アキバで拉致られババンバン♪ ⑦
なろうとカクヨムで公開中のジュゲムの下書き版です! ノベルの更新に重きを置いて、挿し絵はもはやかなりテキトーになりますwww
※太字の部分は、なろうとカクヨムで公開済みです。そちらが加筆と修正された完成版となります(^o^)
https://mypage.syosetu.com/2965007/ ←小説家になろう(ルマニア、ジュゲム)
https://kakuyomu.jp/users/kumanosukew ←カクヨム(ルマニア、ジュゲム)
https://syosetu.org/novel/381100/ ← ハーメルン(俺の推し!)
Episode‐file‐07
「…………んっ!」
あたりは静寂に包まれていた。
むしろこの耳が痛いくらいな静けさに……!
そのひたすらに静まり返ったロボのコクピットで、今やふたりきり、無言で見つめ合うオタクとオヤジだ。
しばしあって、下段の主力操縦席から上段の補助操縦席を見上げるデブのパイロットが、ゴクリと生唾を飲み込む――。
え、このおれにしか見えない…………それって…………!?
さまざまな思いや疑念が交錯する中、ようやくまとまりかけたものをどうにか言葉にして吐き出すモブだ。
「え、じゃあこのおじさん、ぬしって…………ゆ、ユーレイだったりするの? まさかの?? おれ、ひょっとして見えちゃいけないものが見えてたりする??」
少なからずこの声色が震える。気のせいか背筋のあたりが冷たくなるのを感じていた。だが対して上からぞんざいな態度で見下ろしてくるおやじは、わざとらしげに自身の肩をすくませる。
やれやれ!とばかりにだ。
「ハッ! ……おい、この俺が幽霊ならおまえにだって見えないんじゃないのか? 本来はそこに存在しないってことなんだろ? だがあいにくとここにピンピンしている。そっちのモニターのヤツらには見えちゃいないのだろうから、そいつらに言われるぶんにはまだわかるが……! もろもろの都合から、そういったことも配慮してのこの〝主〟さま呼ばわりなんだ。この俺の存在をうまく言い表せる言葉は、現状においてこれしかない。違うか?」
なんなら触ってみるか?
みずからの右手を無造作に差し出してくるおじさん。
そのいかにも男らしくゴツゴツした拳とたくましい腕ぶりした右腕に、はじめ思わず伸ばしかけたこの指先だが、赤子のようなぷにぷにのでぶちんの手のひらを慌てて引っ込めるモブだ。
いいや、掴めたら掴めたで何されるかわかんない!
すっかり疑心暗鬼のデブである。
「う、確かに、そもそもでこのぬしって言い方もさっぱり意味がわからないし……! はじめの登場からして怪しかったけど、この身体が透けてるわけでもないし、バリバリ存在感あるものね? 無駄なくらいに! でもだからって納得もしずらいよ、とにかくまともじゃない、ぜったいに!」
「実在はする……! 実体はあるんだ。ただしおまえの前でのみか? 他のヤツらには知覚こそできないが、状況からしてこの認知、存在の認識はできる。厄介なことにもな? それこそこの俺が、ここのぬしたる所以だな! さあ、わかったらさっさとシコってこいつを起動させろ。あんまり長引くと補助動力のスタンバイが時間切れで無効になる!」
「なんにも納得できない! おれこんな状況でほんとにやんなきゃならないのっ? わっ、なんか上から降ってきた! わわ、これって……あれれっ!?」
不意に天井からバサリと落ちてきた何かしらにびっくりするモブだが、それが身体にまとわりついて座席に縛り付けられるのになおさらあわわと面食らう。後ろからする楽しげなおやじの言葉になおのことびっくりだ。
「ほれ見たことか! あんまりグタグタやってるから向こうさんたちが痺れを切らしたんだろ。強制的な拘束具の着用、とどのつまりで、やること早くやれってな?」
「そ、そんなあ! こんな無理矢理? それにこのベルトおかしくない? てか、ベルトじゃないって、こんなのっ!」
身動きができないほどではないが、編み目の粗い網状のそれは、言ったら頑丈なカーボンファイバー製くらいの捕縛網か?
パイロット自身の身体全体におっかぶさって座席にこれをしっかりと束縛する。ただし傍目にもわけがわからない状態だった。
ある種のプレイでもあるまいに邪魔なだけで。
これでは落ち着いてこの操縦、ナニができるとも思えない、どころかむしろやりたくもない操縦者だ。
困惑して前に向くに、モニターの中で真顔でこちらを見据える監督官のおじさんは目つきがやや険しい。そんな問答無用の気配にあって、またもやおまたのちんちんがすくむでぶのオタクだ。
正直、苦手な雰囲気だった。マジでやりづらい。
背後の助手が見かねて今度は救いの手を差し伸べてくれた。
意外とやさしいおじさんだ。
「ふんっ、そんな状態じゃ落ち着いてぬけるものもぬけないか? そいつはパイロットに万が一があった時の緊急対処装置だから、厳密には安全具じゃない。場合によっちゃ高圧電流とか流れるからな? 俺が取っ払ってやるから、さっさと本来のベルトを締めろ。わかるだろ? あいつには俺からメールで文句を打ってやる! おい、勝手に余計なこと、すんなよっ……と!」
「メール? そういうやり取りはできるんだ? ああ、実体があるならできるか! あ、あみあみが天井に戻ってく? で、おれはベルトをするの? イヤだけど、しょうがないのか……!」
半ば仕方もなにしたうんざり顔で、座席の脇にあった装置具からジャラジャラしたやたら太くていかついベルトを取り出しす。
やたらな重みがあっておまけにおかしな形状だった。
それをおっかなびっくりに慣れない手つきでみずからの身体にガチャガチャとくくりつけるモブだ。
いかんせん慣れないモノホン仕様なのだが、ちゃんとこの取り扱い方がモニター上で律儀に表示されて、すんなり装着できる。
めでたく固定完了。
その間もモニターの中の監督官は真顔で手元のあたりをちらりと見つめ、おそらくは背後のオヤジとのメールの内容を確認したのだろう。のみならず何かあちらからも打ち返したみたいだ。
それで半分くらい隠れていたベルトの装着チュートリアルが消えたらこくりとうなずいた。
その真顔が見ていてなんかイラつくモブだ。
『……了解した。どうやらぬしとは無事に接触できたようだな。それではそちらをジュゲムの操縦教官として、早速実技に入ってもらおう。わたしたちもとくと見届ける。さあ、やりたまえ』
「さあって! ナニをやれって言ってるのか、ちゃんと分かってるんだよね、このおじさんも? アレだよ? アレ! ……なんかやりづらいっ! やっぱこんなのムリだって……」

まさかギャラリーを前にしてやるようなことでは、さすがにこれは倫理的に問題があるだろうとほとほとげんなりする。そんな悩める新人パイロットながら、背後からこれをサポートするべくしたベテランの教官どのがさも楽しげにアドバイスをくれた。おそろしくテキトーな。なおさら顔つき暗くなるモブだ。
「いいから、前のやつらのことは気にするな! むしろプレイだと思えば、興奮するってもんじゃないのか? おまえさん、SMの趣味とかはなしか? 自衛隊というお堅い職業柄、さすがにAVを流しながらは無理があるから、そういう性癖を身につけるのもありっちゃあ、ありだろ? 羞恥プレイ♡ わはは! なんて顔で見やがるんだよ? ああ、わかったわかった……!」
「こう見えて、デブってのはわりかしガラスのハートなんだよっ、どうするの? えっ……」
フッ……!と、いきなり目の前の大画面モニターで大写しだったはずふたりの自衛官たちの顔が消失したのに、はじめ目をぱちくりさせるモブだ。後ろで投げやりな返事するおじさん、ぬしが何かしら配慮をしてくれたのか? どこに行ったのかと辺りを見回して、それがもっと手前の、身の回りをぐるりと取り囲んだ操作盤の小型モニターにそれぞれ映し出されていることにちょっと落胆する。
プライバシーはみじんも尊重されていなかった。
自身もそんなに期待はしていなかったのだが。
「あん、なんだよっ、小さくなったところで、もっと距離が縮まってるじゃん! むしろ気まずい……! すぐ間近で意味ないよこんなの、まさか、モノが見えたりしないよね?」
「わがままばかり言うんじゃない! マジの羞恥プレイをしているわけじゃないんだ、おまえにその気がないならな? もったいつけずにさっさとやれ、何もモノまで見せてやることはないんだぞ?」
「そりゃあそうだけど……! あおりでこの股間だけバッチリと映すみたいなふざけたカメラ、足下に仕込んでたりしないよね? あ、ちょっと、そこで黙んないでよ! ああっ、近くに来ちゃった監督官さんたちが怪訝な顔してる。やだな、傍から見たら、今のおれってヘンな一人芝居してるみたいに見えてるの?」
今やより近くでお互い見つめ合うような状態だ。いっそ生々しさみたいなものまで覚えてげんなりする。すると果たして真顔の監督官、村井がこの口を開いた。おまけズケズケと好き勝手な物言いに、なおのこと目つきがビミョーなものとなるモブだ。
『……ふむ、察するに、なにか話がおかしな方向にズレているのかね? 別に我々も好きでこんなことをしているわけではないのだが。これは職務だ。れっきとした。もちろんきみのそれも職務なのだから、胸を張って堂々とやればいい。ナニをだな?』
どういう感情で言っているのかほんとに聞いてみたかった。
きっと何も考えていないのだろう。
ほんとにふざけていると半眼の目つきのモブ。
『こうして税金まで投入しているのだから、国民の代表として、なんら恥じ入ることはない。愛と正義の名のもとにその股間をさらすことができる、きみは国内、いや、世界でもただひとりのパイロットなのだ……!』
「このひと、黙らせることできない? 見せる必要はないんだよね? ね? ああん、もうなんにも集中できないっ……!」
「わかった。メールを打ってやる! だまれ、っと!」
後ろですかさずおじさんがキーボードを操る音がしたらそれきり真顔の監督官が沈黙する。効果あり。だがすると代わりにこの右手の小型画面にバストアップで映る若い女性の監査官が口を開いてきた。
やはり真顔でだ。波状攻撃さながら。やめてほしかった。
『申し訳ありません。集中を阻害させるようなことは極力慎むつもりではありますが、この私たちもあなたをサポートする実働要員として、これは見ないわけにはいかないのです。ですから私たちのことは極力気になさらずに、小宅田さん、今はどうかあなたの全力でそのみずからの股間に集中してください……!』
若くて冴えないデブの男に若いバリキャリ女が真顔で言うようなことではおよそなかったが、本人は自覚があるのだろうか?
あくまで事務的な口調で続いたセリフにデブのまん丸いなで肩がビクンと跳ね上がる。ほんとうにやめてほしかった。
『プライバシーに関わる部分は最新のモザイク処理なりをして、最低限度の配慮はされています。ですから安心して職務を全うしてください。そしてどうか税金を無駄にしないでください』
「二言目にはカネじゃんっ! このおねーさんもどうかしてるよっ!! ああんもう、ほんとうに泣きそうっ!」
ふぎゃああっ!と嘆くオタクに、無情にも背後のおやじがきっちりとトドメを刺す。この波状攻撃は止めようがない。
「おい、泣くよりも他にやることがあるだろう、このロボのパイロットとして? やらなきゃ何もはじまらないし、何もおわらないんだぞ? おまえがやらなきゃせいぜいあと一分しか持たないぜ、コイツの予備動力? そうしたら……どうなるか教えてやろうか?」
声音を一段落として迫るような渋いツラのおやじに、ちらっとだけ気弱な視線を流してすぐさま前に向き直るでぶちんパイロットだ。やはり敵前逃亡は許されない。
「聞きたくない! どうせろくでもないんでしょ? いまだってろくでもないのに、もういいよっ、おれなんか……!」
もう破れかぶれでグッと下唇を噛むオタクだ。決死の表情でみずからの利き手、ではないほうの左手をみずからの股間へと差し向ける。ヒラヒラしたスカート状の目隠しの中にクリームパンみたいに肥えた手のひらをズボッと突っ込んだ。目指すは……!
「ああんっ、とうとう、握っちゃったよ……! こんな人前で、まさかこんなことになるなんて、やり方、フツーでいいんだよね? おれたぶんノーマルなヤツしか知らないよ? 道具とかは使わないでいつも通りにやるからね? なんでこんなこと聞かなけりゃならないんだよっ、ほんとうに泣きそう、あっ、ふう……!」
完全に縮み上がっていたイチモツをタマごと掴んでようしよしと優しくなでつける。こんな時でもちゃんと感じるのが悲しかった。男として。男だからか。ほんとに泣きたい。手のひらのぬくもりで冷たかったみずからの分身があたたまっていくのを肌で感じながら、ふとこの背後を振り返るモブだ。
「た、起たせればいいんだよね? とりあえずはその、いわゆるボッキってやつを……! いやでもこんな状態で勃つかなんてわからないよ、おれ? そんなおかしな性癖なんて持ち合わせてないから! ああん、ぜったいにおねーさんの顔なんて見れない。見れないよ。今どんな顔してるの?」
「知らねーよ。じぶんで見ればいいだろう。結構な性癖だぞ?」
「性癖じゃないっ! 男としての尊厳が、いろんな意味で大事なものを喪失しそうな、そんな危機感を感じているんだからっ、あっ、あと、大事なことがまだあるんだけど?」
「……なんだ?」
「おれ、包茎だよ? かまわない?」
「知らねーよ!!!」
「大事なことでしょう? これって?? あ、でも心配しないで、仮性だから。手術とかまではしなくてもいいヤツ……!」
「そっちのねーちゃんが横向いちまったぞ?」
「ああん、ごめんなさいごめんなさい! とっととヤルから許してっ! とっとと……うふううっ、あ、あっ!?」
焦って左手のモーションの勢いがまたいちだんと速くなったあたりで、奇しくも周囲のディスプレイに強いノイズが走った。座席の下のあたり、奥底から低い唸りがとどろくのを感じる。それはエンジンの稼働音とでもいうものか? 徐々に強く、このコクピット全体を震わせるまでになる……!
「おう、やっと勃たせやがったのか! 仮性でも立派なもんだ! 快調快調!! ようしっ、これなら楽に動かせるな? ちなみにまだイッてないんだよな?」
「いっ、イッてない……けど! イッちゃダメなの? ああん、もうやだよっ、これって立派なセクハラじゃない!?」
「いいから、だったら今のうちにきれいに皮をむいておけよ? よりダイレクトにビンビンに感じられるように! 何事も感度が大事だ! 男子が発情する上で、妄想を爆発させる上で、アソコの暴発を防ぐためにもな!! エロがまんまパワーになるコイツには快感こそが何よりのガソリン、原動力になるんだ。わかるだろ?」
どうやら当人もノって来たらしい。おっかないこと。それはご機嫌なおじさんの自衛官とは思えないぶっちゃけ発言に、前のめりの姿勢でどうにか後ろを振り向くモブは涙目で声を震わせる。
「わかんないっ! てか、あんまりヘンなこと言わないでよっ、他にもギャラリーいるんだから! あとおれやるときは必ず皮はむいてるから、言われるもでもないし! そんなことまで他人からとやかく言われたくない!!」
「いいのか? 右の画面のおねーちゃん、どっかに行っちまったぞ?」
「ああんっ、ごめんなさいごめんなさい! あれ、いるじゃん? ああ、なんかごめんなさいっ……ほんとに泣きたい!」
『……構いません。どうかそのまま萎縮させないように、そのままを保ってください。わたしは、応援してます……』
「お、応援? なんなの、これ……??」
頭の中でいろんな?と!がひたすらにガチャガチャと渦巻くが、左手の画面の真顔の監督官がまじめな口調で言ってくれた。
ほんとにイカれた自衛官たちだ。後ろのも含めて。
『……んっ、ジュゲムの主動力源が解放されたのがたった今、確認された。現在、パイロットの行為と同期、同調、各部のエナジー・バランスゲージも上昇、ジュゲム、半覚醒から覚醒領域に突入! やれやれ、オタクに祝福あれだ……!』
そこでかすかな苦笑いになったのか? 聞こえないくらいのため息をついたらしい村井がまた真顔になって小型画面から彼なりのエールを送ってくれる。エールなのだろう。たぶん。
『ならばそう、きみのこれからの働きに期待しているよ、税金たんまりつぎ込まれるから、どうかはっりきって励んでくれたまえ、その行為に!』
眉をひそめるオタクは気持ちが乗るどころかこの手元がすべりかけて態勢まで崩す。しっかりとはめた太いベルトが座席からズリ落ちるのを防いでくれたが、この視線のやり場を完全に見失っていた。
「ううっ、なんかビミョー過ぎるんだよな、言ってることが? オナニーに補助金て出るものなの? こんなのSNSに上がったらメタメタ炎上しない? これが世の中のためになるの? なんで? あと、おれはこのロボでいったい何と戦うの???」
手元の快感を忘れかけていると背後から指導警告が出される。
背後からはこの頭が邪魔して見えないと思っていたのが、おそらくはこの背中の気配と身動きの微妙な変化で捉えてるのか?
イヤな鬼教官どのだった。
「こらっ、手元をおろそかにするな! はじめに言ったとおり、そいつがこのロボの操縦桿であり、引き金なんだ!! 萎えたら即、起動停止! 敵にスキを与えることになるぞ? 場合によっちゃたちまち致命傷だ! 戦場はおまえが思っているよりもずっとシビアなんだからな?」
「ひ、引き金ってのははじめて聞いたんだけど? そ、それっていわゆる射精……! ほんとにまんまをやらなきゃならないの? だって、ナニに対して???」
とんでもない状況だ。まさしく想像を絶するほどの。心底困惑顔で聞いてやるに、つかの間の静寂の後、後部座席でしたり顔したおやじは口元にニヒルな笑みで意味深なことぬかしてくれる。
「じきにわかる。おれたちの戦場に着いたらな……!」
完全に立ち上がったみずからのイチモツを自然と強く握り締めて、愕然と瞳を戦かせるモブだった。不安しかない。あとこうなるとこの腰回りのスカートが邪魔だなとちらりと前の小型画面のふたりに目を向ける、どうやらこの腰から下には目が行ってないものだと解するオタクだ。今はまさしくひと目を忍んでやる行為そのものだが、ためしに目隠しの前掛けぱらりとめくってみたら、それで気持ちがだいぶ楽になった。普段は感じられることがない、なんとも言えない開放感がある。クセになりそうだ。
「ああ、なんかもう、見られてもいいや……! 仕方ないもんね? おれのせいじゃない、すべてはこのおじさんたちが強要していることなんだから、言ったらこの国が悪いんだよ……!」
開き直ってみずからの操縦桿をまんま突き出すでぶちんパイロットだ。傍から見たら相当な絵面なのだが、おかまいなしにイチモツをゆっくりと上下動させる。いつものまんまにだ。それでロボ自体も揺れが強くなるのが面白かった。ドドンっ!今にも動き出しそうなくらいだ。
それでこの薄暗く閉ざされた格納庫からどうやって移動するのかと考え始めた頃に、背後からまた思いもよらない命令を発せられるモブだった。
「ようし、それじゃさっさと発進させるか! 機体の出力調整は逐一、現場でやればいい、コイツの操作方法も含めてだな? おいデブ、じゃなくてモブ! 覚悟は決まったな? いきなり実戦だがビビるなよ、まずはちんちんテレポートだ。ここから現場まで一気に発射もとい、出撃する! チャック解放、よーい!!」
「! チャック?? へ、なに言ってるの? チャックってあのチャック? ないじゃんそんなの? どこにも??」
またしても手元がおろそかになりかけるのを周りからの視線に注意されて握り直すバカオタク。背後のおふざけ教官、ぬしは不敵な笑みでこれを見下ろす。
「ある! 見てビビるなよ? それじゃ、開口部の誘導と現出点の補正は今日のところは全部こっちでやってやるから、おまえは気合いを入れて目の前の現象、および自身の発情行為に全力で取り組め! ただし、イッたらおしまいだ! ちゃんと加減はしろ!」
「はあっ? ヤレって言いながらイッたらダメだとか、意味がわからないよっ、もはや何から何まで!? あっふ、やばっ!」
みずからのちんちん掴んだままでひたすら狼狽する新人パイロットの痴態にも、おかまいなしに上段からまくしたてる鬼の教官さまだ。
「おい、イクのは最後だぞ? いいからヤることヤれ! いいか、チャックってのは空間を任意に切り開いて一気にコイツを別空間に解放、ぶちまけさせるある種の裏技、ショートカットだな? オタクにわかりやすく言うなら瞬間移動かワープ!」
「なに言ってるんだかさっぱりわかんないっ! チャックって、そこからアレをぽろんて出すためであって、こんなでっかいロボがそれで移動とかありえないじゃんっ、だいたいどこにそんなのが……あ、あった!!?」
目の前の大画面モニターに映し出された薄暗がりの中に、突如として青白い光源が発生! いきなりだ。はじめ一本の縦の線状だったそれが、みるみる内に太くてギザギザな、デコボコした任意のカタチを形成していく。まさしくズボンのジッパー、あの股間のチャックみたいな形状にである。何もない虚空に、それだけがジャジャーン!と出現した。ウソみたいにだ。
「はっ、なにこれ!? ほんとにチャックみたいなのが出てきたよ? え、どういうこと? おれこのままヤッてていいの?」
ぽかんとした表情でそれを見つめてしまう何も知らないオタクくんに、背後で何でも知ってるおじさんがさも得意げに言ってくれる。
「おまえがナニをしているから出てきたんだよ! やめちまったら即、パワーダウンしてはいさよならだ! 決して手を止めるなよ? ようし、ちんちん、手元の操縦桿がイキってることを常に意識しながら、目の前のチャックに強く念を込めろ……!」
「……へ???」
「フッ、そうすりゃ、導いてくれるさ、おまえとこのロボもろとも、あるべきところへとな! 一瞬にして! その場所こそがおまえが全身全霊でナニをするべき真の戦場だ!!」
言ってることが何一つ理解できなかった。
むしろ理解しちゃダメな気がするでぶちんだ。
完全にそれのカタチで目の前に現れた怪現象に、完全にどん引きして身をすくませる。股間のナニだけはすくませないようにキャッチ・アンド・リリース繰り返しながら、途方に暮れていた。
もう帰りたい。
後ろのおじさんが背中を蹴飛ばすくらいの勢いで号令を発する。もはや従うほかない悲しきオタクのフリーターだ。
もう泣いてた。
「どうらっ、そのギザギザしたチャックの奥に意識を集中しろっ、左手のイチモツ軽くだけシコリながら! そうそうっ、いい調子だ!! 慣れてるな? おまえ才能があるぞっ、はじめてでここまでコイツの調子を出させるオタクはそうはいない!!」
ほんとにどうかしてるうしろの教官は実は呪縛霊かなにかなのかと疑ってしまうモブだが、そのオナニーおばけが声高に言い放つ。圧倒されるオタク、ついでにそのちんちんだ。あぶない。

「そうらっ、それじゃあ一緒にいくぞ!! せえーのっ……!!」
「えっ、え? イクって、ここでフィニッシュ!? イッちゃっていいの? ちがうっ?? わかんないって!!」
「だからイッちゃだめだと言ってるだろうが! このばかちんのでぶちんが!!! 行くのは戦場だ! 座標軸確定、ゆくぞっ、チャック解放! 広がった空間歪曲口にただちにロボ挿入!!」
「そっ、そうにゅう!? なんかヤらしい!! わっ、わっ、わああああああああああっっっっ!!?」
上からジャラララララララ~~~っ!と開かれているチャックの向こうは真っ暗闇で、その中にまぶしい光をともなって頭から吸い込まれていく大型ロボだ。その中でこの様子をリアルタイムで見ていたオタクのパイロットは、瞬きひとつした後にはおのれがまったく別の場所に立ってたことを事実として知らされる。
「え? え、え?? ここって…………!!?」
まさしく戦場であった――。
