中央大陸編始動!!
-LumaniaWarRecord-
ルマニア戦記
〈中央大陸編〉
EP01
パートA
帰りの道のりはすこぶるつきに順調だった。
はじめにやかましい同乗者たちを乗っけて飛んだ、行きのフライトはあんなにもドタバタしていたのにだ……!
さして急ぎもせずに行程の半分をちょい過ぎたあたりで、不意に通信のコールが掛かる。
さては何かしらの催促だろうか?
これにより手元のコンソールのスイッチをパチリ、ただちに母艦のメインブリッジからの通信回線を開く操縦士だ。
おやおや?と内心でぺろりと舌を出しながら……!
でかいクマ族のパイロットは、お気楽なさまでメインモニターの中にあらわれる年配の艦長とおぼしき軍服姿に敬礼する。
軽い挨拶がてらみたいなノリのヤツをだ。
本来なら上官相手に許されることではないのだが……。
「おっ、艦長! おつかれさま♡ あれ、なんか顔色悪くないかい?」
傍から見ればこの部下のあからさまな非礼に、画面に出るなりちょっとビミョーな顔つきのスカンク族は、普段よりも落とした声音でこの目つきもすこぶる冷めていた。
ただしだからと別段怒っているわけではないのは、それと察するクマ族だ。この上官どのが顔つき暗くなる理由は他にあった。
それこそがあからさまなヤツがだ……!
『んっ、おかげさまで心配事が絶えないものでな? キミもわかっているのだろう……! それで、そちらの首尾は?』
「ああ、ちゃんと中尉どのたちを無事、向こうさんのお城に送り届けてきたよ♡ ちょっと危ういところもあったけど、あとはあっちのお仕事で! ぼくらは座して待つだけだよね? それにしてもまあ、一気にいろいろと立て込んできちゃったねw」
相手の思うところはおおよそ想像がつかなくもない。
屈託のない笑みでモニターの中の軍部きっての実力者であるベテラン艦長を見上げてやるのに、あちらはかすかなため息でもついたものか? 肩ががっくりと落ちている。
浮かないさまでさらに低めた声つきだ。
『……頭が痛いな? いずれはと予期はしていたが、まさかこのタイミングとは。それでは少尉……もとい、大尉だったな? この先のことは予断を許さない、より気を引き締めて……わかっているのだろう、ベアランド大尉……!』
「ふふ、あのふたりを送っている最中にいきなりそんな辞令が下ったから、みんなでビックリしちゃったよ! まさかの二階級特進だなんて、死んじゃったのかって? おかげでチームリーダーっぽくはなったけど! 部下のおじさんコンビが中尉で、隊長のこのぼくが少尉だなんていう、ちぐはぐが解消されてさ♡」
『ふん、そのあたり、何事ものらりくらりとしているキミに問題があるのではないか? この先はそうもゆくまい。戦力が離脱している今ならなおさら、きっと正念場になるぞ? キミにとっても、この艦にとってもな……』
「まあね! で、アストリオンの本国政府とは話は取り付けてるのかい? ぼくらまるで煙たがられちゃって、これまでのらりくらりとすかされてばかりだったけど……」


皮肉っぽいクマ族の口調に、苦い顔つきのスカンクはやはり浮かないさまだ。苦虫を噛みつぶしたような口元から、苦い言葉つきが漏れでる。
『うむ。あちら次第だが、これもどう出てくるか、予断を許さないな? 交渉の余地はあるものとは思われるが……』
「まあ、いきなりぼくらの本国とこのアストリオンが仲違いするだなんて思わなかったものね? でもルマニアが一方的に同盟を破棄したってのは、ほんとなのかな?」
『なくもないだろう。元より本国の命令系統からは完全に独立した我が部隊だからな。通達が来るまでにかなりの時間差がある。むしろ手をつけがたいのかもしれないな?』
「ぶっちゃけ、かなりビミョーな立ち位置だものね? 最大規模の旗艦級でおまけに最新鋭! 見捨てちゃうにはこの規模感がハンパじゃないし、軍の最高機密がてんこ盛りだしw この艦長さんが超がつくほどの有名人だしね!」
『笑い事ではあるまい……』
通信回線の感度は良好なのだが、テンションがダダ下がりの相手が息を殺しているからかあまりよく声が入ってこない。
ブリッジの暗い雰囲気までが伝わってきそうで、肩をすくめる性格野放図なクマは、あっけらかんと言ってやった。
「ならいっそのこと、こっちから突撃かましてやればいいんじゃないのかい? 向こうさんの首都、王様がいる内政府ってそっちにあるんだよね? あのやたらにでっかいブタ族の元首さま?」
『最終手段だろう? こんな目立つ戦艦で乗り付けたら、それこそ宣戦布告と見なされかねないぞ?』
ただの冗談なのだが、周りにいるクルーのものらしき悲鳴みたいなものが聞こえて苦笑いしてしまう。
目の前の艦長さんは渋いツラだ。
「最悪は本国と分断されて孤立無援、今もそうだけど、このままアストリオンに居座って投降しちゃうって手もなくはないのかな? もはやなし崩しの既成事実的に!」
また悲鳴が上がる。乗組員たちも暗澹たる思いなのだろう。まりで先が見えないあたり。
なおのこと渋いツラのスカンク族だ。
『滅多なことは口にするべきではないな? どこで誰が聞いているともしれないのだ……』
これには明るく笑って聞き流すクマ族のパイロット。
「確かに! というか、わざわざ通常回線も開いてこの通信自体、聞かせる気まんまんだものね? 聞いてるのかな、ここからはだいぶ遠いけど! それじゃあっ……わああああっ!!!」
いきなり大声を出してその場をシンとさせる隊長のベアランドは、どこへともなく視線をくれてペロリと舌を出していた。
通信機のマイクを震わせるなりシンと静まり返るコクピット内のスピーカーに耳を澄ませるクマ族だ。
モニターの中でスカンク族の艦長がビミョーな顔つきしていたが、かまわずにどこへともなく言ってやった。
「……ああっ、聞いてるかい? アストリオンの元首さま? ブタ族の、名前がやたらに長いんだよね、なんて言ったっけ?? ああっと、い、イン、ラなんたらみたいな……?」
どこからか何かしらの気配みたいなのは感じるのだが、あいにくと返事がなかった。
どうせ聞いてるんだろうと決めつけながら、屈託無く笑ってまた言ってやる。
電波が弱い回線越しではこの姿までは見えていないのだろう。
「あ、そうそう! タルクスは元気にしているよ。とってもまじめでよく働いてくれてる! できたらあの子向けにまともなアーマーをよこしてもらいたいんだけど、そっちの? 今はおんぼろな補給機乗り回してるから!!」
正面の画面の中でスカンクのおやじがなおさらにビミョーな顔つきとなるが、どこかあさっての方角のスピーカーが、不意にかすかな身じろぎみたいな気配を発してきた。
低い男の声の、咳払いらしきがコクピットに漏れる。
やがて重々しげな第三者の鼻息みたいなのが響いた。
「フンッ……! バッカじゃねーの? おい、よくこんな通常の商用回線開けてやがるよな、おまえら仮にも正規の軍隊なんだろ? まったく気がしれない……」
「あ、やっばり聞いてたんだw だったら話が早いや! 艦長、今ここで交渉しちゃえば? このブタ族の大王さまと!」
「ん、ウンッ……!」
気楽なさまで勧めてやるのに、当の艦長さまはひどく迷惑そうな顔で咳払いなんかする。
余計なこと言うなと目が言っていたが、苦笑いで肩をすくめる野放図な隊長さんだ。
回線の都合か、この顔が出てこない先方はまた荒い鼻息ついて返してくる。
「ハンッ! おまえ、さてはクマ族か? 言うことやることおおざっぱなあたり? めんどくせー。わるいがおまえらごときに関わっているほどにはヒマはしていない。あと、俺がおまえたちが言っているヤツとおんなじかはわからないだろう? ま、タルクスのことに関しては礼を言っておくが。せいぜいよろしくかわいがってやってくれ! 以上だ」
「やっぱり当人じゃないか! かわいい部下を戦死させたくないならとっととそっちの最新鋭機をよこしておくれよ? ロイヤルガードとか言っていたから、それ専用のカッコいいのがあったりするんじゃないのかい、あの子に合わせたフルチューンの♡」
ちょっとした沈黙の後に、かすかな舌打ちがする。
「あのバカ、余計なことばかりベラベラと……! まあいいや、それじゃひとつ聞きたいんだが、あいつ、気が付いたらそっちに行っていたんだが、何を持って行ったんだ? あろうことかこの元首に断りもなしにだ、じぶんのアーマーほっぽらかして?」
「?」
左手のほうのスピーカーから謎の問いかけを発せられて、はたとふたりで目を見合わせるベアランドと艦長のンクスだ。
「え、何って、知らないのかい? よもやあんな厄介なもめ事を持ち込んでおいて、てっきり厄介払いをされてきたのかと思ってたけど? あの博士さん??」
「博士??? ん、ちょっと待て……」
ビミョーな間があって、正面のモニターにかすかなノイズが走った…
プロット
ルマニア本国 アストリオンとの軍事協定を一方的に破棄
宣戦布告? アストリオンの同盟国 リチルス
隣国 ニュージニア ← アゼルタ?
ベアランド隊 大尉に昇格
ダッツとザニーはオルクスランドに?
空いた機体どうする?
アストリオンの王様を主軸にはなしを展開?











