騒音や振動ごときは気にしなければいいだけの話だろう? よもや心頭滅却すれば火もまた涼し、という言葉を知らんのか?」
完全にどん引きするクマ族パイロットたちを尻目に若いクマ族の整備士にくってかかる博士は、しまいには付いてこいとばかりにシッポを一振りして、いずこかへと足早に突き進んでいく。
ただの当てずっぽうでだ。
さっき案内しろとか言っておいて身勝手な振る舞いにびっくりする整備士くんだが、慌ててこの後に追いすがる。
「あ、待ってくださいっ、博士! そちらはただの資材倉庫ですから、コントロール・ルームはあちらになります!!」
「早く言え! この役立たずめが!!」
クマ族のパイロットたちだけが取り残された場には、それきり嵐が過ぎ去ったような静けさがわだかまる。
やがて中でもベテランの赤毛のクマ族が言った。
「ええんですか? 大事な大事なぼくらのメカニックくんを、あないなしょうもないイヌ族のおじいに預けてもうて??」
「……ああ、いいんじゃないのかな? 意外と相性が良さそうな気がしてきたし。あのリドルをキライになる人間なんてそうそういはしないよ。あとあの子の腕の確かさを見れば、博士は決して邪険にはしないさ。そういう人間だよ」
「なんかビミョーやな……?」
あんまり納得がいかないような浮かない顔つきで目を見合わせるクマ族のおじさんたちには、やはり仕方がないよと肩をすくめるしかない、おなじくクマ族の若い隊長さんだった。
Part3
終始マイペースでなおかつキャンキャンとやかましいイヌ族の老博士と、これに慌てて追従するまだ若い青年クマ族の整備班長の気配は、まだしばらくはそこかしこに感じられた。
そこにかすかな反響音(エコー)を伴って。
だがさすがにこの視界からすっかりと消え失せたらば、それきり辺りはシンとした静けさに見舞われる。
おそらくはこの真上の上層階にあたる、目的のコントロール・ルームへと入ったのだろう。そこはハンガーデッキからの出撃射出時のカタパルトの集中制御と、収容された各アーマーのデータが集積される、戦闘を担う現場方の頭脳とも呼べる場所だ。
関係者以外は立ち入り禁止で、立ち入ることができるのはデッキクルーの中でもごく一部に限られる。そこになにかとやかましい博士のわめき声も厳重に密閉されたのだろう。
かくしてかすかにため息ついてその場に取り残された者同士、お互いの目を見合わせるクマ族のパイロットたちだ。
ちょっと疲れた感じで微妙な表情のベテランたちには、ま、仕方が無いよ……! と肩をすくめるばかりの隊長のベアランドだが、折しも背後からはまた新たなる気配がするのにそちらを振り返る。
軍用艦としても縦にも横にも馬鹿げた大きさでひたすらに広い艦内、必要がないところは極力照明が落とされた暗がりの中に、やがて大小さまざまな人影が浮かび上がるのをじっと見つめる。
おおよそでこの予測はついていたが。
よって、今度は博士以外の新人さんたちがこぞってこの場に顔を出してくるのを、まずはただ黙って迎え入れてやった。
背後で低いしゃがれ声が上がるのがわかったが、そう、本国ではなかなか見かけることがない、だが今となってはすっかり見慣れた若いブタ族以外にも、かなりレアな種族がまじっているのにおかしな感慨じみた感想をくちぐちに漏らすおじさんたちだ。
三人いる人影の中でも一番最後につけている、ひときわ大柄な真っ黒い毛だるま、もとい毛むくじゃらでおまけ筋骨隆々としたのは、これが遠目にもひと目でそれとわかる、ゴリラ族である。
言うなればこのクマ族たちの出身地である東の大陸でもそうはお目にはかかれないレア種であり、見たところまだ若いのだろうに、何やら言いしれぬ迫力みたいなものがあった。
まずこの顔だけ見たら、やたらにコワイ……!
その手前に肥満体型のブタ族のタルクスと、こちらは見てくれシュッとした細身で小柄なネコ族がいたが、いやはや後ろの筋肉だるまに見た目において圧倒されて、まるでこの存在感が目立たない。
ただし良く良く見れば、ネコ族でもこれまたレアな見てくれした、かなりクセのある雰囲気の出で立ちなのだが……。
おじさんたちの目にはまるで入らないようだ。
「ほええ、あのゴリラ族のアーマー乗りの子、思うたよりもほんまにゴリラゴリラしてるんやなあ? ちゅうか、ゴリラ過ぎるんちゃう? あんなのケンカしたら勝たれへんて!」
「しっ、聞こえてまうで! まっぴらやわ、あんなゴリゴリの筋肉ダルマとバチボコやり合うなんて、ロケットランチャー必要やんけ! うちの隊長さんくらいなんちゃうか、あんなんと生身で対決できるんは?」
「ぼくらの隊長さんでもキツいんちゃう? 何より顔がコワすぎるわ、愛されへんて、あの顔でバナナが大好きなんやろ?」
「それはええやんけ! ギャップがカワイイやろ、てか、バナナあげればええんやな? バナナであのガタイもちよるんか??」
そんなベテラン勢のしょうもないひそひそ声に苦笑いしながら、新人のパイロットたちに声をかける第一部隊の隊長さんだ。
「やあ、ふたりともこの艦の内部に少しは慣れたのかい? えっと、後ろのいかついゴリラ族がベリラくんで、前のはネコ族の、イッキャくんだったよね? 歓迎するよ、本艦のアーマー部隊大隊長として! 見ての通りで人手が足りなくて困っていたところだからね? もちろん、タルクスも!」
すっかり意気投合した、と言うよりはやや相手に押され気味で足下がおぼつかないブタ族がブウ!と返事をするが、あいにくとでかいゴリラと小柄なネコの反応は希薄だった。
だがここらへん、元から仲良しこよしをする気もないクマの隊長も、まるで気にせずに相手からの返事を待つ。
するとしばしの間を開けて、真っ黒い山みたいなシルエットのゴリラ族くんが、みずからの眉間を右手でポリポリ掻きながらにのんびりした調子の言葉を返してくれる。
「まあ、こちらこそこうしてお世話になるからには頑張らせてもらって、ここの艦長さんからもついさっき破格の待遇を示してもらってるし……! やけに気前がいいのがなんだかビックリだったけど、ねえ、イッキャ??」
「ああ、それはこっちもおんなじだよ、というかやっぱり、思い当たるところがないって感じなんだな? はて……」
相棒のゴリラの言葉にも、細身のネコは曖昧なさまでかすかにうなずくのみだ。そんな相手の口ぶりからこのふたりよりも、むしろ当艦の艦長どの自身に探りを入れたほうが話が早いようだと考えあぐねる。
やはり少しは気にはなったし、このアーマー乗りたちの乗る妙ちくりんなアーマーもかなりのクセがあって、ならばいっそそこら辺からも多少は手がかりが見いだせるかも知れない。
さっきは興味がないとか言っておきながら、今頃はこっそりとでかい図体をそのあいだに潜り込ませて、見慣れない機体をあれやこれや詮索しているにちがいない。あの機械オタクのクマ族のおじさんメカニックに聞いてみれば、それなりにおもしろい答えが返ってくるかもしれなかった。
だったらちゃんとこの時間を稼いでやらなければね!と内心でペロリと舌なめずりするベアランドに、対して小柄なネコ族めがやや怪訝な目つきで見上げながらに返してきた。
見てくれそぶりがやけにのんびりしたゴリラ族とは違って、こちらはかなりカンが利くほうなのかも知れなかった。
「……そうだニャ。ただしありがたく使わせてもらうが、あくまでやり方はこちらにまかせてもらうのだニャ! 余計な指図はやめてもらって、それでも十分なパフォーマンスを出せるはずなんだニャ、このオレたちにゃら!」
真顔でとかくきっぱりとした言いように、背後からまたおじさんたちの声が上がる。
「ほぇ、聞いたか、やけに小生意気なネコちゃんやな? 顔つきからしてえらいふてぶてしいっちゃうか。相棒のゴリラくんはのんびりしてるけど! さてはバナナ切れてるんか? こないな子らとうまく連携なんて取られへんのちゃう、ぼくら?」
「ちゅうかおれらは関係あらへんのやないか? 空なんて飛ばれへんのやろ、あのアーマーどっちも? むしろ地べたかけずり回ってる第二小隊の、あっこの気むずかしいオオカミさんとビビリのワンちゃんたちなんちゃうん、知らんけど!」
「ほえ、そやったらなおさらムリなんちゃうんけ?? ほんまに相性最悪やで! くわばらくわばらや……」
もはや結構でかめのひそひそ声には若干肩をすくめながら、あくまで鷹揚に応えてやるアーマー部隊の隊長さんだ。
「そうかい。なら楽しみにしてるよ。あとメンテナンスは自分たちでできるってことだけど、まともなメカニックがひとりもいないんじゃさすがにアレだろ? とりあえずとびっきりの腕利きをひとり紹介したいんだけど、本人も興味あるような口ぶりだったから。もちろん、余計なことなんてしやしないからさ!」
いかにも軽いノリで言ったそぶりの提案に、果たしてあちらはやや怪訝な面持ちでこの太い首を傾げるゴリラ族だ。
「え、別にそんな気をつかってもらわなくても……? よっぽど大破とかしちゃったらアレだけど、ここっていわゆる最新式のフルオートのマルチ・メンテナンス・デッキだから、ヘタなメーカーのそれよりかよっぽど設備としては整っているもんね?」
嫌がるほどではないがあまり乗り気でないさまなのに、無理強いしたら勘ぐられるなとそれ以上はしつこく言及しないベアランドだ。当たり障りのないことをうそぶいてやる。
「まあね! オートにしても限度はあるから、最終チェックもかねて要所要所でメカニックがいるんだけど、若い子の勉強がてらになったらいいと思って。ま、トシが近そうだからお互いに気も合うと思うし」
「へぇー……」
あんまりピンと来てないふうなゴリラ族、ベリラと名乗ったアーマー乗りはこの場の話し合いにもさして興味がないらしい。
しまいにはてんで明後日のほうに目線が向くのに、こちらもこれ以上の追撃は諦めて、手前にいるネコちゃんのほうに目線を落とした。見ると何やらもの言いたげなそぶりでこちらを見ていたネコ族のパイロットだ。
あとついでに何やら居心地の悪そうにしているブタ族にもみずからの背後を目線で示してほらと促した。
「タルクスは自前のアーマーがまだないんだから、うちの整備主任の補給機を引き継ぐんだよね。だったらそっちのザニーとダッツに連れていってもらえばいいよ。実戦ではこのふたりのベテランたちとつるむんだから、しっかりと話し合っておかなきゃ♡」
「ぶっ、ブウ! ああ、そう言われてみればそうだったんだぶう、それじゃよろしく頼むんだぶう! 先輩のクマさんたち!」
ベテランのおじさんたちと合流して、そこからがやがや騒ぎながらの気配がやがてこの上階へと流れていくのに、そこであらためてネコ族に向き直るクマ族の隊長だ。
するとネコ族、細身で小柄の簡易的なパイロットスーツに身を包んだイッキャは、鋭いまなざしで意味深な口ぶりだ。ちなみに相棒のゴリラ族とは色違いの同一仕様のラフなスタイルである。
「メンテナンスのはなしは聞くだけ聞いておくニャ! しかしそれならこちらも耳よりな話があるのだニャ。うんっ、そう、それは腕利きのパイロットと強力なアーマーの……! 見たところどうやら人手不足らしいから、こちらも悪い話ではないはずニャ」
「ああ、あいつらのコト? 話しちゃうんだ? 確かにあの女社長、クライアントに飢えてるとか言ってはいたけど……」
「ここなら文句のつけようがないニャ。オレたちのアーマーが引き受けられるなら、当然あいつらのアレもいけるはずニャ」
「?」
出し抜けにした何やら思ってもみない話の向きに、はじめただきょとんとしてふたりを見返すベアランドだが、マイペースなアーマー乗りのコンビはふたりだけで話を進めていく。
「ううっほ、確かにさ、ここって大型機が入るデッキがふたつもあって、その内のひとつは空いてるとか言ってたっけ? あれ、これって誰の話だったけかな? ん~……でもほんとにひとつ空っぽみたいだから、入るちゃっあ、入るのかなあ??」
「しっ、余計なことは言わなくていいんだニャ! だが戦力は少しでも多いに越したことはないはずニャ。あいつらはおいしい仕事にありつけてウハウハ、こちらは腕利きのパイロットが確保できてウハウハ、おれたちはどっちにもいい顔ができておまけに恩まで売れて、これまたウハウハのウィンウィンウィンにゃ!」
「あいつらって腕利きなのかな? そこだけが引っかかるけど」
ここに来てやや目つきが怪しげになるベアランドだ。
「あれ、勝手に話が決まりかけてないかい? さっぱりわからないんだけど。まあ、ならとにかく聞かせてもらって、その上でアーマー隊長として判断してから上の艦長に、ああ、もとい、その前にこのデッキを仕切るチーフメンテや、第二部隊の隊長のシーサーの了解も取り付けないといけないし。本国からの援軍が当分見込めないから傭兵部隊の参加はいつでも大歓迎なんだけど、いきなりの飛び込みはさすがにアレだものねえ?」
やんわりと前置きしてからしっかりと釘も差した。
「あと、それで言ったらきみらの実力もまだわからないままだし……!」
「それはおいおい示してやれるのニャ。この艦は常に戦場の最前線を突き進むと艦長が言っていたはずニャ、それならオレたちアーマー乗りの戦いにも事欠かないはずニャ……」
「うほ、だから破格の報酬を確約してもらえるんだものねぇ? なんかドキドキしてきちゃうな。武者震いっていうのか、あんなコソコソしないで正々堂々と戦場に立てるのって、いつくらいぶりだろ? もしかしたら初めてじゃない??」
「だから余計な話はするなだニャ!」
意味深な口ぶりで目を見合わせるゴリラとネコに、それを傍から見ているクマはしれっとかまをかける。
「ああ、そうだ。そういや、ここの基地を襲撃してまんまと壊滅に追いやったのって、さてはきみらの仕業なんだろ? いわゆる正当派のアストリオンに対立する新興革命派の最前線で、これに反抗する地元の現王権支持のレジスタンス勢力が活発に動いているって話だけど、いっぱしの軍隊相手に素手の野党がかなうはずがない。ましてこの前線基地を墜とすだなんて、腕利きの傭兵を雇わないことには、ね?」
もはや決めつけた言いように、果たしてふたりの傭兵たちは無言で目を見合わせた後に、やはり意味深な笑みを浮かべてこちらを見返してきた。
これと言及はないが、顔にはそれと書いてある。
決まりだな……!
予想していた通りなのをはっきりと確信して、それ以上は何も言わないベアランドだ。よってその実力があるのも了解して、ならばあちらの話の信憑性もそれなりには見込めるのだろうとネコ族の提案を聞いてやることにするのだった。
そうして実際にこのアーマー乗りたちの実力を確かめることになるのは、この数日後のことである。
ベアランドたちクマ族ばかりのアーマー小隊に新しく加わった、ブタ族のタルクスの初陣も含めて。
※次回に続く…!
プロット
ベアランド ダッツ ザニー →博士とリドル、離脱。
←イッキャ、ベリラ、タルクス 合流。
イッキャ ベアランドに話しがある。タルクスはダッツとザニーと打ち合わせの予定。タルクスはリドルのビーグルⅣを引き継ぐ段取り。
#020 プロット
トライ・アゲインのハンガー・デッキにて……
登場人物 ベアランド、イージュン、イッキャ、ベリラ、博士、タルクス、ザニー、ダッツ、リドル、(ウルフハウンド、コルク、ケンス?)
お話の冒頭で、いきなりベリラとイッキャが登場。このアーマーもおなじく登場。レジスタンスの一味として砂漠の陸軍基地を攻略したものの、後から来たトライ・アゲインに占拠されてしまい、この奪還を試みたものの、あっさりと見つかってしまう。
口からでまかせ?でフリーの戦術アドバイザーを名乗り、人手の足りない主人公たちの戦艦にノリと流れで乗り込んでしまう。
二つ並んでアーマー、リトル・ガンマンとカンフー・キッドを見上げながら、ベアランドとイージュンのだべり。
イッキャとベリラの元に、ブリッジから艦長、ンクスが降りてくる。「大きくなったな……!」謎の言葉を残して。
博士は、艦長と入れ違いでブリッジからデッキに降りてくる。
タルクスも護衛として同伴。タルクスはアーマーがないので、便宜的にリドルの補給機、ビーグルⅣを乗機とする。
ザニーとダッツ、めんどくさい博士を見送ってからイッキャ、ベリラ、タルクス(博士の後をおっかけてずっこけたところをつかまる)と合流。アーマーのお話で盛り上がる。
ベアランド、博士とリドルの引き合わせ。ダッツとザニー
ベアランド、リドル ← ベリラ、イッキャ タルクス
パート②
アーマー部隊出撃。イッキャとベリラも出撃。ベアランドはお目付役として上空から待機。
※各話にも載せているものと重複するかもしれませんが、そのへんのご愛敬で(^^)/
※上記の図はまだ完成していません。
※主人公たちが搭乗する重巡洋艦、射手座(サジタリウス)級・航空重巡洋艦「トライ・アゲイン」。ルマニア軍の中では最大級の最新鋭艦、つまるところで旗艦(フラッグ・シップ)と位置づけられる戦艦。艦長は、スカンク族の現場方の実力者、北の戦神の異名を持つ、「バルゼア・ンクス中将」。
◎艦橋(ブリッジ)……大型の艦長席を中心に据えた、広いフロアに、補佐官のシート、周囲に航海士長や各オペレーターのシートが壁際に並ぶ。艦長席の左斜め後ろには、ベアランドの専用機「バンブギン(ランタン)」の開発責任者である、シュルツ博士の専用ブースがある。博士の居住区兼実験室セルラボは、エンジンブロック近くのあまりひとが立ち寄らない場所にある。
◎アーマードック……ベアランドたちのギガ・アーマーが収容されるハンガーデッキ。通常の巡洋艦よりもずっと広大で発進口が多数ある。
○センターデッキ……艦のほぼ中心、中央に位置するベアランドの搭乗機専用のハンガーデッキ。マスドライバーシステムを応用した特殊なアーマー射出装置があるが、実はまだ実用段階ではない。
○ライトデッキ……ベアーズ(小)隊、ベアランド隊のザニーとダッツの主に使用するデッキ。
○レフトデッキ……ハウンド(小)隊、ウルフハウンドの部隊の使用デッキ。
○アッパーデッキ……守備隊の使用するデッキ。イッキャやベリラ、上昇射出機を利用できるアーマー、サラやニッシーなども利用する。
○アンダーデッキ……艦の最下層の下側に抜けるデッキ、主に上空からのアーマーの投下、海上、海中への投入に使用。
#014
Part1
その時、実際の現場にはどれほどの〝間〟が流れたのか?
それぞれの体感としてはそれは長い沈黙の後、この海域のどこぞかに姿をくらましているものとおぼしき新型の巡洋艦の艦長、犬族のベテラン軍人の声が、再びコクピット内にこだました。
「……どうした? 返事が聞こえないぞ? 聞こえたんだろ? いいから、とにかく撃っちまえよ。お前の機体のメインアームで構わないから、目の前のでかいプラントに一撃見舞ってやれ!」
「ハッ……!?」
果たして上官からのおよそ予想だにもしない命令に、部下である若い犬族のパイロットは、ろくな返事もできないままにひたすらに己の耳を疑っていた。
よもや現実のことかとだ?
これに傍で聞いていた相棒と、混乱した現場を取り仕切る若いクマ族の隊長さんも少なからず動揺して耳を澄ましてしまった。
するとその沈黙に、ややもせずしてまた年配の大佐どのの、ちょっとイラッとした声色が響く。
「おい、でかグマ! おまえの部下どもは耳が聞こえないのか? 上官の命令にろくな返事ができてないだろう! このオレは至って単純な命令しか出してないぞ。目の前の敵に占拠されたプラントを攻撃しろって、ただそれだけだ。簡単だろ、あんなでかいの空からならおよそ外しようがない」
ああ、やっぱり、そう言ってるんだ!
本気なんだとようやく納得しながら、ずいぶんと乱暴なことをぬかしてくれるなと内心で呆れてもしまうベアランドだ。
左右のスピーカーからは、ごくり、と息を飲んだり、ひどく狼狽したりした息づかいが、はっきりと伝わってくる。
いよいよもって混乱してきた状況にひどい苦笑いの隊長ながら、とかく落ち着き払って右手のスピーカーに声をかけた。
「だってさ、コルク? 聞こえているよね、どうやら本気らしいから、ちゃんと返事しないと!」
おそらくは狭いコクピットの中で息を殺して縮こまっているのだろう、毛むくじゃらのワンちゃんに向けて言ってやるのに、当の本人からは切羽詰まったようなうわずった返事が返ってきた。
「はっ、はいっ! 了解っ、あ、ですが、あの、そのっ、あの! し、しかしっ……!」
まともにろれつが回っていなかった。
もはや完全にパニックしたコルクの慌てぶりに天井を仰いでしまうベアランドだが、見上げた先のスピーカーからはやや憤慨したオヤジの声が降ってきたのには、なおさら天を仰いでしまう。
「しかしもカカシもあるか! おい、こいつはれっきとした上官命令だぞ? 貴様、命令を無視しようってのか! 何も遠慮することはない、こっちの本気を見せてやるためにやつらに一発かましてやればいいだけのことだっ、それで大きく潮目は変わる」
決まり切ったことだろうと言わんばかりにきっぱりと断言してくれる艦長どのだ。およそ有無を言わさない迫力があった。
これに若い犬族がなおさら萎縮してしまうのが、モニターの中の様子を見なくてもそれとわかる隊長さんが、仕方も無しに仲裁に入る。
「いや、しかしだね、艦長? そうは簡単に言ってくれるけど、民間の施設にぼくらみたいな軍が介入、しかも実弾を見舞うだなんてのはどうにも穏やかでない……てか、あれって実際に稼働してる大容量かつ大出力のエネルギープラントなんだよね??」
そんなところに攻撃しようだなんておよそ正気の沙汰じゃないのは、まだ若い新人の隊員でなくともそれとわかりそうなものだが、相手の百戦錬磨のベテランはまるで意に介したふうでもなくあっさりとこのクマ族の意見をはたき落としてくれる。
「おい、誰がプラントそのものを攻撃しろだなんて言った? 撃つのはプラントの本体ではなくて、これをコントロールしている制御室、コントロール・ルームだ。当たり前だろう? あの海上ベースの真ん中におっ立っている高いタワーのてっぺんだよ! とにかくそいつを破壊しろ!!」
「そういうことは先に言いなよ! さっきっからさ、大事な部分がまるっきり事後説明になってるじゃないか? でも制御室を壊したりして、平気なのかい?」
苦い顔でうなるクマ族に、相手の顔の見えない犬族はそ知らぬさまでこれまたぬけぬけとぬかしてくれる。
「平気だろ、プラントの内側にサブのコントロール・ルームがあって、そっちがむしろそのプラントの本丸だ。内密に海底資源をくみ上げるのもそっちでやってるんだからな。よってその表に見えてるのはお飾りみたいなもんなんだよ。ただし目立つぶんそこを叩いちまえば周りの敵にプレッシャーを掛けられるし、みんなとっとと逃げ出していくさ。文字通り、シッポを巻いてな?」
「はあ、そんなにうまいこと行くもんかね? コルク、コルク! 聞いてるかい?」
押し黙ったままの犬族に話を振ってやるに、やはりテンパったままの当のコルクは、ひどく苦しげな返答を返してくる。
「で、ですが、あの、あのコントロール・ルームには、民間人のクルーがいるのではっ? なのにそこをじぶんが撃ったりしたら……!!」
もっともな意見だったが、内心で首を傾げる隊長さんだ。
「ああ、いや、そんなに派手にど真ん中にぶち込む必要もないんじゃないかい? ちょっと天井とか、目標のやや下あたりにめがけてさ、あんまり被害が出ないくらいのを……!」
そもそもがこんな状況だからとっくに退避している可能性もありそうなもので、性格的な心配性が過ぎるだけとも考えられた。
だがこれに天井のスピーカーからは、いよいよいらだった犬族のオヤジ様のかんしゃくが降り注いでくる!
「いいから、オレは撃てって言っているんだよ! 構うことはない、躊躇してると敵さんが勢いづいてくるぞ? 早くやれよっ、おいっ、この能なしのボンクラどもがっ!!」
「ひっ、ひいっ……! おれっ、おれ! ひいいっ……」
「コルク! いいから落ち着けよ!!」
同僚のケンスの声も響くが、あいにくと毛むくじゃらの犬族くんはまるで周りが見えていないようだ。
合わせて困った隊長と怒った艦長の声も交差する。
「コルク! よく聞けっ、狙うんならちゃんとタワーのてっぺんだよ? そこ以外は致命打になるから! いろんな意味で!!」
「早くやれよ! おい貴様、命令違反をするつもりか!? ならそいつはこのオレをジーロ・ザットンと知ってのことだろうな!!」
「ひいっ、じ、ジーロ・ザットン……! と、父さんっ、おれ、おれ、どうしたらっ……!!」
「……?」
出会ったばかりではまだ少年にも見えた青年が、ついには情けのないかすれた悲鳴を漏らす。
ちょっと怪訝に聞くベアランドだったが、天井からそれをかき消すような怒号がするのには、うげっ!とうめいてもしまう。
「マズイな……! あの艦長さんてば、すっかり頭に血がのぼっちゃってるよ!」
勝つためには手段を選ばない冷血漢とも噂される人物は、いざとなったら相当に手荒なこともやってのけるに違いない。
この場が荒れるのはもはや必然だ。
で、結果、ろくでもないことをでかい声でまくしたてる大佐どのなのであった。いわく――。
「ああ、だったらもういい! こっちでやるさ、ここまで来たらもうこそこそ隠れている必要はないからなっ、全艦戦闘態勢! 緊急浮上だ! おい、話は聞いているな、砲手長? 艦首が海面から出たらオレが言ったポイントをただちにぶち抜いてやれ!」
ブリッジのクルーから立て続け、おそらくは艦の砲手のセクションへ向けて声高に言い放たれた怒声にぎょっと目を見開くベアランドだ。強硬手段の強権行使はとどまるところを知らない。
「ああ、そうだよっ……は? 主砲じゃない、副砲、おまけのサブキャノンでだよ!! きれいにうわっぺりだけ吹き飛ばしてやれ!! あ、間違ってもエネルギーの貯蔵庫は撃つなよ? 目の前のクマ助どころかこっちまで巻き込まれちまうぞ!!」
「うわ、すごいこと言ってるな! コルク、ケンス、たぶん背後の海面にでかい巡洋艦が顔を出してくるから、その射線上から機体を退避させるんだ! やっこさん、かまわずぶっぱなしてくるぞ? あと、一歩間違ったら大爆発が巻き起こるから、その時は全力で緊急回避だ! ぼくは、ええいっ、めんどくさいな!!」
こちらの命令通りに二機の僚機が左右に分かれていくのをモニター越しに確認しながら、本来ならじぶんもさらに上空へと退避すべきところを、あえてモニターをぐるりと半回転させて、この真後ろへと機体の頭を巡らせる。
巨大なエネルギープラントを背後にして臨んだ海面からは、今しもそこに大型の戦艦の甲板が急浮上するのが見て取れた。
思った通りに遠くの東の海域から流れ着いてきた巨大な人工の漂流物、廃墟と化したはずギガフロートを真ん中からまっぷたつに割る形で、新型の巡洋艦がその姿を現すのだった。
おまけにこの鋼の船体を現すなりにブリッジの下に据え付けられた砲塔が盛大に海水はき出しながら、この仰角をこちらに上げてくるのに思わず舌打ちしてしまう。
「ちっ、やる気まんまんだね! でもそんなのでプラントを狙い撃ちしたら、示威行動以前に自殺行為になっちまうだろうさ? かくなる上は、仕方ない! こっちも腹をくくるしかないや、行けるよね、ランタン!!」
左右から困惑した部下の犬族たちの声が響くが、今はそれらを一切無視して機体の制御に専念するクマ族の隊長だ。
機体をゆっくりと上昇させて、前方に出現した戦艦の目標となっているプラントの制御タワーのてっぺんへとみずからの機体の高度を上げていく。
さらには丁度相手の射線上にこの機体の胴体の中心が重なるポイントで、ぴたりと姿勢を固定させた。
ふうっと息継ぎをして、前のめりに正面のモニターをにらみつける。
「いいね、エネルギー全開でバリアを展開だ! あのおじさんの砲撃をまともに真正面で受け止めるよ!! お前なら戦艦の艦砲射撃でも十分に耐えうるところを証明しておくれよ!! ついでにお前のちからをみんなに見せつけてやれ!!」
やや苦し紛れな言葉をがなってみずからを鼓舞する。
機体のエンジンをふかすことなく無理をしてここまで出て来たからパワーは満タン! おそらくは大丈夫なのだろうが、後で聞いた若手のメカニックがなんて嘆くのか見物だった。
「さあて、面白くなってきちゃったね……!」
自然と口元に笑みがこぼれるが、天井のスピーカーからは例の冷めたオヤジの声がする。
「おい、何のマネだ、でかグマ? それじゃあお前ごとタワーを撃ち抜くことになるが、それでいいってのか??」
「いいや、ご心配なく! しっかりと受け止めてやるからさ!! そうでもしないとこの場は収まらないだろう? まったくこれも織り込み済みだったりするんじゃないだろうね?」
「ふんっ……!」
威力が知れているアーマーの固定武装ならいざ知らず、でかい戦艦の艦砲射撃だなんてものをまともに食らったら軍事要塞でもない民間仕様のプラントごときはひとたまりもない。
てっぺんをぶち抜くついでに崩落したタワーの一部がこの真下の貯蔵施設を直撃、結果として見事に誘爆、すべてが粉みじんに爆発炎上だなんてのは考えたくもないが、この確率としてはやはり無視できないものがあっただろう。
結果的に部下の不始末の尻ぬぐいをやらされているのかと内心でげんなりするベアランドだが、こちらも負けん気は強いもので皮肉っぽく言ってやるのだった。
「要は相手に脅し、示威行動ってヤツをやってやりたいんだろう? 遠慮無くやればいいさ、これなら安心して撃てるんだろ! まさか外したりはしないよね?」
結果はどうあれ、軍艦の艦砲射撃が民間のプラントめがけて放たれたとなれば、このインパクトはばっちりだ。
部下たちも含めて周りはみんなどん引きするに違いない。
頭上のスピーカーからは、いよいよもって腹立たしげな罵声がクマ族の左右の耳を打つ。
「ああ、いいから撃っちまえ! 仰角そのまま、パワーは落とすなよ? いっそ主砲をくれてやりたいところだが、今日のところはサブで勘弁してやるよ、でかグマ! じゃ、しっかりと歯を食いしばって気合い入れろよ? ほらよっ……てぇーーー!!」
半ばやけっぱちじみた発射の号令と共に、こちらのコクピット内にはけたたましいアラームの警報が鳴り響く!
まさしくロックオンされた艦砲射撃が撃ち放たれるのが、あたかもスローモーションで正面の大型モニターにリアルタイムで映し出された。
対してこれを目をつむることもなくじっと凝視して、ひたすらこの身体を力ませるベアランドだ。
まぶしい閃光が眼下の海面の中心で光ったと思ったら、直後には目の前が真っ白に染まっていた。
機体がかすかに揺れるが、メインのキャノンでなかったぶんにさほどの変化、ダメージらしきは感じられない。
また直後、すぐに目の前には元通りの光景が広がっていた。
機体の各種センサーを即座にチェックするが、どこにもこれと目立った変化らしきはない。あっさりとやり過ごしたらしい。
背後のカメラに映るプラントにも、これと変化はなし……!
するとこれには大した物だとほっと一息、一安心してシートにでかい尻を落ち着け直す隊長さんだ。
「ふうっ、さすがに最新兵器は違うよね! ランタン、よくやったぞ。目の前のおじさんの顔を見てみたいもんだよ……!」
そんな軽口叩いてやると、今しも目の前のモニターの中心が四角く切り取られて、そこにくだんの犬族の艦長どのが、ただちに顔面度アップで現れる……!!
ひどく冷めた目つき顔つきをして、不機嫌なのが丸わかりな口調で言葉を発してくれた。
「ひとつも変化なし……まったく、とんだバケモノだな! どこにもかすり傷すらにありゃしないとは……! やっぱり主砲をくれてやれば良かった。ちょうどいい実験になっただろう?」
「それはまた今度にしてよ♡ でないとリドルに泣かれちゃうから。うちの優秀なメカニックくんにさ。で、少しは気が済んだかい? ほんとに呆れた艦長さんだな。そんなんでこの場の始末は任せていいんだよね?」
上官相手に臆するでもなく茶化した言いようのアーマー部隊の隊長に、なおさら気分悪げな犬族はひん曲がった口元で応じた。
「ふん、こうして出て来ちまった以上、そのつもりだよ。始末も何も、戦況はもう明らかだろ? 回りを見てみろ」
ぶっきらぼうにアゴを揺すってみせる上官どのに、回りのモニターの変化を自分でもそれと見て取るベアランドは納得顔でうなずいた。
「ん! ……ああ、なるほど? みんな蜘蛛の子を散らすみたいにこの場を離脱していってるよ! 見事な引き際だ、てか、いいのかね、大事なプラントほっぽりだして?」
「元からその算段だったんだろ? そこからは見えない海上基地の背後に停留していた空母だかなんだかが、まんまとこの戦域を離脱したから、みんなでそっちに合流するんだ。こっちの艦砲射撃を撤退命令代わりにしてな」
「なるほど、きっといいタイミングだったっんだね♡ で、南のアストリオンに逃げ帰るってのかい?」
「無理だろ。そっちにはおまえらを乗せてきた最新鋭の航空巡洋艦がにらみを利かせてる。トライ、なんて言ったか? そいつを見越してわざわざ南に回り込んでからこちらに入ってきてくれと先生にはお願いしてあるんだ。まったく新兵器さまさまだな!」
投げやりな言いようで皮肉めいたことをぬかす艦長だ。
すっかりとへそを曲げたさまのおじさんに、ベアランドはひどい苦笑いで肩を揺らす。
「いやはや、ほんとに回りを利用するのがお上手だよね? でもぼくらのトライ・アゲインとは合流はしないんだろ、ジーロ艦長は、あくまでどちらも単艦での戦闘行動を希望してるって聞いてるから?」
「ああ、あいにくと一匹狼な性分なんでな。元から少ない戦力を無理に集中しても方々で破綻するのが落ちだろ。だが、そちらに補給してやるくらいの度量はあるさ。寄って行けよ、おまえはどうあれ、使えない新人の部下たちは燃料の補給なりをしないと帰れないんだろう。あっちがここまで迎えに来てくれない都合」
「まあ、そうだね……!」
仕方もなさげにしてくれたみたいなウェルカムにちょっと内心で考え込む隊長さんは、おかけで返事が歯切れ悪かった。そこにまた追加のお誘いもあって、ますます考え込んでしまう。
「あと、ついでにこのブリッジに上がってこいよ。いろいろと言いたいことがある。もちろん、ふたりのお間抜けな部下たちも連れてだな?」
「ああ、そう? まあ、いいんだけど……いや、どうかな……」
「いいや、その前にまず面を拝ませてもらおうか、その間抜け面をだな? 使えなくてもそのくらいはできるだろう??」
かなり言い方に毒があるおじさんの要望に、いよいよどうしたものかと考えあぐねる隊長さんだが、これと断る理由もないものかと左右のスピーカーに言ってやる。
「まいったな、あんまりプレッシャーをかけないでおくれよ? ケンス、コルク! こちらの艦長さまが対面を希望しているよ。これから実際に会うんだけど、その前にどんな顔をしてるのか確かめてごらん!」
「は、はい!」
「あ、あのっ、了解……!」
慌てた感じの返事がしてひどく緊張した空気が伝わるのに、完全に新人たちが名うての艦長さんに飲まれているがわかる性格のんびりしたクマ族だ。もはや苦笑いするしかない。
ややもせずひどく白けたセリフが耳朶を打った。
「ふうん、なるほどね、そんなふざけた間抜け面をしてやがったのか、どいつもこいつも……ん?」
「?」
憎々しげに言いながら、正面モニターの犬族が視線を左から右に流すにつれて、このベテランの艦長さんの表情がやや曇るのを、ちょっと不可思議に見るクマ族の隊長さんだ。
一瞬だけ変な間が流れて、憮然とした犬族のキャプテンはなぜだかみずからの胸元にこの右手をやるのだった。
何かをぎゅっと握りしめるみたいな動作だが、それが何かはここからではわからない。
すると折しもモニターの向こうのブリッジでクルーの声が響いた。
当該戦域に敵影はもはやないことの確認、これによる戦闘態勢の解除、最後にベアランドたち援軍との合流とこの受け入れを全艦に通達して、艦長との通信は終わった。
後には死んだかのような沈黙が左右のスピーカーから伝わるが、まるで気にしたふうもなくこの部下たちにてきぱきと僚艦への合流待機を指示するベアランドだ。
波乱はまだ続くものと覚悟はして、かつての悪漢ぶりが変わらない艦長との再会を楽しみにするクマ族だった。
部下である若手の犬族たちがベテランの犬族にいびられるのをどうやって阻止してやろうかと考えを巡らせる。
後からウルフハウンドたちの第二部隊も駆けつけるらしいから、数ではこっちが優勢だろうとあっけからんと構えるのだった。
左右のスピーカーは依然として冷たい沈黙を守ったままだったが……!
Part2
一時は混乱を極めたドタバタの戦闘劇がおざなりの内にも幕を閉じて、そのまま母艦に帰投するのかと思いきや、僚艦の艦長のはからいでそちらに一時的にお世話になることになる、ベアランドたち、第一アーマー小隊だった。
実際にはお説教を受けに行くというのが本当のところなのだが、これに部下たちの僚機が補給してもらえるのはありがたい。
無事に敵軍から奪還した、謎の海上エネルギープラント施設については、そのまま本来の所有となるはずの南の大国、「アストリオン」の正規軍に引き渡すとのことで、そちらとの合流もかねてのこの現状らしかった。
この場の指揮権を一手に握る大佐どの、ジーロの独断であるが、それにつきコメントなどは差し控えるクマ族の隊長だ。
面倒ごとに首を突っ込むのはまっぴらだった。
そうでなくとも、ただ今のこの状況が面倒なのだから……!
部下たちの飛行型アーマーが無事に巡洋艦のアーマードックに収容されるのを見届けてから、みずからはこの艦首のなるたけ拓けたスペースに向けて大型のアーマーを垂直着陸、着艦させる。
通常のアーマーよりもかなり大型な機体は、これ専用のアーマーハンガーがなくてはまともに収容することがかなわなかった。
洋上に浮かんでいる戦艦のバランスを崩さないように注意しながら、この機体のバランスも水平に保ちつつ、その場にピタリと固定……!
待機モードに出力を落として、みずからはこのコクピットハッチから、艦の甲板へと速やかに降り立つ。
タラップもないのを器用にアーマーの手足にホップステップ、最後のジャンプでダン!と鋼の甲板に着地。
そこに待ち受けていたスタッフたちには、特にやってもらうようなことはないと気軽に言づてすると、さっさとその場から艦の中央にあるアーマードックに向かうベアランドだ。
「まあ、そもそもがリドルくらいじゃないとまともにメンテなんて出来やしないんだよな、このぼくのランタンは♡ あっと、いたいた、新人のパイロットくんたち! あらら、ガチガチだな……!」
そちらに入る出入り口には、すでにみずからのアーマーから降り立っていたふたりの部下たちが、こちらに向けて律儀に敬礼!
ピシッとした直立不動の姿勢で待ち構えていた。
苦笑いの隊長は、肩をすくめて軽くだけ敬礼を返してやる。
「そんなにかしこまってくれることもありやしないだろ? まあ、気持ちとしては穏やかでないのは理解できるけど。だとしても、悪いのは自分たちなんだからさ!」
仕方がないさと茶化したウィンクくれてやるに、ふたりのまだ若い犬族たちはげんなりとしたさまでうなだれるばかりだ。
意気消沈とはまさしくこのことだろう。
余計に苦笑いになって肩をすくめるベアランドだが、そのままふたりを伴って艦のアーマードックへと入っていく。
するとさっきまでの心地の良い潮風が、よどんだ油臭い空気に取って代わって、おまけそこかしこでやかましい音が鳴り響くのは、どこもおんなじ風景だった。
じぶんたちが世話になっている航空母艦と比べたら、天井の照明がだいぶ抑え気味なのに、薄暗い足下を気にしながらあたりを見回すベアランドだ。
大型の巡洋艦にしてはアーマーがさして目に付かず、部下たちの新型アーマーばかりがやたらに目立っていた。
これには、はてなと小首を傾げる隊長さんである。
「あれ、この艦の艦載機(アーマー)が見当たらないな? 確かきみらとおんなじ、ジェット・ドライブ・タイプの〝ビーグルⅥ〟の使い手がいるって聞いていたんだけど? おまけにこのぼくとおんなじクマ族だって聞いていたから、ちょっと会えるのを楽しみにしてたんだけど……!」
そんな隊長のセリフには、きょとんとした顔を見合わせるばかりの新人たちだが、やがてすっきりとした見た目で長身の犬族のケンスが言った。
「はあ、そうなんですか? 見た限りはおれたちの以外はないですよね。こんなにでかいアーマードックなのに! でも、スタッフさんたちは珍しそうにあれこれ見てましたよ? こっちの機体と仕様がまるで違うみたいなことも言ってたし……」
「お、オレも、いろいろと聞かれた、聞かれました! プロペラントがどうだとか、航続距離がどうだとか、ぜんぜんうまく答えられなかったけど……!」
「まあ、設計者じゃないんだからね? でもアーマーの補給をしてもらう都合、できる限りのことは答えてあげないと……てか、補給作業とはあんまり関係ないような質問なのかな、それって? もうおおよそのところ終わってるっぽいし」
メカニックのスタッフらしき犬族たちが何人も集まって、この二機のアーマーの足下で談義しているのを遠目に認めて、ちょっとこの声をひそめる隊長さんだ。
あんなのに捕まったりしたら厄介だぞ、と遠巻きにやり過ごすべく気配を押し殺す。
暗いからあんまり見通しのよくない現場の突き当たりの壁のあたり、この艦の中心となるメインブロックのブリッジタワーなのだろう区画を見つめて、目的地へのルートを見当した。
おまけさっきからまったく顔色の良くない犬族たちに、この艦の強面の艦長を茶化したようなことを言ってやる。
「あはは、ほんとにケチ臭いったらありゃしないよね? こんなでっかい航空巡洋艦が空も飛ばずに、艦内の明かりもこんなに落としてさ! こんなんじゃ転んでケガしちゃうよ♡ まあ、あの渋ちんの艦長さんらしいっちゃあ、らしいんだけどさ! 表情も暗かったもんね?」
「……!」
そんな軽口に、ふたりの部下たちは暗い表情を見合わせるばかりだが、これに意外な方向からツッコミが入れられた。
「ふん、しぶちんで悪かったな? 余計なことは言わんでいいから、さっさとこっちに上がって来いよ……!」
聞き覚えのある声がエコーを伴った拡声音で頭上から降ってくるのには、思わず部下たちとお互いの目を見合わせるクマ族だ。
「……おっ! 聞かれちゃってたみたいだね? しっかりとマイクでこの声を拾われてたんだ。ほんとに陰険だな! ヘタな軽口も叩けやしないんだから♡」
ペロリと舌を出して左右の肩を揺らすのには、やはり部下よりもこの艦の最上階でふんぞり返っているのだろう、ベテランの犬族の艦長どのが答えてくれる。
「余計なことは言わなくていい。さっさとこちらに上がってこい。第一艦橋(メインブリッジ)だ。そこからまっすぐ進んだ先にエレベーターが二基あるから、専用のものはお前たちのために解放してある。3分以内だ。以上!」
言うだけ言ったら、ブツリと途切れる無愛想な館内放送に、大きく肩をすくめさせるベアランドだ。
「だってさ! さては画像もモニターされてたんだね? それじゃ、さっさとイヤなことは済まして、この新鋭艦の内部を楽しくお散歩でもさせてもらおうか。ふたりとも付いておいで」
こうなれば仕方も無い。
ふたりの部下たちを伴って、言われたとおりのまっすぐ突き当たりのタラップから上階の回廊、この左手の突き当たりに見えたエレベーターホールまで早足でたどり着く。
アナウンスの通り、エレベーターは二基あって、右が通常のクルー用で、残りの一基は、途中の階層をパスしたブリッジまでの直行便だった。
ブリッジ・クルー専用のそれがあるのは、じぶんたちの母艦のそれと同様だ。
そのためか明らかに大きさが異なるものの、許容量がだいぶ小さめな見てくれをしたものの扉が開け放たれるているのを、その身をかがめてしげしげとのぞき込む大柄なクマ族だった。
左の頬のあたりを人差し指でポリポリとかきながら、ちょっと考え込んでしまう。
「ああ、なんか、ずいぶんとちっちゃいエレベーターだよね? ブリッジ・クルー専用とは言ってもこんなに狭くすることもないだろうに。ぼくみたいないかついクマ族なんかよりも、すっかり犬族主体に考えちゃってるよ。確かにこんな軍用艦の乗組員は、おおかたでスリムな犬族たちがメインにしてもさ……!」
みんなで乗れるかなと背後の部下たちを見下ろすのに、かしこまったきりのふたりの犬族たちときたらば、さも困惑したさまでお互いの顔を見合わせるばかりだ。
そうしてやがて、おずおずと言うのだった。
まずはこざっぱりしとた見てくれの犬族のケンスが、遠慮がちにものを申す。
「でしたら、どうぞ隊長どのがお先に行ってください……! おれたちは、なあ?」
となりの相棒に向き合うのに、顔色の真っ青な毛むくじゃらの犬族は力なくこれに同意するのだった。先の戦闘でどやされてしまったここの犬族の艦長に会うのがよほど気が引けるのらしい。
「は、はいっ、おれたちは後からブリッジにうかがいます……」
もはや死にかけみたいな部下のありさまをどうしたものかと見つめてしまう隊長さんだ。
「はあ、とか言いながら、ふたりしてバックレたりするんじゃないだろうね? いいかい、敵前逃亡は銃殺刑だよ? まあ、この艦の中じゃ逃げようもないんだけど、発進許可がなければアーマーも出せやしないんだし。まあそうか……」
ちょっと呆れ顔でふたりを見ながら、また狭いエレベーターに向き直るベアランドだ。これに背中から身を預けるかたちで乗り込むと、部下の犬族と相対した。
「ふうん、どうにか乗れなくもないのかな? まさか重量オーバーだなんて言わないよね? それじゃ、さっさとみんなで怒られに行こうか! それっ!!」
ふたりの部下たちが気を抜いているところを無理矢理に太い腕を伸ばして捕まえて、この身にがっちりと押さえ込んでやる。
「わあ!」
「ひゃああっ!?」
びっくりする犬族どもにしてやったりといたずらっぽい笑みで言ってやる。
「イヤなことはとっとと済ませちゃおうよ! 3分以内に来いって言われていることだし、もたもたしてられないから。確かに陰険でおっかない艦長さんではあるけれど、取って食われたりはしないんだからさ♡ あっと、これも聞かれてたりするのかな?」
腕の中でもがくふたりをぎゅっときつくホールドしながら、さっさとエレベーターを起動させるクマ族だ。
ブリッジまでの直行便はものの十秒足らずで艦の最上階までパイロットたちを送り届けてくれる。
その先のブリッジでくだんの艦長と対面するベアランドたちだが、思ったよりも機嫌の悪い大佐どのに内心で肩をすくめる隊長さんだった。背後でいっそうに身をすくめる犬族たちとこってりとしぼられることになるのがもはや明白だ。
部下でなくとも逃げ出してやりたい気分になりつつ、旧知の仲のベテラン軍人に立ち向かうエースパイロットだった。
※次回に続く……!
プロット
ベアランド小隊、ジーロ艦に着艦。
ランタン 船首部に ビーグルⅥ アーマーハンガーに
アーマーハンガーのコルクとケンスと合流、ジーロの艦内放送でブリッジに招かれる。
ブリッジタワー、エレベーターが二基、その内の一気はブリッジまでの直行便、ただし狭い。
三人でブリッジへ。不機嫌なジーロとのやり取り。
なんやかんやでお茶をにごしていながら結局は命令を遵守できなかった部下、特にコルクへと話が移り……!
以下、#015へ? ※お説教中にウルフハウンドも合流。
部下ふたりは副隊長に任せて、ベアランドはジーロとの話し合いに。船酔い状態で完全グロッキーなダッツとザニーのクマキャラコンビがちょっとだけ登場?
TO DO
アストリオンのマップ作成、ダッツとザニーのアーマー、ビーグルⅥプロトタイプの作画、ケンスとコルクのビーグルⅥ量産型の作画。ジーロの巡洋艦、????の作画。
※↓鬼沢や日下部たちが突入したビルのフロアマップです。
オフィスビル「ベンチャーズ・ヒルズ」フロアマップ
※「ニコニコ生放送」で創作ライブやってま~す♡
オフィシャル・ゾンビ 15
かつての世間においては、あくまで空想上の存在としての正体もなく動き回る死体のことを〝ゾンビ〟と称したのだろう。
しかしながら昨今では、これがおよそ現実のものとして実在し、かつまたいくつもの異なる視点と違った意味合いが重なるものとして認識されつつあるのだった。
端的に言ってしまうのならば、それは怪物、バケモノなのか?
いつからか、人間でありながら、ひとならざるちから(能力)を持つものすべてをそれと称するようになったこの世界である。
だからこそ、それはただの絵空事ではなくて厳然たる事実として、今この時もいくつかの人間ならざるもの、〝亜人種〟たちの目の前に立ちはだかるのだ。
そして真実、図らずもその渦中にその身を置くことととなったお笑い芸人たちが、ここにいた――。
有無もなく開け放たれた鉄製の扉の奥には、そこにはおよそ思いも寄らないような現実が待ち構えていた。
そこにみずからの足を踏み入れるタヌキ――世間的には人気お笑いタレントとして知られる鬼沢は、まずギョッとして目にしたその部屋のそれはただごとではないありさまにひたすら唖然となる。
先頭に立つ見てくれクマの日下部は、だがこれにいささかも動ずることなく冷静に辺りを見回すのだが、この背中であわあわとしたセリフをぶちまける、それは動揺すること著しいタヌキだ。
「あれ、なんだ、ここは明かりが付いているんだな? でもなんか暗くないか? 前来た時はもっと明るかったはずだぞ、この部屋! それになんか雰囲気もやけに怪しい、てか、あからさまにおかしなことになってないか?? ぜったいヤバイだろう!!」
ドアをくぐってまずでかいクマの背中越しに辺りをきょろきょろと見回して、次にこの隣にまで進み出るタヌキは、やがて照明が灯る天井を見上げると、いぶかしげにこの表情を曇らせる。
険しい顔の鼻先をヒクヒクとひくつかせながら、身体中の毛が逆立っているのを自分でもそれと意識していた。
「ん、なんだ、あれ? 天井のあたりに黒いモヤモヤみたいなのが掛かっているじゃん! しかも全体にびっしりと! もやなのか、かすみなのか、怪しすぎるぞ、絶対におかしい!! なんか吸ったらやばい毒ガスとかじゃないのか!?」
だから部屋が暗いのかと納得してまたあたりにこわごわとした視線を向ける鬼沢に、対するでかいクマ、もとい日下部がしれっとしたさまで応じる。
「はい。邪気がいよいよ濃くなって、この肉眼でもはっきりと確認できるくらいになってきたんですね……! 確かに普通の人間が吸ったら何かしらの実害があるんでしょうか。これは部屋の扉をきっちりと閉めておかないといけませんね?」
「あんなの絶対にヤバイだろ! 俺も吸いたくないもんっ、なんか雰囲気悪すぎて息苦しくなってきたよ、こんなの見るのはじめてだ! 前はとっても活気があったのに、今はひとが死んだみたいに静かだし、誰もいないのか? そうだ、こんな悪い空気の場所にひとなんかいられないだろ??」
戦々恐々として身体を震わせる鬼沢に、だがオフィシャルのゾンビのアンバサダーとしての経験が長い日下部は、あくまで平然たるさまだ。
おまけなにほどでもないとうそぶいてくれる。
「でも本当に濃い瘴気は、もっと真っ黒くて、むしろ天井ではなくてこの床に落ちてたまるんですよ? 知りませんでしたか?」
「知らない!! 知るわけないじゃんっ、瘴気ってなんだよ!? ほんとにおかしなことに巻き込まれちゃってるじゃん、俺!! この先どうなるんだよ? まさか本気でここの社長さんとバトルなんかするわけ? このカッコで!?」
しまいには頭を抱えて身もだえるタヌキに、隣でひどく白けたさまのクマだったが、そこにやがてまた背後からのっそりと出てくる気配が、場にそぐわないようなのんびりした言葉を発した。
ちなみに気配はふたつあった。
「なんや、今さら? 鬼沢くん、そないなさまじゃこの先やっていけへんで? もう戦いの最中やさかい、ちゃんと集中せな!」
出てくるなりにそう関西弁で注意されて、自然とそちらに顔を向けるタヌキの表情がただちにぴきりと固まった。
「えっ、誰? なんかヘンなのがいるっ!? コワイコワイっ、日下部、なんか見るからに怪しいヤツがいるぞ!! いつの間にどこから出て来たんだよ、こんなブサイクなバケモノ!?」
相手の姿を見るなり飛び上がって驚く鬼沢に、当の本人、バケモノ呼ばわりされた何者かがただちに不機嫌にこの声を荒げる。
「誰がバケモノやっ!! 見てわかるやろ、バイソンの東田や! ちょっと見てくれが変わったからゆうてそないにビビることあらへんやろ、そこに相方もおるんやで? あとそないなふざけた見てくれしてるきみに言われたないて!!」
「あ、バイソンさん? わ、もう1匹いる! おんなじようなヤツが!? て、こっちが東田さんなら、そっちのは相方の津川さん?? これってあのバイソンさんたちが変身した姿なの? マジで? なんか思ってたのと全然違うんですけど!!」
もともとの身体つきの違いか?
ゾンビと化してもあちらのほうがやはり背丈が低く、おまけじぶんたちとは似ても似つかない種類のいかついお化けと化したベテラン漫才コンビを、心底、おっかなびっくりに見つめるタヌキだった。
およそ想定外もはなはだしいその見てくれに、内心どころか思い切り面食らってしまう。ブルブル震える太いシッポが背後でピンと立ち上がっていた。
かくして鬼沢のようなタヌキやクマのような哺乳類系のケモノのたぐいとは、まったく別のカテゴリーに族する動物の特徴があらわな正体をさらすおじさん芸人たちだ。
それだからかこの後輩芸人の露骨なまでの驚きようにあって、ややむくれたさまでモノを申すのだった。
「まったく、失礼な子やな! こないにキュートな見てくれのゾンビさん、他にはそうそうおらへんやろ? かと言うてこのほっこりほのぼのとした見た目にダマされると痛い目みるで?」
「ほんまやんな! あのコバヤの兄さんあたりと比べたら天と地ほども見てくれちゃうやんけ? こないに控え目でかつ重厚感がありながら、そこはかとないかわいげがあっておまけおとなしい見てくれのゾンビなんちゅうもん、わいら以外にはどこにもいてへんて!!」
「うう、確かに、いないような、いるような、どうにもコメントしがたい姿だけど、ゾンビってのは何でもありなのか??」
そんな左右から詰められてうっとたじろぐ鬼沢に、横で冷めたまなざしで両者を見つめていた日下部だが、それからやはり落ち着きはらった声音で言うにはだ。
「さあ……? 確かに驚きですけど、これはこれでありなんじゃゃないですか? それに良くよく見たら、なんか愛嬌あるし」
「どこが! 気持ち悪いだけだろ? あ、じゃなくて、独特なんだよなあ……! なんかどこかで見たことあるような気もするし? そうだよ、昔から有名な、これって、つまりはアレなのか??」
ベテランの先輩芸人コンビが化けたゾンビ、得体の知れない見てくれした存在を上から下までねめ回して、はじめなんか言いづらそうに言いよどむタヌキだが、意を決してズバリと言うのだ。
「カッパ! そうだ、あの河童なんだよな? 見た目の特徴からしたらば! ふたりしてこんなどでかい甲羅までご丁寧に背負っちゃって、ほんとにいたんだなあ、カッパって……!!」
ひとりで納得する後輩芸人にベテランが一斉に食らいついた。
「どこがカッパやねん! おいこのくされダヌキ、よう見てみい、こないに立派な見てくれのカッパがどこの世界におる?」
「堪忍してえや! オニちゃん、わしら頭に皿なんて載っけておらへんやんけ? せやのうてもあんなひょろっひょろの貧弱なもんと一緒にされたないわ! 川にもおらへんし、この手に水かきなんちゅうもんもあらへんのやでぇ?」
「え、ちがうの?? でもそれ以外で言ったら……!」
ひどく困惑した顔を日下部に向けるのに、だがしかし日頃からテンションが低いクマときたらば、きょとんとしたさまでこの太い首を傾げさせるばかりだ。
なおさら困惑したさまのタヌキがまた仕方もなしに、目の前のなんだか良くわからないおかしなキャラ感が満載の先輩ゾンビたちを怪しげに見つめながらに言った。
「仮にカッパでないとしても、どっかよその国の版権キャラで、もうとっくにいたよな? こんなヤツ?? カメと何かが無理矢理に合体しちゃったみたいな、ヘンテコな生き物!! 確か、ニンジャ、ナンタラーズみたいな?? カメのくせに人間の言葉をしゃべって、やたらに素早くて、おまけに格闘技が得意なんだっけ??」
何やらひどいぶっちゃけ発言だ。
するとこれには言われた当のカメもどきたちが、ただちに聞き捨てがならないと全力でそれを否定する。
「ちゃうちゃう! そないなもんと一緒にせんといてや! あっちは忍者とカメ、せやけどこっちはカメはカメでも、リクガメとウミガメ! おまけに力士、由緒正しいお相撲さんとのコラボやさかい!! その証拠にこないにぶっといまわしをはいとるんやで、そやったらまったくの別もんやろ?」
「コラボっちゅうか、じぶんでもわけがわからへんのやけどな? でも手裏剣やら武器やらをつこうたりはせえへんで? そこはあくまで男らしゅうした素手の突っ張りとこの身体を張った体当たり、ぶちかましっちゅうんかの? まさしく力とちからのぶつかり合いや!!」
「ほんとにただの相撲取りじゃん! いや、でもいいのかな? なんだかんだ言い分けしてても、発想自体は完全にまるパクリじゃんこんなの!! 後で訴えらたりしない??」
「まあ、あほらしすぎて誰も相手にしてくれないんじゃないんですか? そもそもが? もっと言ってしまえば、おれたち普通のひとたちからは見えないんだから……」
すぐ横を見ればこれまたひどいぶっちゃけ発言にあって、タヌキがひたすら目をまん丸くする。
「著作権とか完全無視なんだな! そんなのがまかり通っちゃうんだ、は~ん。でも俺、油断してたらちょっと笑っちゃうかも、こんなの、だってバイソンとか言ってるのに……!!」
若干吹き出し加減にそれとなくふたりのゾンビ、カメの化身みたいなのを見る鬼沢は、目が合うなりにさっとこの顔を逸らす。
憮然とした表情の先輩方を置いておいて、そこで改めてあたりの様子をうかがった。
「はあ、なんかここってすごい雰囲気が悪いのに、そのクセ何も起きないんだよな? 誰もいないのかな? さっきから何かしらちょろちょろと視界の端に見切れてはいるんだけど……?」
ここはこの会社の社員専用のトレーニングルームであり、それ用のごついトレーニングマシーンがところ狭しとたくさん並んでいるのだが、なのにこれと言ってひとの姿が見当たらない。
おかしな気配みたいなものはそれとなく感じてはいるのだが?
首を傾げるタヌキに、クマがそれとなく耳打ちする。
「良く周りを見てください。ちゃんといるでしょう? これと言った敵意は感じないでしょうけど、油断はしないでくださいね」
「えっ……? ああ、やっぱりいるのか? て、なんだ??」
視界を塞ぐいかついトレーニングマシーン越しにちらほらと見え隠れするのが、やはり人影なのだと理解する鬼沢だが、それをよくよく見てみるにつけ、またしてもぶったまげてしまう。
「なんだよっ、あれ! マジでゾンビみたいなのがいるぞ? てか、ゾンビじゃん!! 死人みたいな顔つきしたヤツが前のめりにおかしな動き方して、しかもあっちにもこっちにもたくさんいるっ!!!」
うわっと全身総毛立つタヌキに、パッと見は全身オレンジがかった黄色の体色のリクガメ、もとい、バイソンの東田らしきが真顔で言ってくれる。
「ゾンビちゃうやろ。格好からするにはここの社員さんやないんか? みんなここの悪い空気に当てられて正気をなくしてもうて、あないなことになっとるんやろ。近づかなければこれと害はないんやが、感づかれたら確実に襲われるっちゅう、なるほど、見ようによってはゾンビやんな?」
「噛みつかれたりするんかの? ちゅうてもゾンビになるわけやないから、ただの正体をなくしてもうた人間、いわゆる狂人やな! どないする? けっこうおるで??」
全身が真緑をしたこちらはウミガメがひと、さながら力士に取り憑いたみたいないかれた見てくれのバイソンの津川らしきが、こちらもひょうひょうと言ってのける。
対してゾンビのアンバサダー経験の浅い鬼沢、タヌキは困惑もここにきわまったさまで声を震わせるばかりだ。
「どうすんのっ? こんなのどうにも収集がつかないじゃん! 確かにあの格好はここの保障会社の社員さんたちだれけど、ガタイがいいし、見た顔がいくつかあるし!! でもっ……」
知人とまではいかないまでも、見知った顔の人間があんなひどいありさまになっているのと、これと己が正面切って相対しなければならない異常事態……!
普段は平和なテレビタレントとして生活している身には、どうにも心の平静が保てない小心者だった。
日下部、現在はでかい図体のクマが平然と言ってのける。
「障害になるのならば排除しなければなりません。相手が誰であれ、致し方がないことですから。多少のケガはやむを得ないとして、意図的に殺したりしなければとりあえずOKです」
「そういうこっちゃ! 鬼沢くんのはなしじゃ相手さんはプロのガードマンっちゅうから、ちから加減を誤ったりしなければ死んだりはせえへんのやろ? 気配を感知したものには自動的に襲いかかる、言い変えればあちらは対して思考能力がないんやから、簡単なもんや」
「えっ、でもそんな、ただの人間をこの姿でやっちゃうの? いいや、ダメだろ、テレビタレントがそんなことしちゃ!?」
全身でのけぞるタヌキに、二本足で立つミドリガメ、もといウミガメもどきの津川が言った。
「今はタレントちゃうやんけ? そうやったとしても、あちらさんがほっといてくれへんで、話が通じへんし、もうこっちに気づいておるようやし? せや、オニちゃんがわあわあ盛んにわめきよるからまんまとひとりこっちに来ておるやん、どないする?」
「どうって、わわ、ほんとにこっちに来た! マジでゾンビみたいでおっかないんだけど、どうするの? あ、完全にイッちゃってるよ、顔つきが!! あんなの人殺しの顔だ!!」
半ばパニックになってその場から思わず一歩後ずさる鬼沢の横から、逆に前へと一歩大きく踏み出す影があった。
リクガメもどきの東田だ。
「しゃあないのう。せやったらここはこのぼくらの出番やろ。鬼沢くんにはいいところを残しておいてやるよって、よう見とき、見本を見せたるさかい、ほれ、こうやるんや!!」
すぐそこまでおぼつかない足取りで近づくゾンビ、もとい生気がない糸の切れた操り人形みたいなさまの保障会社のガードマンに向けて、言うなり右のストレートを容赦なくお見舞いするリクガメと相撲取りの掛け合わせの亜人種だ。
これをまともに真正面で食らった相手は、言葉もなく背後へと吹き飛ぶ! そうしてあわや壁に激突するかと思いきや、この手前のトレーニングマシーンの一台に背中から叩きつけられて、そこであえなくがっくりとうなだれるのだ。
完全に行動不能に陥ったさまを見届けて、一丁上がりと利き手でガッツポーズする東田だ。
これに泡を食った鬼沢がまたしても裏返ったわめき声を発してしまう。それがゾンビと化した周囲の人間たちを呼び寄せることになるのはすっかり失念している芸人さんだ。
「わあっ、ほんとにやっちゃった!! 死んでない? こんなのいいのか?? 俺たちタレントだぞ!? 日下部っ……!」
「いいんですよ。これが今のおれたちのお仕事ですから。問題ありません。多少は乱暴なことをしてもこの場は許されます。よっぽど現状回復が難しいようなことにでもならない限りは……」
言いながらそれとなく先輩芸人のバイソンたちを見るクマのアンバサダーだが、あいにくと当のカメのゾンビたちはやる気も満々だった。
凜々しい横顔を見せて、ふたりの後輩芸人たちに言ってくれる東田だ。その見た目はリクガメの甲羅を背負った相撲取りだが。
「せやからここはぼくらに任せて先に行きいや、後から必ず追いつくさかいに! こういうゴミゴミした障害物だらけの場所でも、ぼくらやったら関係ないさかいに。ほな、行こうか……!」
「おう、アレやるんか? 早速やな! ちょいと目が回ってあれなんやけど、アレやったら一網打尽にしてやれるさかい」
「えっ、何? なんか勝ってに盛り上がってるけど、なんかやるの? あと俺たちどうしたらいいの?? わけがわからないよ!!」
慌てふためくタヌキの前で息の合った掛け合いを見せるカメたちはなにやら示し合わせてさらなる意気込みを全身にまとわせる。ほんとに意味がわからなかった。
プロット①
ドラゴン警備保障、入り口~
クマとタヌキにゾンビ化した日下部と鬼沢がバイソンと合流の後、目的の警備会社に乗り込む。
暗くて人気が無い状態。受付、受付嬢が邪気にやられて倒れているのに慌てる鬼沢だが、あとの三人は知らん顔。
営業の接客室も同様でみんな倒れているが、そこには触れずに先へと進む。
→トレーニングルーム~バトル開始!
トレーニングルームには警備員たちが邪気に毒されて正体をなくした状態で待ち構える。これにいつの間にか変身、ゾンビ化していたバイソンの津川と東田が立ち向かう。その正体に鬼沢はビックリ仰天していろいろと騒ぎになる。
ひどい荒技を繰り出すバイソンのコンビにまたしてもびっくりする鬼沢だが、修羅場を抜けられる裏の近道があるのを思い出し日下部と直接事務室へ。事務室では特に屈強な社員の二人組が待ち構える。さながらゴリラみたいな見てくれに驚く鬼沢だが、すんなりとこれを捕らえることに成功。技の名前でもめる。バイソンはバリケードをこさえて合流。鬼沢がそれなりにやることを知ると、その場に残ってゾンビ社員を止めることを申し出る。
鬼沢と日下部が社長室へ突入!
これまでのおおざっぱないきさつ――
ある日、いきなり人外の亜人種である〝ゾンビ〟の宣告をされてしまったお笑い芸人、鬼沢。おなじくゾンビにして、その公式アンバサダーを名乗る後輩芸人の日下部によってバケモノの正体を暴かれ、あまつさえ真昼の街中に連れ出されてしまう。
そしてその果てに遭遇した、おなじくゾンビだというベテランの先輩お笑い芸人、ジュウドーコバヤカワには突如として実地訓練がてらの実戦バトルを強要され、初日からまさかの〝ゾンビ・バトル〟へと引きずり込まれてしまうのだった…!
苦戦の末に一時は優位に立ったと思われた鬼沢だが、直後に思いも寄らない反撃に遭い、およそ予想だにしない能力と真の姿をあらわにしたコバヤカワの脅威にさらされることになる…!!
やたらに威勢の良いオヤジのがなりと共に、コバヤカワの周囲にもくもくとした白い煙幕みたいな〝もや〟が立ちこめる。
間近で見ていてよもやこれもあの異様な悪臭を放つのか? と今はタヌキの姿の全身が思わず総毛立つ鬼沢だったが、幸いにもイヤなニオイらしきはないのにホッと胸をなで下ろす。
先の生々しい経験がすっかりトラウマと化していた。
ただし見ているさなかにも目の前の中年オヤジの身体は、まったく別の何かへとそのカタチを変えていくのだ……!!
結果、なんとも形容のしがたい複雑怪奇な出で立ちをさらけ出すベテラン芸人に、自身もそれなり中堅どころの芸人である鬼沢は、このタヌキの顔面が驚きで目がまん丸になる。
かなり特殊な見てくれをしているのでひょっとしたらアレなのかなとある程度の予測がついたりするのだが、その反面、認めたくない思いがそれをはっきりと言葉に出すのをためらわせた。
もしそうだとしたらあんまりにもヤバイし、その旨、ベテランの先輩芸人さん相手に突っ込むのもかなり気が引けた。
「う、さっきのあの強烈なニオイって、ま、まさか、そんなことはないよね? コバヤさん、俺の勘違いならいいんだけど、ひょっとしてそれって……うそでしょ??」
嘘だと言ってほしいと思う後輩の願いもむなしく、真正面で仁王立ちする先輩はきっぱりと大きくうなずいて断言してくれた。
「おうよ、見ての通りじゃ!! この全身を渋い黒色系とアクセントの白でまとめたおもくそかっちょいい豪快な毛並みに、背後で雄々しくそり立つ巨大なシッポ! もはやこれ以上のセックスアピールはあらへんちゅうくらいにの! おまけに代名詞のくっさい屁はおのれもその身をもって経験済みやろう? これぞまごうことなきスカンクのゾンビさまよ! 正真正銘!! どうやっ、恐れ入ったか!? だがオニザワ、おのれがビビるのはむしろこれからやぞ!! その鼻もいだるから覚悟せいや!!!」
少しも照れるでもなくぶちまけられた完全アウトなぶっちゃけ発言に、内心どころか全身でどん引きする鬼沢は、ひん曲がった口元からひいっと裏返った悲鳴が漏れる。
「う、うそでしょう!? スカンクだなんて!! そんなのもアリなの!? それじゃさっきのって俺、ほんとにおならで攻撃されてたんだ! 冗談なんかじゃなくって!! なんだよコバヤさんっ、いくら先輩でもこんなのタチが悪すぎるよ!!」
所属する事務所は違えどそれなり見知ったはずの後輩芸人の心からの抗議と嘆きに、対して険しい表情のスカンク、この芸名が〝ジュウドーコバヤカワ〟だなんて冗談そのもののオヤジがまたやかましくも真顔でがなり返してくれる。
「じゃかあしいっ!! 男と男の真剣勝負に冗談もシャレもありやせんっ、それがゾンビ同士となったらなおさらじゃ!! そもそものんきに平和ぼけしたリスやら野良ネコやらじゃ戦うもへったくれもありやせんやろうが? ネコ科やったらより強い虎やヒョウ、弱っこいリスよりか断然そこは攻撃力のあるスカンク!! はなっからこの一択じゃ!!」
「はあっ、そもそもなんで戦わなくちゃならないんだよっ!? コバヤさんこれ完全にいじめだからね! 俺まだゾンビになりたてで右も左もわからないのに、こんなのあんまりだよ!! あのおならは本当にシャレにならないし、コバヤさんの格好もヤバ過ぎてマジで近づきたくない!! 二度としないでよ、あんな地獄の閻魔さまがするみいたなバカでっかい屁!!!」
「あん、すかしっ屁ならいいんか? すかしたところでニオイは少しも変わらへんぞ? むしろ不意をつかれるだけより強烈に感じるっちゅうもんでの!!」
「おなら自体をしないでくれって言ってるんだよ!! というか、する気まんまんだよね? 見るからにドSの格好だもん!! なんだよ、俺、絶対に近寄らないよ!?」
拒絶反応を激しく逆立てた太いシッポにまで出してイィッとキバをむきだすタヌキに、背後のおのれの背丈よりもさらに大きなギザギザ模様のシッポをぶん回すスカンクは、いかめしい真顔を一変、さもおおらかに破顔して後輩芸人を手招きする。
「おう、済まんかったな! そう邪険にすな、何もおのれが憎くてやっとるわけではのうて、むしろオニザワ、おまえにゾンビのなんたるかを教えたるためにやさかい! 何事も経験やろ、今のうちに痛い思いをしておいたら、この先につまづくことはそうそうあらへんのや。お互いのことをよう知るためにも、ここはこの先輩、コバヤカワの胸にぶつかってこい! 優しく受け止めたるから、ほら、こっちへ来いや。早うせい! ここやここっ!!」
「あ、あん、なんだよ、だから近づきたくないって言ってるじゃないか、俺イヤなんだよ、本吉(もとよし)の芸人さんたちの強引なノリとかボケとか小芝居とか! 一発当てたら終わりって言うんなら、さっさと当てて終わらせちゃうよ!! そんな無防備の棒立ちでいたらあっさり届いちゃうんじゃないの?」
おなじ業界における先輩と後輩の悲しい性か、言われるがままに反射的に足を前に踏み出してしまう鬼沢だ。
お互いに手を伸ばせばすぐ届く距離までみずから詰めてしまう。
「ええ。そやったらまずはここに一発当ててみい、このわかりやすい土手っ腹に軽くでいいから一発の! 簡単やろ? ほれっ」
みずからの腹を突き出してくる見た目ヤンキーみたいな出で立ちのスカンクに、すっかり腰の引けたタヌキが困惑して返す。
「えっ、いいの? 終わっちゃうよ?? 軽くでいいんだよね、それなら、ほら! これで当たりだよね?」
利き手の拳を突き出してそれを相手のまん丸い腹の中心に軽く押し当ててやる鬼沢だが、そこにすかさずに返されてきたコバヤカワの文句に、えっと目を丸くする。
その瞬間、ぴきりと場が凍り付いた……!
おまけ返ってきたのは言葉だけではなかったのになおも呆然と立ち尽くすタヌキであった。
「あほう! いつ誰が一発当てたらそれでええなんて言うた? そんな生ぬるいものやあらへんのや、ゾンビの、男の戦なんちゅうもんは!! おのれのような甘ちゃんの腰抜けにはとびきりくっさい屁をお見舞いしたる! 思い知れ!!」
ぶにっとした柔らかい感触を手の甲に感じたのとほぼ同時、その突き出た腹の周囲からシュババっと噴出した煙が鬼沢の顔面、タヌキ面の突き出た鼻先をもろに直撃する!!
はじめ何が起こったのか皆目見当がつかなかった。
「えっ、なに、今の?? あ、待って、まさか、あ、あ、あああっ、あ、くさっ、くさいっ!! くさいくさいっくさいぞ!! 鼻がっ、俺の鼻がっ、パニックしてるよっ、くさい、あれ、これ、くさいのか? あ、やっぱりくさい! くせっ、なんだよ、どこからおならしてるんだよっ、ふざけんなよっ、ひどいぞ、こんなのだまし討ちじゃないか!! 涙が出てきたっ、ああ、神様、俺がいったい何したの!?」
不覚にも鼻で呼吸してしまったらば全身身もだえするようなこの世の終わりみたいな臭気に脳神経が混乱を来した。地獄だ。
「気を抜いとるからや! このわいはスカンクなんやから、その手の攻撃は簡単に予想がつくやろ? 事実、この装束は相手からの打撃にカウンターで屁、人呼んでブラストガスがぶちかませるギミックがたんまり仕込んである! わざわざケツなぞ向けんでも的確に相手の弱点、鼻っ面を撃ち抜いてやれるのよ。触れたら大けがするんや、この漢、コバヤカワっちゅうもんはの!!」
「何言ってんだよっ、ただの変態屁っこきおやじじゃないか! あああっ、くさいくさいくさい!! 鼻のスペアが欲しいっ、日下部のと交換してくれないかな? あいつどこ行ったんだ! うう、俺もうぜったいに近寄らないからね? コバヤさんに!!」
たまらずバックステップで再び距離を空ける後輩に、先輩の芸人は不敵な笑みを口元に浮かべてまだなお余裕の口ぶりだ。
「かまへん。届く範囲に限りのある拳の打撃とちごうてスカンクのおなら、気体のガスっちゅうんは風にのせて飛ばすことも地雷のようにとどまらせておくことも自在や。あいにく目では見えへんからの! ならおのれは逃げ場を無くして結局この前にまたその姿をさらすしかあらへんのや!! そうやろ、オニザワ?」
「うるさいな! 屁理屈ばかり言って本当にキライになりそうだよ!! スカンクの屁理屈ってなんだよ? さっきのは軽く当てただけだから、本気でやったらどうなるかわからないじゃないか!! 無傷でいられる保証なんてないはずだし、俺、本当に腹が立ってきたぞ、ぜったいに見返してやるからね! いくら臭くても要は鼻で息をしなければいいんだからさ!!」
さも鼻をふさいで口呼吸で一気に勝負を決めてしまえばいいと言いたげなタヌキに、眼光のやたらにするどいスカンクが笑う。
「ははん、笑止やの! スカンクの屁がそないなもんで済ませられるほどしょぼいわけがあるか! ゾンビなめるなよ、鼻からでなくとも口やら皮膚やら身体に摂取してしまえばそれまで、脳の神経細胞に直接作用して精神に大打撃をおよぼすんや。決して逃げられへん。肉体ではなくメンタルをねじ伏せる最強の一発や、戦わずして勝つとはまさにこのことやの!!」
「ほんとにうっさいな!! 聞きたくないよ、変人の狂言なんて!! そんなの誰も笑えやしないんだからね!? おかげで完全に息を止めて本気でボコらなけりゃいけなくなっちゃったじゃん! 他事務所の先輩さんを!? でも俺は悪くない!!」
「やれるもんならやってみい! あと、そうだひとついいものを見せてやるぞ、オニザワ、こいつをよう見てみろ、ほれ、受け取れ!! おのれのちゃちな小道具のマントやのうて、ガチもんやぞ! モノホンの〝神具羅〟っちゅうもんを教えたる!!」
いいざまみずからの装束の股間のあたりについていた何かしらの球状の物体を片手に取り出して、それを無造作に放り投げるスカンクだ。左右にふたつあったものを、右の球を利き手でパスしてくれるさまを目をまん丸くして見ながら思わず両手で受け止めてしまうタヌキである。
「え、なにそれ、取れるの、そのおまたにぶら下がってるふたつの金玉(キンタマ)みたいなの? コワイっ、わ、なにこれ、どうすればいいの? 見た感じは堅い金属の球だよね、野球のボールみたいなサイズの、おまけに全体にボツボツのある、あ、これって、まさか……!?」
「タマキンがそないに器用に取れるはずないやろ! 着脱式の睾丸なんてどこぞの世界の生き物や? せやからそいつはれっきとしたX-NFT、このわい専用の神具羅や! 使い方は、推して知るべしっちゅうもんで……のう?」
「ぐぐっ、ぎゃあ!! またあっ!? キンタマと見せかけて、おならの詰まった爆弾じゃないか!! いきなり爆発したぞ!? うわあっ、くさいくさいくさいくさいくさいっ!!! げほっ、げほほっ、うわああああああああああっ!!」
いきなり両手の中でブシュウウウウウッ!と白い煙を吐き出すのに慌ててよそに放り投げるが、目の前が真っ白に染まるタヌキは鼻を押さえて身もだえるばかりだ。
凄まじいばかりの悪臭が鼻から脳へと突き抜ける!
精神が崩壊するのではないかと思うほどの精神的苦痛と恐怖が頭の中に稲妻のように駆け巡った。
いっそのことギブアップしてしまいたいところだが、そこはあいにくルール無用のゾンビバトル。
どこにも逃げ場などない。
「なんだよっ、こんなの反則過ぎるよ! 近くても離れてもこっちの手出しのしようがないじゃないか!? 俺、このままじゃ頭がおかしくなっちゃう! もう逃げるしかないよ、さもなきゃ、コバヤさんを思いあまって殺しちゃうかも??」
「言うたやろ、気を抜いとるからや。おんどれ、日頃芸人としても受け身ばかりでじぶんからそないに攻めることがおよそあらへんよな? ひとの言いなりやからそないなことになりよる。あと脳みそにダメージを食らわすわいの屁ぇは冗談抜きで自我が崩壊するぞ? 一発かませば街のタフなゴロツキどもが一瞬で正気をなくして挙げ句、何でも言いなりのかわいい下僕へと成り下がるからの! 警官やろうが坊さんやろうがみな一緒や!!」
「調教しちゃってるじゃん!! もはや変態だよただの!! コバヤさんの下僕だなんてそんなのまっぴらだ! マジで逃げなきゃっ、ちょっとタンマ! ちょっと体勢を整えるからそこで待ってて! ちゃんと考えて出直してくるから! でもぜったいに一泡吹かせてやるからね? あ、声を荒げたらまた吸っちゃった、くっさいおなら! もうやだあっ!!」
「好きにせい! そやったらせいぜいそのない頭を振り絞ってマシな反撃を見せてみいよ? 特別に今から10分やるからそれが過ぎたら楽しい鬼ごっこや」
文字通りシッポを巻いて逃げ出していくタヌキを悠然と見送ってその場に仁王立ちするおじさんスカンクだった。
このまま追い回してやるのも面白いかもしれないが、それではただのいじめに他なるまい。
少し猶予を与えてやって、改めて逆襲に来たところに自慢のカウンターを食らわせてやるのがいいとほくそ笑む。
そうしてタヌキの気配が遠のいたところでこれと入れ替わるように他の気配が、間近からピリリと乾いた電子音が鳴った。
これにみずからのふところに手を突っ込むスカンクが濃い胸元の体毛から取り出したのは、それはよくある普通サイズのスマートホンだ。
バケモノのごつい手では扱いかねるが、今日日は音声で操作が効くからそう問題はない。
呼び出し音がなったきりに沈黙するスマホにこちらから声をかけてやる。渋いオヤジのバリトンに、するとスマホからはやけに落ち着いた青年のテノールが響いた。
「おう、見とったか、クサカベ! おのれ今どこにおるんや? このわいが本性さらしてからさっさととんずらこきおって、おかげでオニザワが泣きわめいて逃げ出しおったぞ? まあ、ヘタに巻き添え食わんでおるためには身を隠すのは正解なんやが……」
『はい。コバヤさんのおならは空気よりもずっとその比重が重いから、まずは高い場所に避難するのが一番ですよね? 鬼沢さんは気づいているかわかりませんけど』
「ふん、おのれひとりで上階に退避したんか? 抜け目のないやっちゃ! だがあいにくオニザワはそういうわけにはいかへん。ここのエレベーターはどれも電源が落ちとるさかい、上へはフロア中央の大階段を使うしかあらへんが、そっちにはトラップを仕掛けて屁の包囲網を敷いとるからの! ん、ちゅうことはおのれもまだこのフロアにおるんか、クサカベ? はん、相棒が無茶せんように見張るつもりなら余計な手出しだけはするんやないぞ? あいつのためにならへん。以上や!」
『はい。でもおれは信じてますよ。鬼沢さんのこと。もちろん、コバヤさんのこともです。おいしいご飯をごちそうしてくれるんですもんね?』
「ふん、あいつ次第や。そやの、10分経っても出てけえへんかったら、おのれがわいの相手をしいや? それでチャラにしたるさかい。いやもとい、わいも信じてみよるかの? オニザワのことを。あのタヌキはあれでなかなかにやりよるのかもしれん。それだけのポテンシャルはおのれも見込んでおるんやろう?」
『はい。だからお願いします。引き出してください。鬼沢さんのポテンシャル、コバヤさんの男気ってヤツで……!』
「知らんわ」
捨て台詞を吐いてスマホを懐にしまうコバヤカワだ。
素っ気ない言いようでいながら、口元にはやけにおかしげにしたニヒルな笑みがある。
スマホの声の主はさすがに戦い慣れしていてまるで気配がわからないが、もう一方のゾンビになりたての後輩の中堅お笑い芸人はちょっと遠くのほうからあからさまな気配が伝わってきた。
時計で言ったらおおよそ二時の方角、このまままっすぐ歩いて行ったら間抜け面とぶち当たるのだろう。
「かっか、ほんまにかわいいやっちゃの! あほのタヌキが何をしとるのか知らんが、とにかく10分だけは待っといてやるわ。ちゅうてもこの姿ではあいにくタバコは吸われへんからなるべくはよう出てこいよ……!」
がに股の仁王立ちでその場で待ち構える見た目がスカンクのバケモノは、遠くの柱の向こうあたりで何やらわさわさした気配がひっきりなしにあらい息づかいをともなってうんうんとうなっているのを楽しげな目つきで眺める。
完全にバレバレなのだが、当の本人はそんなことまるで知らないで必死にあれやこれやと算段しているらしい。けなげなこと。
かくして案外と面白いものを見せてもらえるのではないかとおかしな期待にちょっと楽しくなる先輩芸人だった。
「そうや、おのれも芸人のはしくれなら、せいぜい気張っておもろいもんを見せてみいよ、オニザワ! ん、あれ、なんや、もう終わったんか? 気配がもろバレやんけ……!」
急に静まり返ったかと思ったら、どたどたした足音が視界の右奥のほうから聞こえて、あるところでこれがぴたりと止まった。
不自然な静けさに直感的に上だと悟るコバヤカワだ。
元は企業のオフィスビルはエントランスの部分が四階までぶち抜く吹き抜けで、この高い天井に一匹のひとがたのタヌキが舞うのを確認、腰を据えてただちに迎撃態勢に移る。
中途半端な攻撃にはこちらのガスブラストのカウンターを当ててやると狙いを定める。後輩は勘違いしている節があるが、何も打撃を当てられなければカウンターが発動しないわけではない。
「そもそもが相手の攻撃をギリでよけながらこちらの攻撃を倍にしてぶち返したるのがカウンターの基本やろうが! おまえのぐだくだパンチじゃはなからろくな打撃にはならへんっ、ん、なんや、例のびらびらのマントが両手に、二刀流か?」
あのタヌキの得意技の自由自在にカタチを変える白いマントが左右の手からたなびく状態でこちらめがけて落下してくるのをはじめいぶかしく見つめるスカンクだが、さして気にするでもなくどっしりとその場で体を正面に構えた。
「ほんま器用なのは認めたるが、しょせんはバカの一つ覚えやろ! ぐだぐだの風船パンチが二つになったところでなんも変わらへんわっ、おまけになんやっ、この根性無しが!!」
落下の勢いをまんま利用して強襲かけてくるのかと思ったら、あっさりと目の前に着地したのに肩すかしを食らうコバヤカワだ。
対するタヌキの鬼沢はむすっとした表情でがなり返す。
「見てから言ってよね! 俺なりちゃんと考えて最善のやり方を組み立てたんだから!! こっからだよっ、そら、行くよ!!」
右手で翻した白マントを上手投げでたたきつけるようにぶちかます。白マントはただちに巨大なグーのパンチと化してスカンクの身体を狙い撃つが、あいにくそれが届くよりもスカンクの反撃のほうが早かった。
「あたらへんでもガスはお見舞いできるで! この太鼓っ腹におのれでリズムを刻めばそれが合図よ!! おおらっ……!!」
大きく息を吸い込んでから利き手の拳をみずからの丸い太鼓腹に打ち付けると、それをきっかけにその身に付けた装束に複数ある通気口のような凹みや穴ぼこから真っ白い煙が噴射される!
まさしく必中のタイミングだった。
もはやよけようがないのがわかって一度は勝ちを確信するコバヤカワの表情が、だがそこで一変する。
その場で泣きわめいて無様にはいつくばるはずのタヌキは、そのタイミングでここぞとばかりに今度は左手に掴んでいたもう一方の白マントをバサリと目の前に翻す!
するとこちらはパンチではなくて真っ白い壁のような一枚のスクリーンが生み出され、スカンクから放射された白い煙幕をまとめてはじき返す。
それは見事な盾の役割を果たしていた。
とは言えニオイそのものを殺したわけではないが、次の攻撃に移るだけの時間は楽に稼げていた。
白一色に染まった視界の向こうで、決死の覚悟のタヌキが息を荒げる。これが最後とばかりに渾身の力を込めて放つのだった。
「いくぞおっ! そおら、まとめてぶった切れぇええっ!!」
それが一度は引っ込めた右手のグーパンチであることを推測するコバヤカワは、だったら真っ向から受け止めてねじ伏せてくれると恐い形相でこちらも高くうなりを上げる。
「ほんまにバカの一つ覚えやな!! いい加減に学習せいよっ、そないな貧弱パンチはこけおどしにもならへんちゅうことをっ……んんっ!?」
壁をぶちのけてくると思われた巨大な握り拳はいっかなに姿を見せず、その代わり、不意に壁からこの上半身をさらしたタヌキが起死回生の思いを込めて繰り出したのは、上段からまっすぐに振り下ろされた力一杯のマントの一閃だ。
その鋭さに目を疑うスカンクだった。
目隠しにしていたマントごと空を引き裂く一太刀は、それまさしく日本刀の切れ味でコバヤカワの眼前を一直線にかけ抜ける。
グーパンチの平たい横の面ではなくて、これを縦の線で一振りのカタナのような形状にして繰り出した攻撃、この意味と威力は思いの外の驚きをもってスカンクの亜人を沈黙させた。
……ゴトンッ!
顔の前にかざしていたみずからの左手がスッパリと肘の付け根のあたりから見事に切り落とされ、手首ごと地面に落ちるのをおよそ他人事みたいに見つめてしまう。
思わず漏らした呼吸に感嘆の色がにじんだ。
「フッ……やりおったわ……!!」
少なからぬ驚きと興奮で顔が硬直していたが、この後の予定が決まったことをしっかりと頭では理解していたベテラン芸人だ。
焼き肉パーティか、あるいはカウンターの寿司ざんまい……!
今ならうまいタバコが吸えそうやわと口もとに笑みがこぼれかけるのに、だがあいにくで目の前のタヌキが顔面蒼白、ただちに仰天して魂消た悲鳴を上げる。
「ぎゃあああああああっ!? えっ、えっ、え、え、えええ!! コバヤさんの腕がっ、腕が、丸ごと落ちちゃった? うそでしょ、俺なにもそこまでやるつもりはっ、そんなつもりじゃっ、いいやあああああああああああああっっっ!!!」
ごめんなさいごめんなさい!とその場に土下座する勢いで膝から崩れ落ちるのに、覚めた表情のスカンクはなにほどでもないとどこか浮かない返事だ。
「……ああ、かまへん。ゾンビやから、そないに騒がんでもすぐに応急処置しとけばきっちりと元に収まるやろ。ほんまきれいにスパッと切り取ってくれたからの。血も出てへんやろ? 今は頭の中にアドレナリンが出とるからそんなに痛いこともあらへんし、ほれ、そんならその腕拾うて、ここに貼り付けい!」
「ううっ、そんなで元通りになるの、ちゃんと? わわ、触るのちょっと気持ち悪いんだけど、わっわ……あの、怒ってない? 怒ってくさいおならとか、しない??」
「せえへん! とっととほれ、ここにひっつけいよ」
「わ、わわっ、なんかコワイな! うわあ、これでほんとにくっつけられるの?? うう、はいっ……!」
平気な顔でちょん切られた片腕の赤黒い断面見せつけてくるスカンクに、完全に腰が引けてるタヌキがあわわと困惑しながら両手にした相手の腕を差し出す。
ちょっとブレブレだったが、どうにかぴたっと断面と断面を合わせたところに背後からクマの気配が駆けつける。
そうして皮肉屋のクマにしては珍しく興奮したさまでかけられる言葉には、ギョッとして声をうわずらせるタヌキだ。
「コバヤさん! 大丈夫ですか? 鬼沢さん、まさかほんとに一泡吹かせるだなんて、ビックリです! おれ、ちょっと感動しちゃいましたよ。気配を消して後ろからずっと見てましたけど!」
「は? ストーカーじゃん! おまえ、まさかずっとそばにいたの? ストーカーだよ!! 公式アンバサダーとは名ばかりの、ただの犯罪者じゃんっ、俺、そんなのとこの先やっていける自信がないっ……」
「ええから、腕、ちゃんと固定せんとうまいこと神経がつながらへんやろう? おまえのそのびらびらの神具羅で包帯みたいに巻かれへんのか、首から三角巾みたいに腕を吊る感じでよ??」
「ああ、鬼沢さんの能力はいろいろと用途が広いみたいですね? およそ布状のやわらかいものならなんでも自在に変形変化させることができるみたいな? てことは紙でもいいんですかね? あ、鬼沢さん、コバヤさんの身体には極力触れないように、腕だけを処置してくださいね。でないとまたアレが大量に出ちゃうから……!」
「アレとはなんや? 出物腫れ物所嫌わずとはいうても時と場合はちゃんとわきまえるぞ、紳士としてな! おお、おおきに、これでええわ、ほんまに器用やな、オニザワ、そんなに心配せんでもすぐに直るわ」
「ほ、ほんとに? ちゃんとした外科手術もしないでただくっつけただけなのに……! あ、指先、ちゃんと動いてる?」
ひたらすきょとんとした鬼沢に、日下部が冷静な口調でぶっちゃけた発言する。さらに目がまん丸になるタヌキだった。
「見ての通りで、おれたちゾンビは人間よりもはるかに身体が頑丈で回復力が高いんですよ。多少の個体差はあれ、おれも鬼沢さんも首をはねられたくらいではきっと即死はしませんよ?」
「は? それは死ぬだろ、さすがに! てかどこでも拾ってくっつければ今みたいに元通りにおさまるの? もはやゾンビどころの騒ぎじゃないよな、それ……」
「まあええやろ。おまえは見事に壁を乗り越えたんや。それだけは確かやからの! 先輩の芸人としてもゾンビとしても、ほんまに鼻が高いわ。オニザワ、ようやった、マジでほめたるで!!」
「あっ、コバヤさん、て、あれっ?? ……あっ!」
「あ、コバヤさん、そんなことしたら、うわっ……くさ!!」
反射的にバックステップでその場から退避する日下部が思わず鼻を押さえて嗚咽を漏らす。
言えばがっちりと男と男の固いハグを交わしたコバヤカワと鬼沢だが、それによってスカンクの身体中から真っ白い噴煙が盛大にあたりに噴き上がるのだ。
つまりはお互いに突き出た中年の太鼓腹同士が衝突しあって、まんまとスカンクのおならを誘発したのだった。
タヌキからしてみればいい迷惑の大災害である。
「あっ、あ、くさ、くさいっ、ああ、だめだっ、臭すぎて目が回るっ、世界がぐにゃぐにゃしちゃってるっ、ああ、もうひと思いに、殺してっ、はあああああっ、くさいい~~~っ!!」
「おお、すまん! オニザワ、起きろ! まだこれからめでたい祝勝会が、あかん、コイツ、くたばってもうたぞ?」
みずからの腕の中でくたくたと力なく崩れ落ちていくタヌキのゾンビに、なすすべもなくしたスカンクが地面にくたばる後輩をただ呆然と見つめる。
悪気はないのらしい。
これにちょっとげんなりした顔つきのクマがしかたもなさげに口を開く。疲れた感じで、ため息が混じった。
「コバヤさんのおならが臭すぎるんですよ! はあ、もういいです。ならここはもう解散として、鬼沢さんはこのおれが連れていきますから、コバヤさんはその身体をちゃんと癒やしてください。とりあえずアイテムを置いていきますよ。腕を一刀両断にされたのはダメージとしてはやっばりでかいですから、ちゃんとそれなりの療養をしてください」
「ふん、例のこのわいの地元の関西で噂になっとった〝グリーンストーン〟ちゅうやつか? あるいはクリスタルやったか? 気のせいかぶさいくヅラの芸人コンビがこぞって東京に進出してから、こっちでもやけに出回るようになってきたのう?」
「知りません。守秘義務がありますので。でもその話しぶりだとおおかたの見当が付いてるみたいだから、ご自分で確かめてみたらいいんじゃないですか? 同じ事務所の後輩お笑いコンビさんだったらなおさらです」
「しっかり言うとるやんけ? なんやあいつら、ちゃっかりとオフィシャルを公言してからこっちよ来よったんやったな? 世間的にはバレてはせえへんものの、ほんまに難儀なこっちゃで! ええわ、それじゃオニザワは任せたで、クサカベ、将来性のある相棒ができて内心でさぞかしニンマリしとるんやろが、そうそう簡単にはいかへん。せやからやるなら最後までしっかりと面倒見てやれよ……」
ずいぶんと含むところがあるよな口ぶりで意味ありげな目つきを差し向けるスカンクのベテラン芸人に、まだ若手の芸人はクマの真顔でしっかりと頷いた。
「……はい。そのつもりです。コバヤさんこそ、おひとりであまり無理はしないでくださいね? いつだっておれたちはあなたのこと……」
「知らんわ」
戦いが終わって自然とあたりの照明が消えていく。
その暗い闇の中にきびすを返すコバヤカワだ。
それきり何も言わずに廃墟の中へと消えていく。
ぷっつりとその気配が途切れたのを見届けて、いまだ地面にくたばるタヌキへと注意を向けるクマ、ならぬ日下部だ。
「さてと、今日はもうここまでですよね。鬼沢さん、とにかく家の前までは送りますから、後はじぶんでうまいことやってくださいよ? 間違ってもシッポとか家族の前で見せたりしないように。たぶん、見えないとは思うんですけど……よいしょっ」
気を失って自然と身体のサイズがもとの人間のそれへと戻っていく鬼沢に、おなじく人間の姿に立ち返る日下部。
先輩の芸人を背負って廃屋の出口へと歩き出す。
夕方の夕日をバックにだったらさぞかし絵になるのだろうが、あいにく今はまだ明るいお昼過ぎだ。
日差しがまぶしかった。
おかげでこのおかしな状態が人目につくことを嫌気した後輩芸人は、大股でたったの三歩進んだところで懐から自身のスマホを取り出すこととあいなる。
帰りは無難にタクシーで送ることに決めた。
かくしてお笑い芸人の、およそお笑い芸人らしかずしたそれはドタバタした日々が始まるのだった。
前途は多難だ。
タクシーの運転士から異様なニオイがしていないかと乗車拒否されかけるのを懸命になだめながら、大きなため息が出るオフィシャル・ゾンビの公式アンバサダー、日下部であった。
※次回に続く……!
https://opensea.io/collection/metalpolydons
イーサリアムがメインだった元祖ポリドンに対して、こちらはイーサリアムとポリゴンのNFTをバランス良く混合して展開する予定です(^^)
https://opensea.io/collection/metalpolydons
No.000 POLYDON REAL RAIBO line drawing version
No.001 POLYDON RAIBO ORIGIN RED
今回からトレーディングカードの要素を付け加えて、各ポリドンに能力値を設定してあります。
ORIGIN RED 各種設定
体力 Life Power 15/20
魔力 Magic Power 9/20
攻撃力 Attack 15/20
防御力 Defense 10/20
素早さ Speed 9/20
幸運 Luck 11/20
攻撃魔法 Dark Magic 8/20
回復魔法 Holy Magic 8/20
総合 85
クリティカル ヒット 1/2
特殊能力↑一回の戦闘につき、一度だけ相手の防御力を無視・無効化した大ダメージを与えることができる。
No.002 POLYDON RAIBO ORIGIN BLUE
ORIGIN BLUE 各種設定値
体力 Life Power 10/20
魔力 Magic Power 15/20
攻撃力 Attack 11/20
防御力 Defense 8/20
素早さ Speed 15/20
幸運 Luck 10/20
攻撃魔法 Dark Magic 11/20
回復魔法 Holy Magic 5/20
総合 85
ダブル マジック 1/2
特殊能力↑一回の戦闘につき一度だけ、魔法攻撃を二度行える。
No.003 POLYDON RAIBO ORIGIN YELLOW
ORIGIN YELLOW 各種設定値
体力 Life Power 15/20
魔力 Magic Power 10/20
攻撃力 Attack 12/20
防御力 Defense 15/20
素早さ Speed 7/20
幸運 Luck 9/20
攻撃魔法 Dark Magic 5/20
回復魔法 Holy Magic 12/20
総合 85
特殊能力 パーフェクト ディフェンス 1/1
一回の戦闘につき一度だけ、相手のあらゆる攻撃を無効化できる。
No.004 POLYDON RAIBO ORIGIN GLAY
ORIGIN GLAY 各種設定値
体力 Life Power 7/20
魔力 Magic Power 7/20
攻撃力 Attack 7/20
防御力 Defense 7/20
素早さ Speed 7/20
幸運 Luck 7/20
攻撃魔法 Dark Magic 7/20
回復魔法 Holy Magic 7/20
総合 56
No.005 POLYDON RAIBO ORIGIN CHOCOLATE BROWN
ORIGIN CHOCOLATE BROWN 各種設定値
※原則Giveawayによる頒布品のため、非売品の予定。
体力 Life Power 5/20
魔力 Magic Power 5/20
攻撃力 Attack 5/20
防御力 Defense 5/20
素早さ Speed 5/20
幸運 Luck 5/20
攻撃魔法 Dark Magic 5/20
回復魔法 Holy Magic 5/20
総合 40
特殊能力 Giveaway 8/20
自分の能力値を下げる代わりに、仲間に同数の能力を振り分けることができる。
No.006 POLYDON RAIBO ORIGIN MAGENTA
ORIGIN MAGENTA 各種設定値
体力 Life Power 12/20
魔力 Magic Power 7/20
攻撃力 Attack 12/20
防御力 Defense 9/20
素早さ Speed 9/20
幸運 Luck 9/20
攻撃魔法 Dark Magic 6/20
回復魔法 Holy Magic 6/20
総合 70
No.007 POLYDON RAIBO ORIGIN CYAN
ORIGIN CYAN 各種設定値
体力 Life Power 10/20
魔力 Magic Power 13/20
攻撃力 Attack 9/20
防御力 Defense 7/20
素早さ Speed 12/20
幸運 Luck 7/20
攻撃魔法 Dark Magic 9/20
回復魔法 Holy Magic 3/20
総合 70
No.008 POLYDON RAIBO ORIGIN GREEN
ORIGIN GREEN 各種設定値
体力 Life Power 12/20
魔力 Magic Power 12/20
攻撃力 Attack 12/20
防御力 Defense 12/20
素早さ Speed 7/20
幸運 Luck 7/20
攻撃魔法 Dark Magic 3/20
回復魔法 Holy Magic 10/20
総合 75
No.009 POLYDON RAIBO ORIGIN PINK
ORIGIN PINK 各種設定値
体力 Life Power 12/20
魔力 Magic Power 12/20
攻撃力 Attack 8/20
防御力 Defense 8/20
素早さ Speed 10/20
幸運 Luck 7/20
攻撃魔法 Dark Magic 7/20
回復魔法 Holy Magic 12/20
総合 75
特殊能力 Rescue 10/20
一回の戦闘につき一度だけ、仲間が瀕死のダメージを負った時にみずからのライフ パワーを分け与えることができる。
No.010 POLYDON RAIBO ORIGIN MOSS GREEN
MOSS GREEN 各種設定値
体力 Life Power 8/20
魔力 Magic Power 8/20
攻撃力 Attack 8/20
防御力 Defense 8/20
素早さ Speed 8/20
幸運 Luck 8/20
攻撃魔法 Dark Magic 8/20
回復魔法 Holy Magic 8/20
総合 64
No.011 POLYDON RAIBO ORIGIN Red Eye Frog
Red Eye Frog 各種設定値
体力 Life Power 12/20
魔力 Magic Power 8/20
攻撃力 Attack 12/20
防御力 Defense 8/20
素早さ Speed 12/20
幸運 Luck 8/20
攻撃魔法 Dark Magic 8/20
回復魔法 Holy Magic 8/20
総合 76
No.012 POLYDON RAIBO ORIGIN Blue Eye Frog
Blue Eye Frog 各種設定値
体力 Life Power 8/20
魔力 Magic Power 12/20
攻撃力 Attack 8/20
防御力 Defense 8/20
素早さ Speed 12/20
幸運 Luck 8/20
攻撃魔法 Dark Magic 12/20
回復魔法 Holy Magic 8/20
総合 76
No.013 POLYDON RAIBO ORIGIN ORANGE
ORIGIN ORANGE 各種設定値
体力 Life Power 12/20
魔力 Magic Power 8/20
攻撃力 Attack 12/20
防御力 Defense 8/20
素早さ Speed 12/20
幸運 Luck 8/20
攻撃魔法 Dark Magic 8/20
回復魔法 Holy Magic 8/20
総合 76
No.014 POLYDON RAIBO ORIGIN PURPLE
ORIGIN PURPLE 各種設定値
オリジン パープル No.014
体力 Life Power 8/20
魔力 Magic Power 12/20
攻撃力 Attack 8/20
防御力 Defense 8/20
素早さ Speed 12/20
幸運 Luck 8/20
攻撃魔法 Dark Magic 12/20
回復魔法 Holy Magic 8/20
総合 76
No.015 POLYDON RAIBO METALLIC RED
METALLIC RED 各種設定値
体力 Life Power 18/20
魔力 Magic Power 12/20
攻撃力 Attack 18/20
防御力 Defense 13/20
素早さ Speed 12/20
幸運 Luck 14/20
攻撃魔法 Dark Magic 11/20
回復魔法 Holy Magic 11/20
総合 109
特殊能力 カウンター ストライク
相手からの直接攻撃に対して同じだけのダメージを与えることができる。魔法によるダメージは半分に減殺できる。
ストライク バースト
一度の戦闘につき一度だけ、場にいるすべての敵に対しての直接攻撃が可能。
Extra Color version POLYDON SSS01 RAIBO -ORIGIN EARTH-
-ORIGIN EARTH- 各種設定値
体力 Life Power 15/20
魔力 Magic Power 10/20
攻撃力 Attack 15/20
防御力 Defense 10/20
素早さ Speed 10/20
幸運 Luck 20/20
攻撃魔法 Dark Magic 10/20
回復魔法 Holy Magic 10/20
総合 100
特殊能力 Call&Response 1/1
場にいない仲間のポリドンを一体だけ呼び出すことができる。呼び出されたポリドンは特殊能力を使うかLPがゼロになったら場から退散。
Extra Color version POLYDON SSS02 RAIBO -ORIGIN MOON-
-ORIGIN MOON-
体力 Life Power 10/20
魔力 Magic Power 15/20
攻撃力 Attack 5/20
防御力 Defense 10/20
素早さ Speed 15/20
幸運 Luck 15/20
攻撃魔法 Dark Magic 15/20
回復魔法 Holy Magic 15/20
総合 100
特殊能力 Call&Response 1/1
場にいない仲間のポリドンを一体だけ呼び出すことができる。呼び出されたポリドンは特殊能力を使うかLPがゼロになったら退散。
No.016 POLYDON RAIBO METALLIC GLAY
オリジン メタリック グレー016
体力 Life Power 8/20
魔力 Magic Power 8/20
攻撃力 Attack 8/20
防御力 Defense 8/20
素早さ Speed 8/20
幸運 Luck 8/20
攻撃魔法 Dark Magic 8/20
回復魔法 Holy Magic 8/20
総合 64
特殊能力、Divide Myself 1/2
能力値をそのままで二体に分身することができる
No.017 POLYDON RAIBO ORIGIN ALBINO
オリジン アルビノ No.017
体力 Life Power 15/20
魔力 Magic Power 152/20
攻撃力 Attack 12/20
防御力 Defense 12/20
素早さ Speed 12/20
幸運 Luck 10/20
攻撃魔法 Dark Magic 10/20
回復魔法 Holy Magic 20/20
総合 106
No.018 POLYDON RAIBO ORIGIN BLACK
オリジン ブラック No.018
体力 Life Power 15/20
魔力 Magic Power 15/20
攻撃力 Attack 12/20
防御力 Defense 12/20
素早さ Speed 12/20
幸運 Luck 10/20
攻撃魔法 Dark Magic 20/20
回復魔法 Holy Magic 10/20
総合 106
No.019 POLYDON RAIBO ORIGIN SILKYPINK-RED
オリジン シルキーピンクレッド No.019
体力 Life Power 10/20
魔力 Magic Power 10/20
攻撃力 Attack 15/20
防御力 Defense 10/20
素早さ Speed 15/20
幸運 Luck 10/20
攻撃魔法 Dark Magic 8/20
回復魔法 Holy Magic 8/20
総合 86
Extra Color version POLYDON SSS03 RAIBO -ORIGIN SUN-
オリジン サン SSS03
体力 Life Power 15/20
魔力 Magic Power 15/20
攻撃力 Attack 15/20
防御力 Defense 15/20
素早さ Speed 15/20
幸運 Luck 15/20
攻撃魔法 Dark Magic 15/20
回復魔法 Holy Magic 15/20
総合 120
特殊能力 Allrange Burst 1/1
場にいる敵すべてにスピードを無視した先制攻撃が可能。
No.020 POLYDON RAIBO ORIGIN SKY-PINK
オリジン スカイピンク No.020
体力 Life Power 10/20
魔力 Magic Power 9/20
攻撃力 Attack 10/20
防御力 Defense 9/20
素早さ Speed 10/20
幸運 Luck 9/20
攻撃魔法 Dark Magic 9/20
回復魔法 Holy Magic 9/20
総合 75
No.021 POLYDON RAIBO ORIGIN BROWN
オリジン ブラウン No.021
体力 Life Power 10/20
魔力 Magic Power 8/20
攻撃力 Attack 10/20
防御力 Defense 8/20
素早さ Speed 8/20
幸運 Luck 8/20
攻撃魔法 Dark Magic 8/20
回復魔法 Holy Magic 8/20
総合 68
No.022 POLYDON RAIBO METALLIC BLUE
メタリック ブルー No.022
体力 Life Power 18/20
魔力 Magic Power 18/20
攻撃力 Attack 13/20
防御力 Defense 13/20
素早さ Speed 15/20
幸運 Luck 10/20
攻撃魔法 Dark Magic 15/20
回復魔法 Holy Magic 8/20
総合 110
特殊能力 カウンター Magic 3/3
一回の戦闘につき三回まで、魔法による攻撃を無効化、ないし魔法でカウンターができる。
Burstマジック
一度の戦闘につき二回まで、すべての敵に対して魔法攻撃の範囲を拡大、ないし倍加できる。