いきなり実戦ダダンダン!④
※太字の部分は、なろうとカクヨムで公開済みです。そちらが加筆と修正された完成版となります(^o^) こちらの下書きをなろうで修正、後にカクヨム(挿し絵はなし)で完成させています。
以下、このリンクです
小説家になろう(ルマニア、ジュゲム 一次修正)
https://mypage.syosetu.com/2965007/
カクヨム(ルマニア、ジュゲム 完成・絵なし)
https://kakuyomu.jp/users/kumanosukew
ハーメルン(俺の推し!)
https://syosetu.org/novel/381100/
Episode‐file‐11
戦いはその勝敗を決する最大の機運を迎えつつ合った――。
みずからの股間のイチモツを左手で握りしめたままに正面のモニターに向かう主務操縦士……!
モブは、よく見知ったはず街の景色のその穏やかならざるありさまに、マジマジとふたつの眼を見晴らせる。
大きな半球状型のコクピットで、操縦席をぐるりと取り囲んだ全景表示ディスプレイの中にいくつもの警告表示が出ているが、はじめに見ていた三つから、まだその数を増やしていく。後から後から、人気の無いはず秋葉原の大通りに怪しい人影もどきが現れるのだ。さながらちょっとしたパニック映画の趣きか。
思っていた以上の真っ赤なターゲットサインの一群に、ちょっと額にイヤな汗を浮かべるでぶちんのオタクだった。
前を向いたまま、正面の小型画面の中の自衛官たちではなく、背後の教官、自称・ぬしのおじさんへと言葉を投げかけた。
「確かはなしじゃ、三体、三匹? そんなこと言ってた気がしたけど、それどころじゃない数が出てきるんだけど……! 見た感じじゃ、もう10コは下らないんじゃない? この謎の☆マーク? これって敵を表示しているだよね、ちがう?」
太くて濃い眉をひそめさせる前衛パイロットに、後衛の補佐兼教官役のぬしはさして焦った風もなく平然と応じた。
「増えたんだろ? ままあることだ。おそらくは災害主に取り込まれるか取り憑かれるかしたヤツらが、まんまとみずからも災害化したってだけのことだろうさ。第三種災害あるある! この程度はあらかじめ見込んでおけ。このロボのパイロットであるのならばな!」
「おれ好きでやってるわけじゃないからね? こんなにたくさんどうやって相手をするのさ? まさかその都度、射精っ……あ、じゃなくて、まあ、その……ていうかさ、若いおーさんに見られながらじゃちょっとやりにくいんだけどっ!?」
手前にある小型ディスプレイの右手にあるメガネ女子のほうをちらちらと見ながら口をとがらせるでぶちんだ。心情としてはかなりツライ。今もしっかりとちんちん握っている……! 外側も内側もとんでない状況だと改めて認識させられていた。ひとの気なんかてんで構わないデリカシー皆無のおじさんが答えた。
「気にするな? むしろ興奮するだろう? おまえみたいな完全バキバキ童貞のガキなら! さすがに10連発でぬくだなんて若くてもムリがあるから、それなりに対処する。さっきのおまわりみたいにオナニーの誘爆が狙える自爆装置みたいなのがいれば簡単なんだが、今回はそうもいくまい……!」
「オナニーの誘爆……何言ってんの? 言ってること何がなんだかさっぱりわからないよ! えー、じゃあさっきのは、あのおまわりさんがアレをして果てたから、あのドロドロもやっつけられたの? なんで?? 射精と関係あるの? なんで??? わ、おねーさんがこっち見てる!!」
「見られるのは仕方がないだろう? そっちのねーちゃんはそういう仕事なんだ! あと細かいことはいちいち気にすなるな。やってられんだろう、このインチキロボのパイロットなんぞ! この俺も含めて、これまでの常識や理屈なんてものとはほど遠いところで全てが回っている。そういうアレな世界線でこのおれたちは戦っているんだ……!」
「それ、納得できるだけの説得力があると思ってる? ムリだよ。あとおれが童貞って勝手に決めつけるのもちょっと心外なんですけど? おねーさんの前でやめてよ、この操縦桿が立たなくなったらどうするのさ!」
「見られてるからむしろ勃っているんだろう? おまえは童貞ムーブなんだよ、わかりやすい。ちがうのか?」
あえて背後から聞いてくれるちょっと意地悪なおじさんに、事実完全バキバキ童貞のデブチンは気まずげな表情を赤らめて頭から湯気を上げていた。カッカと破顔するぬし。
「わかりやすいったらありゃしねえな! まあいいんだよ、そっちのほうがこのジュゲムが反応しやすいのはこれまでの経験上はっきりしてるから、なんら問題はありゃしない。それよりも実働試験、攻撃機動の精度を上げるぞ。ちんちんの狙いを定めろ!」
「童貞で悪かったね……! おねーさんの視線が気になるっ、ああん、誰か助けてよ! え、また顔射、じゃなくて、なんだっけ、スラッシャー?」
「スマッシャー! 個別に撃破する気持ちで手前のやつらにぶっかけてみろっ!! あのまっちろいのを! 言ったらキャノンの精密射撃だ! この距離なら外すこともないっ、軽く亀頭をポンポンくらいでヒットさせられるくらいになれ。くれぐれもイクんじゃないぞ?」
「亀頭って、おねーさん聞いてるんだよ? あ、おじさんの言葉は聞こえないんだっけ? ずるくない? 言うほど簡単じゃないんだって……!」
ブチブチ文句を言ってると左手の小型画面の中の若いおじさんに聞きとがめられてしまう。そっちの存在をすっかり失念していたオタクのパイロットくんはげんなりした顔で舌を出した。うげ。
『オタクダくん、ここが正念場だ! どうか無事にこの難局を乗り越えてもらいたい。初回でかなりの負荷がかかるが、そのぶんに報酬ははずむはずだから、奮起してくれ。こちら側の調査によると社会保険料や年金、果ては家賃などもと滞り気味なのだろう? すべてチャラにできるはずだ』
「個人情報!! ちょっと、そんなのおねーさんの前でわざわざ言わないでよっ、おれ完全な社会不適合者になっちゃうじゃん!! 今こんなことさせられて、ひととして完全に詰んでる! なんかしらのハラスメントで訴えるからねっ? うしろのパワハラおじさんと一緒に!!」
思わず悲鳴まじりに叫んでしまうが、当の右手のメガネのおねーさんがぴくりともせずで冷静に返してくれる。がっくりとうなだれるモブだった。
『そちらに関しましては当然、わたしも関知しております。付け加えるのならば小宅田准尉、あなたが童貞であろうことも内偵調査により裏が取れておりますので。気に病むことはありません。童貞は犯罪にあたりませんので。滞っている社会保険その他につきましてはこちらで全て処理させていただきます。家賃は次回の更新料も込みにして、先払いにしてしまえば家賃自体を値引きする交渉もしてもらえますが、いかがしますか? そちら向きのエージェントがおりますので』
「な、なんか、死にたい……! あの、後で考えさせてください。いまそれどころじゃないんで。んん、萎えちゃうよっ、ほんとに泣きたい」
「それこそ後にしろ! 」
