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変態機甲兵〈オタク・ロボ〉 ジュゲム file-07 ドラフト!

アキバで拉致られババンバン♪ ⑦

なろうとカクヨムで公開中のジュゲムの下書き版です!  ノベルの更新に重きを置いて、挿し絵はもはやかなりテキトーになりますwww

※太字の部分は、なろうとカクヨムで公開済みです。そちらが加筆と修正された完成版となります(^o^)

Episode‐file‐07


「…………んっ!」

 あたりは静寂に満たされていた。
 むしろこの耳が痛いくらいな……!
 ひたすらに静まり返ったロボのコクピットで、ふたりきり、無言で見つめ合うオタクとオヤジだ。しばしあって、下段の主力操縦席から上段の補助操縦席を見上げるデブのパイロットが、ゴクリと生唾飲み込む――。

 え、このおれにしか見えない…………それって…………!?

 内心でさまざまな思いや疑念が交錯するが、ようやくまとまりかけたものをどうにか言葉にして吐き出すモブだ。

「え、じゃあこのおじさん、ぬしって…………ゆ、ユーレイだったりするの? まさかの?? おれ、ひょっとして見えちゃいけないものが見えてたりする??」

 少なからず震える声音で言いながら、気のせいか背筋のあたりが冷たくなるのを感じる。対してぞんざいな態度で見下ろしてくるおやじは、わざとらしげに肩をすくませる。やれやれとばかりにだ。

「……おい、この俺が幽霊ならおまえにも見えないんじゃないのか? 本来はそこに存在しないってことなんだろ? だがあいにくとここにピンピンしている。そっちのモニターのヤツらには見えちゃいないのだろうから、そいつらに言われるぶんにはまだわかるが! もろもろの都合、そういったことも配慮してのこのぬし呼ばわりなんだ。この俺の存在をうまく言い表せる言葉は、現状においてこれしかない」

 触ってみるか? みずからの右手を無造作に差し出してくるおじさん。そのいかにも男らしくゴツゴツした拳とたくましい右腕に、はじめ思わず伸ばしかけたこのぷにぷにのでぶちんの手のひらを慌てて引っ込めるモブだ。いいや、掴めたら掴めたで何されるか怪しい! すっかり疑心暗鬼のデブである。

「う、確かに、そもそもでこのぬしって言い方もさっぱり意味がわからないし……! 登場からして怪しかったけど、この身体が透けてるわけでもないし、バリバリ存在感あるものね? 無駄なくらいに! でもだからって納得もしずらいよ、とにかくまともじゃない、ぜったいに!」

「実在はする。実体はあるんだ。ただしおまえの前でのみか? 他のヤツらには知覚はできないが、状況からしてこの認知、存在の認識はできる。この俺がここのぬしたる所以だな! わかったらさっさとシコってこいつを起動させろ。あんまり長引くと補助動力のスタンバイが時間切れで無効になる!」

「なんにも納得できない! おれこんな状況でほんとにやんなきゃならないのっ? わっ、なんか上から降ってきた! わわ、これって……あれれっ!」

 不意に天井からバサリと落ちてきた何かしらにびっくりするモブだが、それが身体にまとわりついて座席に縛り付けるのになおさら面食らう。後ろから楽しげなぬしの言葉になおびっくりだ。

「あんまりグタグタやってるから向こうさんたちが痺れを切らしたんだろ。強制的な拘束具の着用、早くやれとよ?」

「そ、そんなあ! こんな無理矢理? それにこのベルトおかしくない? てか、ベルトじゃないって、こんなのっ!」

 身動きできないほどではないが、編み目の粗いネット状のそれはパイロット自身の身体全体におっかぶさって座席にこれを束縛。傍目にもわけがわからない状態だった。ある種のプレイでもあるまいに邪魔なだけだろう。落ち着いて操縦、ナニができるとは思えない、どころかむしろやりたくもない操縦者だ。
 困惑して前に向くに、モニターの中で真顔でこちらを見据える監督官のおじさんは目つきがやや険しい。問答無用の気配にまたもやちんちんがすくむでぶのオタクだ。苦手な雰囲気だった。マジでやりづらい。
 背後の助手が見かねて今度は救いの手を差し伸べてくれた。
 意外とやさしいおじさんだ。

「ふんっ、そんな状態じゃ落ち着いてぬけるものもぬけないか? そいつはパイロットに万が一があった時の緊急対処装置だから、厳密には安全具じゃない。場合によっちゃ高圧電流とか流れるからな? 俺が取っ払ってやるから、さっさと本来のベルトを締めろ。わかるだろ? あいつには俺からメールで文句を打ってやる! おい、勝手に余計なこと、すんなよっと……!」

「メール? そういうやり取りはできるんだ? ああ、実体があるならできるか! あ、あみあみが天井に戻ってく? で、おれはベルトをするの? イヤだけど、しょうがないのか……!」

 半ば仕方もなしのうんざり顔で、座席の脇にあった装置具からジャラジャラした太くていかついベルトを取り出して、それをみずからの身体にガチャガチャとくくりつけるモブだ。いかんせん慣れないモノホン仕様なのだが、ちゃんとこの取り扱い方がモニター上で表示されてすんなり装着できる。固定完了。
 その間もモニターの中の監督官は真顔で手元のあたりを見つめながら、おそらくは背後のオヤジとのメールの内容を確認したのだろう。半分くらい隠れていたベルトの装着チュートリアルが消えたらこくりとうなずいた。その真顔がなんかイラつくモブだ。

「……了解した。どうやらぬしとは無事に接触できたようだな。それではそちらを操縦教官として、早速実技に入ってもらおう。わたしたちもとくと見届ける。さあ、やりたまえ」

「さあって! ナニをやれって言ってるのか、ちゃんと分かってるんだよね? アレだよ? アレ! ……なんかやりづらいっ! やっぱこんなのムリだって……」

 こんな衆人環視の状態でさすがにこれは無理があるだろうとほとほとげんなりするパイロットに、背後から教官どのが楽しげにアドバイスをくれる。なおさら顔つき暗くなるモブだが。

「前のやつらのことは気にするな! むしろプレイだと思えば、興奮するってもんじゃないのか? SMの趣味はないか? 自衛隊というお堅い職業柄、さすがにAVを流しながらは無理があるから、そういう性癖を身につけるのはありっちゃあ、ありだろ、わはは! なんて顔でこっちを見やがるんだ? わかったわかった……!」

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